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正月明けに読む本は? 食事術のベストセラーが1位に 紀伊国屋書店大手町ビル店

2018/1/12

 ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は、定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店を訪れた。年明けの営業は3日から。大手町はオフィス街ではあるが、箱根駅伝復路のゴール地点のため、その日は人通りが多い。このため半日ほど店を開けたという。本の動きはまだ鈍い3~5日の3日間で一番売れたのは、ビジネスパーソン向けの食事術の本だった。

■糖尿病専門医による食事法

 その本は牧田善二『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)。2017年9月刊行の本だから、すでに手に取っている人も多いだろう。4カ月足らずのうちに9刷を数え、今なお売れている状況だ。糖尿病専門医の著者がエビデンス(証拠)に基づいた食事法を伝授する内容で、大手町で勤める人たちはこの正月は食べ過ぎ気味だった人が多かったのか、買っていく人が多かったようだ。『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版)をはじめ、昨年は仕事以前のコンディションづくりに注目した本がベストセラーになる傾向が続いたが、その流れは年が明けても勢いを失っていないとみえる。

 著者の考えの中心は、血糖値のコントロールが健康を維持する最大のポイントというもの。その考え方を様々な研究データや論文などに依拠しながらわかりやすく説明し、「医学的に正しい食べ方20」や「100歳まで生きる人に共通する10のルール」にまとめている。糖尿病専門医として38年間、延べ20万人以上の患者を見てきた経験と医師としての知見を背景にした力強い主張が小気味いい。

■会社員の食習慣に目配り

 著者の基本的な考え方を知るには、序章の「人体のメカニズムにそった最強の食事」を読むのがいい。著者がまずやり玉にあげるのが朝1本の缶コーヒー。そこにいかに多くの糖質が含まれているかをデータで示す。そして糖質の過剰な摂取が日々のイライラから肥満や老化、病気を招いていることを明らかにしていく。ビジネスパーソンがしがちな食習慣に目配りしているところが興味を引くポイントだ。

 続く第1章で、医学的に正しい食べ方を20項目で簡単に示した後、2~5章でなぜ太るのか、なぜ老けるのか、なぜ病気になるのかといった素朴な疑問に答える形で、食事のポイントを68項目にわたって詳述していく。それぞれの項目には「果物をジュースにしてはいけない」とか「お酒は体に悪くない」とか、興味深いテーマが並んでいるから、基本的な考え方を序章でつかんだあとは、自分の興味に従って項目を拾い読みしてみてもいいだろう。「これをすればいいというわかりやすさが読者に支持されている」というのが、ビジネス書を担当する西山崇之さんの見方だ。

■注目のテーマ、RPAが3位に

 それでは先週のベスト5を見ておこう。

(1)医者が教える食事術 最強の教科書牧田善二著(ダイヤモンド社)
(2)SHOE DOGフィル・ナイト著(東洋経済新報社)
(3)RPAの威力安部慶喜、金弘潤一郎著(日経BP社)
(4)身近な人が亡くなった後の手続のすべて児島明日美ほか著(自由国民社)
(5)外資系コンサルのプレゼンテーション術 菅野誠二著(東洋経済新報社)

(紀伊国屋書店大手町ビル店、2018年1月3~5日)

 1位が紹介した食事法の本。2位には11月の発売以来好調な売れ行きが続くナイキ創業者の自伝が入った。3位は、関連本が相次ぎ出版されているRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)について、導入企業8社の事例をもとに解説した本。働き方改革の流れに乗ってRPAは、今年のビジネス書の主要テーマになっていきそうだ。4位は、葬儀から相続手続きまで近親者がなくなった後にしなければならないこと全般をまとめた実用書。刊行は2014年で長く版を重ねている。5位は、戦略コンサルタントによるプレゼン術を解説した本。12月下旬の刊行で、ロングセラーが並ぶベスト5の中に1冊だけ食い込んだ新刊だ。

(水柿武志)

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