花粉対策の鉄則 空気清浄機は「リビングに置かない」
白物家電 意外に知らない基礎知識
花粉シーズンを目前に控えたこの時期、そろそろ家庭の花粉対策を考えておきたいところ。花粉対策として効果的なのは、空気中に浮遊している粉じんや細菌に加え、花粉も除去する「空気清浄機」だ。ただ、花粉対策を意図する場合、置く場所に注意する必要がある。
空気清浄機は、リビングに設置されているケースが多い。たばこのにおい対策やPM2.5対策として、家族が集まる場所に置くべきだと考えるからだろう。また「睡眠環境を整えるために寝室に設置する」という話も聞く。
しかし、家電コーディネーターの戸井田園子さんは「花粉対策なら空気清浄機をリビングに置くのは間違いです」と断言する。どういうことなのか。戸井田さんに話を聞いた。
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花粉対策として空気清浄機を活用するコツ
花粉対策に空気清浄機は有効な家電です。ただ置く場所を誤解している人が多いのも事実。
花粉対策として空気清浄機を導入するなら、リビングではなく、まずは玄関に設置すべきです。空気清浄機を玄関に置く理由は、花粉の進入経路を考えてみればわかります。
換気などで窓を開け閉めしているのであれば、窓から花粉が入ることは十分考えられます。しかし、窓を開けないようにしていても花粉症の症状に悩まされることがあります。それは人間が花粉を持ち込むからなんです。
外出すると、花粉は洋服や身体に付着します。そのまま家に入ると、当然、花粉も家の中に持ち込まれてしまうことになる。この進入経路を断つには、上着は玄関で脱いで部屋に持ち込まないことと、玄関に入り込んだ花粉を空気清浄機で除去してしまうこと。
これは、ちりの数や量を減らした「クリーンルーム」と同じ考え方。クリーンルームの出入り口には、エアシャワーを浴びる小部屋があり、そこでちりを落とすようになっています。玄関に空気清浄機を置けば、まさにこの小部屋の代わりになり、部屋がクリーンに保たれるというわけです。
玄関の空気清浄機を選ぶ2つのポイント
空気清浄機は、大型になればなるほど効果が大。とはいえ、玄関は他の部屋ほど広くないので、あまり大きなものを置くと邪魔になります。コンパクトなもので十分でしょう。
もうひとつ気になるのが、デザイン性。玄関といえば、来客が一番先に目にする場所です。できれば見られても気にならないようなものが望ましい。
ということで、玄関に置く空気清浄機を選ぶときのポイントは次の2点になります。
●デザイン性
さらに、使い方にもコツがあります。人がいない時も常に花粉を取り除きつつ、誰かが帰宅した際は持ち込んだ花粉を吸ってもらうという使い方をすれば、より確実に花粉の進入を防げます。そのためには、スイッチは切らずに24時間つけっぱなしにしておくことが重要です。
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戸井田さんが挙げた2つの条件に合う空気清浄機にはどんなものがあるのか。戸井田さんお薦めの機種を紹介する。
「iNSTICK」空気清浄機と掃除機の二役
三菱電機の「iNSTICK(インスティック)」は、充電スタンドが空気清浄機を兼ねたスティック掃除機。デザイン性が高く、リビングだけでなく様々な空間に調和するスタイリッシュなデザインを採用している。
「ハンディクリーナーにもなるので、ジャケットなどについた花粉を吸い取ることもできます。花粉対策には最適な1台です」
「Blue Pure 411 Particle + Carbon」小型なのにパワフル
ブルーエアの「Blue Pure 411 Particle + Carbon(ブルーピュア411 パーティクルプラスカーボン)」は、コンパクトボディーながら、22平方メートル(13畳)までの床面積に適応した空気清浄機。360度全方向から吸引できるため、置き場所を選ばない。半年ごとにフィルターを交換すれば性能がリフレッシュされるので、お手入れも簡単だ。
「ブルーピュア411は、空気清浄機メーカーが作ったパワフルな空気清浄機。ブルー/ブラック/レッドのファブリックプレフィルターを付け替えることで、カラーバリエーションを楽しむことができます」
「AP-C120」高級感のある金属ボディー
よりデザインにこだわるのであればcadoの「AP-C120」がお薦め。高級感のある金属ボディーはインテリアとしても通用するデザイン。360度全方向へ送風する強力なファンと高性能フィルターを搭載し、空気の循環を効率よく行う。
「価格帯が4万円となりますが、機能面はもちろん、高級感のあるデザインなので、どんな場所にも違和感なく設置できます。玄関に置けばインテリアのアクセントにもなるでしょう」
「KI-HS50」外出先から遠隔操作
さらに余裕があれば、IoTの活用も検討してみてはどうだろう。戸井田さんによると「シャープの空気清浄機は、無線LAN機能を搭載する製品が豊富」。スマートフォンを使って外出先から室内の空気状態を確認できるのはもちろん、住んでいる地域の花粉情報から最適な運転モードを自動で選ぶという賢い機能も搭載している。
「これも、玄関にも置きやすいコンパクトサイズ。IoT機能を搭載しているので、スマートフォンで遠隔操作ができます。帰宅前にフル稼働させ、家に到着する頃には玄関の空気を奇麗にしておけば、より安心です」
花粉対策は、水際対策が効果的。今年は、家に入り込んでしまった花粉ではなく、玄関から先に花粉を入れないように工夫してみてはどうだろう。
(ライター 秋葉けんた=マイカ、監修 戸井田園子)
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