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外資ホテルは五輪後も強気 新設続々、リスクは日本側 運営受託やフランチャイズ、大手不動産会社が投資担う

2018/1/24 日本経済新聞 朝刊

英インターコンチネンタル・ホテルズ・グループが神奈川県箱根町に開く「ホテルインディゴ」の外見イメージ

 外資系ホテルの日本進出が止まらない。米マリオット・インターナショナルが積水ハウスと大阪市に高級ホテルを2021年に開くと発表。米ヒルトンも東急不動産との新ホテル計画を公表した。背景にあるのは訪日客の増加が地方に波及し、東京五輪・パラリンピックの後も続くとの期待だ。ただ供給過剰に陥った場合、誘致に動いている日本の不動産大手が投資リスクを負うことになる。

マリオットは大阪の御堂筋沿いに「W OSAKA」を開く(外観イメージ)
ヒルトンが長野件軽井沢町に開く「キュリオ・コレクション」の客室イメージ(c) 2018 Curio

 「日本の観光産業が急成長するこの好機を世界的なホテルブランドとして逃すわけにはいかない」。マリオットのクレイグ・スミス・アジア太平洋地域社長は1月10日、大阪・心斎橋に開く新ホテルへの意気込みを語った。

 新ホテルには同社の高級ブランド「Wホテル」を日本で初採用、地域性を反映したデザインで特徴を出す。積水ハウスが27階建ての施設をつくり、マリオットがホテルの運営を受託。50室のスイートルームを含む337室を備え、料金は「大阪市内で最高水準をめざす」(スミス氏)という。

 ヒルトンも長野県軽井沢町に開くホテルに日本初のブランド「キュリオ・コレクションbyヒルトン」を採用。東急不動産が2017年3月に取得した「旧軽井沢ホテル」をリニューアルし18年春に開業する。米ハイアット・ホテルズも20年までに10カ所に新ホテルを開く計画だ。

 英インターコンチネンタル・ホテルズ・グループは大和ハウス工業と19年に神奈川県箱根町で日本初進出ブランド「ホテルインディゴ」をオープンする。約100の全客室に温泉風呂を備え、このうちの80室にはバルコニーに露天風呂を用意する。客室の広さは30平方メートル以上にする予定。

 外資系ホテルの進出が相次ぐのは日本を訪れる外国人観光客が今後も増え続けるとみているためだ。訪日客数は17年に2800万人に迫る勢いで、旅行業界では政府が掲げる20年4千万人の目標達成も確実視されている。一時は20年の東京五輪を境に失速するのではとの懸念もあったが、スミス氏は「五輪の本当の恩恵は長期的な需要の創出。五輪後も日本の観光市場は成長する」と話す。

 息の長い訪日需要に期待するのは日本の不動産大手も同じ。供給過剰のオフィスビルに代わる収益源としてホテルに着目し世界の著名ホテル誘致に動いた。背景には「日本のホテル運営会社は世界的なブランドを確立できていない」(国内ホテル大手)との事情もある。世界で約1億人の会員を囲うマリオットなどの集客力を生かす狙いだ。

 ただ、ホテルの経営は稼働率次第。供給が増えすぎれば採算は悪化する。足元でシティーホテルの稼働率は大阪も東京も満室に近い状況だが、みずほ総合研究所がCBRE(東京・千代田)のデータから試算したところ、20年には8都道府県のホテルの供給量は需要を11万室上回るという。6月施行予定の住宅宿泊事業法で高級マンションなどの民泊転用が進めば供給はさらに増える。

 今後、開業する外資系ホテルの多くは運営受託やフランチャイズ方式。外資の各社は客が入らなくても手数料などの収入が減るだけだ。損失などのリスクを主に負うのは経営主体となる日本の不動産会社。需給バランスが大きく崩れるような事態になれば、事業全体にも影響が及びかねない。

(清水孝輔、川崎なつ美)

[日本経済新聞朝刊2018年1月11日付を再構成]

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