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東京オートサロン 不良脱し、多彩なクルマ文化を結集

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世界最大規模のカスタムカーの祭典「東京オートサロン2018」が2018年1月12日から幕張メッセで開催される。10年では20万人前半だった来場者は、17年は3日間で32万人を超えた。「自動車離れ」といわれる今、なぜ東京オートサロンは多くの人を集めるのか。イベントを見続けてきた自動車ジャーナリストの渡辺敏史氏が解説する。

◇  ◇  ◇

「不良性」から「趣味性」へ

現在は2年ごとの開催となっている東京モーターショー。その直近、つまり2017年の入場者数は10日間の一般公開を通して77万人余となっている。

一方で、自動車のエキシビションとして名高いのが、毎年1月に開催される東京オートサロンだ。同じく17年の入場者数は3日間で32万人余。モーターショーは東京ビッグサイト、オートサロンは幕張メッセと会場も異なるため一概に比較はできないが、1日あたりで見た場合、こと集客力という点においては東京モーターショーにも勝る勢いだ。趣味性を前面に押し出すイベントとしても、コミックマーケット(17年冬に開催された「コミケ93」の来場者数は3日間で約55万人)ほどとはいわずとも、相当強力なコンテンツであることに疑いはないだろう。

東京オートサロンがなぜここまで人を引きつける催しへと成長したのかを考えるに、その歴史は無視できない。

前身にあたる「東京エキサイティングカーショー」が始まったのは1983年のこと。「自動車を改造する」という行為そのものが法規的に厳しく制限された、世間的にはマイナーというよりもグレーといったほうが適切な、そんな時代だ。

イベントを立ち上げたのは、当時から走り屋たちの強い支持を集めている雑誌「OPTION」(三栄書房)。クルマの性能を本来以上に高めるべく技巧や愛情が注がれた車両を集めて展示することで、それを「改造」というグレーなくくりとは一線を画する「チューニング」として認知してもらおうという狙いがあった。

が、その考えに同調するのは一部の出展者や来場者であって、改造車で走るという行為に反体制的な格好良さを見いだしていた若者層が来場者の大勢である以上、東京エキサイティングカーショーにはある種の不良性がつきまとうことも必然だったのかもしれない。

それでも催し的には年々成長し、「東京オートサロン」へと改名した87年には、日本車の性能そのものが欧州のスポーツモデルをとらえようかというところにあった。そしてバブル景気ただ中の89年、「第2世代」と称されるスカイラインGT-R(R32)の登場と相前後して、チューニングはいよいよ一大市場を築くことになる。

図らずも日米貿易摩擦が外圧となっていた折、輸入車の門戸を広げるべく、国内保安基準の規制緩和が広がったこともその追い風となった。それまでは禁止されていた外装品などが使えるようになり、当時の日本のスポーツカーにちょっとしたチューニングを加えることで、ポルシェやフェラーリをも上回るパフォーマンスを順法的に手に入れられる環境が整ったことが、改造を「不良性」から「趣味性」へと転換させる大きな契機となったことは間違いない。

自動車メーカーも積極的に

さらにこの90年代を挟んで、東京オートサロンのあり方は徐々に変わることとなる。「チューニング」だけでなく「ドレスアップ」という要素が加わっていくのだ。

市販車販売の軸が、ミニバンやRV、軽自動車などと多様化。一方でスポーツモデルの販売台数は減少が見られた。ホンダを例にとっても、アコードよりステップワゴン、インスパイアよりオデッセイ、CR-XよりCR-Vと、売れ筋の車種は大きく変わり、シビックやインテグラは運動性能を特化させたタイプRばかりが注目され……と、90年代後半以降は販売構成が大きく変わったわけで、おのずと東京オートサロンはスピード志向のハードなチューニングカーだけでなく、エアロパーツをぐるりとまとったドレスアップカーたちの展示の受け皿という役割も担わされることとなったわけだ。

さらに00年代以降の大きな変化といえば、規制緩和等の環境変化を受けて、自動車メーカー自らがドレスアップやライトチューニングといったカスタマイズの市場に活路を見出し、積極的に展示を始めたことだろう。

もちろん会社の看板を掲げるからには、そのブース面積や展示内容は、それまでの規模とは一線を画するものとなる。時同じくして会場を幕張メッセに移した東京オートサロンは、21世紀に入り完全にメジャーイベントへと変貌を遂げた。この催しをほぼ毎回見学してきた僕にとっても、自動車メーカーの参加は、オートサロン最大の転換点だったように思う。

自動車メーカー側としては、この時、既に若者のクルマ離れであるとかクルマのコモディティー化であるとか、そういうキーワードが自らの未来に影を落とし始めているという認識があったのかもしれない。とあらば、合法性や健全性さえ担保されるのであれば、自動車に対して直情的なユーザーがこれほど集まるイベントに、文字通りリサーチ&デベロップメントを交わらせるのもありなんじゃないかと考えたとしても不思議ではなさそうだ。

自動車メーカーは18年も力が入っている。たとえばトヨタが展示すると発表している「GRスーパースポーツコンセプト」。詳細は分からないが、事前の取材から察するにWEC(FIA世界耐久選手権)に参戦しているTS050 HYBRIDのロードゴーイング的なコンセプトカーではないかと予想される。トヨタがこんなものを出してくること自体、オートサロンの存在感が相当大きくなっている証左だろう。

日本名車のオークションも開催

そして今回の東京オートサロンでは、本格的な自動車オークションも初めて併催されるという。

近年、映画やアニメの影響もあって世界的に知られることになった日本のヒストリックカーたちを投機的売買にさらすことに賛否はあるかもしれないが、その価値を国際的に可視化するという点において、オークションが有効な手段となるのもまた確かだ。多様なトレンドを幅広くのみ込んできた東京オートサロンが、日本の自動車文化の深みも伝える段階に入ったということかもしれない。

現在、東京オートサロンはその原点であるスポーツ系のチューニングカーをアイデンティティーとしつつも、多彩なドレスアップカーの展示が主軸となっている。とはいえ、輸入車や高級車といった垣根も取っ払われ、見慣れた軽トラから最新のランボルギーニまでがフラットに、そして所狭しと並ぶ様子は、東京モーターショーとは明らかに一線を画するものだ。「クルマ好き」というくくりだけでこれほど多彩なカルチャーが全国から集結し、その友が友を呼び続け、現在の30万人オーバーという集客につながっている。誰かによって仕組まれた規模ではないところこそ、このイベントの最大の財産ではないだろうか。

渡辺敏史
 福岡県出身。出版社で二・四輪誌編集に携わった後、フリーの自動車ライターに。主な著書に、05~13年まで週刊文春に連載した内容をまとめた『カーなべ』(上下巻、カーグラフィック)。

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