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実家の家や土地、最大の「遺品」に 放置で空き家化も 終活見聞録(12)

2018/1/12

今後について思案していた16年秋にB弁護士から「250万円なら買うという不動産業者が東京にいる」と連絡があった。早く売却したかったKさんがこの話を地元の知り合いに伝えると「ちょっと待て」との返事。しばらくすると地元の不動産業者が「こちらも250万円で買いたい」と言ってきた。「地域に縁もゆかりもない業者が買って勝手なことをされたら困ると思ったのだろう」とKさん。そこからはトントン拍子に話が進み、16年末に売買契約が成立、所有権移転登記も済ませた。

売却価格は250万円だったが、抵当権抹消と土地売買にかかわったA、B両弁護士の手数料や報酬に加えて、売却には譲渡所得税もかかり、費用は合計で140万円を超えた。結局、手元に残ったのは100万円強。それでも地元の不動産業者に売れて知り合いのメンツも保てたとKさん。「地元の不動産業者に頼んでもなかなか売れない。多くの売買情報や幅広いネットワークを持つ大手じゃないと話が進まないと知った」という。それから1年たったが、その土地には今も売り地の看板が立っているという。

■相続したが利用する予定がない

抵当権はさておき、こうした話は決して珍しくないだろう。相続などで土地や家屋を引き継ぐ人は増えている。国税庁がまとめた16年分の相続税の申告状況によれば、相続財産では土地(6兆359億円)と家屋(8716億円)を合わせた不動産が全体の43.5%を占める。また、国土交通省の16年度の「土地問題に関する国民の意識調査」では、居住地や居住地以外に土地を所有している人は合計で70%に達した。居住地以外にも土地を所有している人では32.1%が「特にこれといって利用していない土地がある」と答えた。なぜ利用していないのかを聞くと「遺産として相続したが、今のところ利用する予定がないため」が36.7%と最も多かった(複数回答)。

国土交通省「土地問題に関する国民の意識調査」より作成
国土交通省「土地問題に関する国民の意識調査」より作成

親世代と子世代が同居していたり、親・子・孫の3世代がひとつ屋根の下で住んでいたりすれば、親が亡くなっても子どもたちはそこに住み続けることが多いだろう。また子どもの独立や退職といった人生の節目に、親たちが利便性のよい場所に住み替えていれば、子どもたちはもっとその家を処分しやすかったかもしれない。現在のシニア世代の多くは、1970~80年代に家を建てた人たちで、持ち家信仰が強く、自分の家に対する愛着も強い。家族が最も多いときに建てたその家に、夫婦ふたりやひとりになっても住み続ける人も少なくない。一方でその家を離れた子どもたちはすでに自分の家を構えており、親の家を引き継いだとしても、結局は持て余してしまうというのもよくある。

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