検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

TVもスマホも動画配信も きれいな画はHDRがカギ

西田宗千佳のデジタル未来図

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

映像のクオリティーが向上するさまざまな技術が、2017年からテレビのみならずスマートフォン(スマホ)や動画配信などでも採用され始めている。この動きは2018年にはさらに加速しそうだ。その中核を担う技術がHDR(ハイダイナミックレンジ)。映像の輝度をこれまでよりも細かく制御することで、色の表示が豊かになったり、立体感が増したりする。HDR対応の映像とそうでない映像を比較すると、その効果は一目瞭然だ。有機ELテレビなど、実際に対応製品が増えていることから、製品選択のポイントにもなる。きれいな映像を楽しむうえで欠かせないHDRを解説しよう。

画質向上の中核を担う

HDRはディスプレーが再現できる光の明暗の幅(ダイナミックレンジ)を広げることで、「暗い中のわずかな明るさ」「夕日の差すようなきらめき」といった表現を実現する。光のダイナミックレンジが広がると、それに付随して発色も豊かになるため、より人間が見た印象に近い表現が可能になる。

画質向上に与える影響力は大きく、解像度を上げる4Kよりも多くの人に効果がわかりやすい。カメラで撮影した映像だけでなく、ゲームなどのCGとも非常に相性が良い。PlayStation 4やXbox Oneなどのゲーム機の出力でも対応している。現在の画質向上の中核を担う要素、といっても過言ではない。

人間の眼はピーク輝度(もっとも明るい部分)で2万nits[注1]程度の光を認識できる。現在のHDR規格では最大1万nitsと定められている。従来の映像(HDRに対してSDR=スタンダードダイナミックレンジと呼ぶ)は100nitsまでしか規定されていなかったので、大幅に表現力が拡大する。ただし、現在最高品質のテレビであっても、実際に出せるピーク輝度は1000nits程度なので、1万nitsの情報が入ったHDRであっても「1万nitsで光る」わけではない。いままで「100段階でディスプレーに合わせて表現していた」ものが、「1万段階で表現してディスプレーに合わせる」ようになった分、より微細な表現力が増したと考えて欲しい。

[注1]輝度の単位。1平方メートルあたりの光度(カンデラ)

スマホやパソコンにも拡散

2017年後半からiPhoneやGalaxy、XperiaといったトップブランドのスマホがHDRに対応した。さらにWindows 10も、17年10月に公開された「Fall Creators Update」で正式に対応した。今後はミッドレンジ以上の製品では、HDRに対応することが当たり前となっていくだろう。ディスプレー技術の競争の激しい領域はスマホであり、ノートパソコンやタブレットに使われる10インチ台のディスプレー、デスクトップパソコン向けの20インチ台のディスプレーでも、性能向上は進んでいる。テレビよりもそちらがHDRの主戦場になる可能性もある。

HDRコンテンツも増加している。過去、HDTVなど新しいコンテンツの規格が生まれるときは、放送やディスクメディア規格が先行していた。それに対して、HDRコンテンツの普及をリードしているのは、ネットを使った映像配信である。NetflixとAmazonがオリジナルコンテンツ制作において4K+HDRを基準にした。ネット配信はスマホやタブレット、パソコンでの視聴も多い。スマホなどのHDR化と呼応して、利用が増えている。

複数規格併存も消費者の混乱は少ない

一方で、多少注意が必要な点もある。HDRを記録したり送受信したりするためには「HDR10」や「ドルビービジョン」、それから放送用の「ハイブリッド・ログ・ガンマ(HLG)」といった複数の規格がある。

HDR10はもっとも標準的な規格であり、ほぼすべてのHDR対応機器がサポートしている。ドルビービジョンは、より幅の広い表現を可能とする技術である。ディスク規格であるUltraHD Blu-rayではHDR10が必須、ドルビービジョンがオプションの扱いである。配信の場合には、Netflixなどはドルビービジョン対応のコンテンツではHDR10も必ず同時に配信している。事実上HDR10がHDRの標準、ドルビービジョンが高画質のオプションといった形になっている。

HDR10では作品全体で輝度のダイナミックレンジが規定されるのに対し、ドルビービジョンではシーンごとに変更できる。最高輝度4000nitsの作品だとしても、中には最高300nitsしかない、比較的暗いシーンもある。そこを一律に扱うのではなく、シーンごとに定義を変えてより最適な再現ができるのがドルビービジョンだ。ただ、ドルビービジョンの採用にはライセンス料の支払いも必要になるため、HDR10の上位規格として「HDR10+」が策定された。これはドルビービジョンと同様、HDR10と互換性を持ちつつ、対応機種ではシーン毎の最適化を行えるものだ。ライセンス料が不要であるものの、「ドルビービジョンのほうが表現力は高い」(テレビメーカー関係者)との声もある。

一方、4Kや8Kの放送では従来の機器との互換性を持たせるために「HLG」が使われる。ただ、現在の機器ではまだサポートされていないし、テレビ以外の再生用機器ではほとんどサポートされる予定がない。

Windows 10はHDR10のみをサポートしている。これはおそらく、大量のWindows搭載機すべてにドルビービジョンのライセンス費用を払うのが現実的ではない、という判断があってのものだろう。一方でアップルはHDR10とドルビービジョンの両方に対応している。対応機器はApple TV 4KとiPad Pro(第2世代)、そしてiPhone 8/8 Plus/Xだ。

コンテンツ側を見ると、Netflixの主軸はドルビービジョン。アップルのiTunes Storeで配信される映像の場合はコンテンツ提供元によってどちらを使うかは異なり、「HDR」と「ドルビービジョン」の両方の表記がある。Ultra HD Blu-rayも同様だ。

18年はHDR10+対応機種も増えるとみられており、「HDR10はすべてが対応しているので、どれでもHDRは体験できる」「HDR10でもSDRとは大きな差がある」「付加価値モデルではHDR10+やドルビービジョンへの対応が行われる」という形に落ち着く。過去のフォーマット戦争のようにどちらかを選ばなければいけない、という状況にはならない。

個人撮影コンテンツの扱いに不安も

一方、対応が遅れているのが撮影側だ。「HDR」という名称で一番なじみがあるのはスマホなどのカメラに搭載されている「HDR撮影」の機能だが、これは、ここまで説明してきた「本物」のHDRとは異なる。撮影時に明るい部分が「白飛び」してしまうような場面で、露出の違う撮影画像を複数合成することで「より見た印象に近い画像を得る」方法のことである。光のダイナミックレンジが広がったわけではなく、狭いダイナミックレンジの中で見かけを近づけるもの、と思っていただければいい。カメラ性能の限界によるクオリティーの劣化をカバーする技術、と考えてもらえばいい。

今後はハイエンド機器だけでなく、一般的なデジカメやスマホでも「本当のHDR撮影」が実現されていく可能性は高い。既にソニーのハイエンドビデオカメラ「FDR-AX700」などは本物のHDRに対応している。ただ、現状HDR撮影を行う機器はHLGへの対応が中心で、パソコン用のディスプレーやスマホなどでは、そのままだときれいに再生できない。撮影側がどの形式で保存し、さらにはそれをディスプレーでどう映すのか、という点には、注意が必要になるかもしれない。

西田宗千佳
 フリージャーナリスト。1971年福井県生まれ。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、ネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_