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実家の家や土地、最大の「遺品」に 放置で空き家化も 終活見聞録(12)

2018/1/12

 終活のテーマのひとつに家の片付けがある。遺品整理や生前整理など家の中にあるものだけではなく、亡くなった人が住んでいた家の建物や土地だ。今やこの不動産が最大の「遺品」とも呼ばれる。現役世代にとっては実家という事例も多いだろうが、引き継がれたその家は手に余り、放置されるケースも珍しくない。近年話題の空き家問題とも深く関わっていそうだ。そんな不動産の終活の事情を調べてみた。

■売りたくても買い手がつかず

 日本経済新聞社が2017年夏、終活について読者に聞いたところ、エンディングノートや葬儀、墓などと並んで、不動産の処分に関する回答が多く寄せられた。「空き家の実家を苦労の末に何とか売却した」「田舎の不動産は売れないので家の取り壊しから土地の売却まで大変だった」などすでに処分を済ませた人の苦労話もあれば、「田舎に無人の実家がある。売りたくても買い手がつかず頭が痛い」といったぼやき声もあった。共通するのは売りたくてもなかなか売れず、不動産の処分は容易ではないという現状だ。

 神奈川県に住む会社員のKさん(57)もそのひとりだ。3年以上にわたった土地売却の経緯をたどってみると――。

 「80代の父親が弱ってきたので法定後見人をつけようと財産を調べたのが始まりだった」とKさんは振り返る。13年夏のことだ。その中に千葉・房総半島の土地があった。以前実家があった場所だ。面積は400平方メートル弱あったが、その一部に抵当権が設定されていた。相手は農協の前身である農業会。祖父が戦前に借金をして見返りで付いたようだ。有利に処分するには抵当権を外す必要がある。ところがその農業会はすでに解散していた。借金を返したかどうかも分からない。頭を抱えたKさんは14年春にA弁護士に相談する。交渉は農業会の清算人が相手だが、こちらも死亡していた。そこで裁判所に新たな清算人の選定を申し立てた。

Kさんが引き継いだ土地、管理は地元の知り合いに委ねていた

 同年8月に新しい清算人が決まり、ようやく手続きが進むとほっとした直後に今度は父親が亡くなってしまう。葬儀を執り行い、死後の手続きもこなしながら土地の相続登記を済ませた。祖父の借金はすでに時効で払う必要はなかった。15年1月にやっと抵当権を抹消し、晴れて土地を売却できることになった。以上が前半戦。ここまでで1年半近く経過していた。

■「大手じゃないと話が進まない」

 15年6月に土地の売却についてB弁護士に相談に行く。とはいえこれまで土地の管理をしてくれた地元の知り合いをないがしろにはできない。そこで知り合いに紹介してもらった地元の不動産業者に売却を依頼する。「昔は1000万円の値が付いた」と知り合いは言ったが、とてもそんな値段は付かないと、Kさんは希望価格を半値の500万円とした。それでも、半年たっても1年たっても何の音沙汰もない。不動産業者に聞くと、周辺に声をかけたが色よい返事はなかったという。

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