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定年後のメンタル危機 備えは30~40代から!

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

「1年ほど前に定年退職した元上司と連絡を取る機会があり、久しぶりに飲みに出かけたところ、現役時代とは打って変わって精彩を欠いた様子で驚いた。定年後も元気に生き生きと過ごしていくためには、どんな準備をしておいたらいいだろう」。これは、生命保険会社に勤務するYさん(43歳)からの相談です。定年後のメンタル危機を回避するためのヒントを帝京平成大学現代ライフ学部教授の渡部卓さんに伺いました。

◇  ◇  ◇

2017年で61歳になった私は、相談者の元上司と同じ年頃だと思います。私は現在も大学で教壇に立っていますが、企業に勤めていた学生時代の友人たちは60歳で定年退職している人が少なくありません。継続雇用制度で働き続けている人もいますが、関連会社に出向するなど、働く環境は変化していることが多いようです。

働き方改革の一環で、65歳までの定年延長や65歳以降の継続雇用延長、定年制の廃止などが進められており、今後は状況も変わってくるかもしれませんが、現在のところは60歳から65歳前後で勤め人生活に区切りをつける方が大半でしょう。

それまで仕事一辺倒で来た人ほど、定年後に生活が一変して「今後どう生きていけばいいか分からない」と戸惑ったり、仕事という生きがいをなくして気力を失い、心身に不調を来したりする傾向が見られます。企業では50代の役職定年前後で定年退職を見据えた研修やセミナーなどを実施することが多いようですが、私はそれでは遅いと考えています。

定年後の人生が10年、20年程度だった時代なら、それでもよかったかもしれません。しかし、「人生100年時代」といわれる今は、定年後の人生が30年、40年と続いていく可能性があります。その長い時間を健康で、楽しく生きていくためには、会社の定年とは関係なく、30代、40代のうちから、3つの観点を軸に自分の人生を考えていくことが重要です。

ワークライフバランスに「ソーシャル」の観点を

3つの観点とは、ワーク、ライフ、そして、ソーシャルです。ワークライフバランスという言葉が浸透して久しいですが、私はかねて「ワーク・ライフ・ソーシャルバランス」を提唱してきました。

【ワーク・ライフ・ソーシャルバランスで考えたいこと】

(1)ワーク…今の仕事、キャリア、定年後の仕事、起業、ボランティア など

(2)ライフ…心身の健康、趣味や運動などの楽しみ、家族や親友などストロング・タイズとの関わり など

(3)ソーシャル…地域などのコミュニティ、緩やかな絆でつながるウィーク・タイズとの関わり など

ワークとは、今現在の仕事やキャリアのほか、定年後の仕事、起業、ボランティアなどです。ボランティアはソーシャルと考える向きもありますが、その活動に自分の居場所や役割、やりがいを見いだせるなら、ワークともいえるでしょう。

ライフとは、心身の健康、趣味や運動をはじめとする楽しみ、家族や親友などストロング・タイズとの関わりなどです。

ソーシャルとは、地域などのコミュニティや、緩やかな絆でつながるウィーク・タイズとの関わりなどが挙げられます。

このほか、私の専門外ですが、収入や資産などお金の備えをしていくことも大切です。

ウィーク・タイズについては「緩いつながり ウィーク・タイズでメンタル不調防げ」でご紹介しましたが、「頻繁には会わないけれど、尊敬し信頼する人との細く長い関係」を意味します。ウィーク・タイズとの交流は、定年後の生き方にもヒントや刺激をもたらしてくれるでしょう。

ワーク中心で生きてきた人はライフやソーシャルが弱い

私のウィーク・タイズの中には、大手商社を定年退職後、NPO法人で活躍している人がいます。「商社マン時代よりも忙しいですよ」というくらい、楽しく活動されているようです。また、自治体の職員を定年の数年前に突然辞めて、海外の島に移住した人もいます。その方はそれまでの経験を生かして、行政関連のボランティアをしています。Facebookでつながっていて、現地での仕事や生活の様子をうかがうと、とても生き生きと過ごしていることが伝わってきます。安定した地方公務員の職を定年を待たずに辞して海外移住、というのは極端な例かもしれませんが、彼は「定年」という枠でワークを考えていなかったのでしょう。

企業や組織に属していれば、いつかは定年を迎えます。ですが、定年は勤め人としての区切りであって、人生に定年はありません。

ワークを中心に考えてきた人は、ライフやソーシャルの観点が弱く、定年退職でそれまでの仕事がなくなることで、自己アイデンティティを失うことにも等しいくらいの喪失感や戸惑いを抱くことも少なくないでしょう。退職後に、町内会や自宅マンションの理事会などコミュニティとのつながりを持っても、かつての職場での自慢話をしたり、まるで部下に振る舞うかのような態度を取ったりして、周囲は不快な思いをしているといった話をよく耳にします。

また最近、私の知人からも、参加した会合で初対面の人に挨拶をした際、「元◯◯会社××」という肩書を記した名刺をもらって驚いたという話を何度か聞きました。わざわざ「元」とつけてまで肩書にこだわるのは、滑稽に映るかもしれません。ただ、それはその方が何十年とかけて築いてきたプライドであって、そのよりどころを簡単には手放せない心情も理解できます。

あえて男女の傾向の違いに着目するなら、仕事に家事、子育てにと奮闘してきた女性はやはり、仕事一辺倒で来た男性よりもワーク・ライフ・ソーシャルバランスに優れていると感じます。

「名刺を持たない付き合い」を広げよう

昔の肩書に頼らずに、素の自分で楽しく生きていくためにはやはり、30代、40代のうちから、ワーク・ライフ・ソーシャルバランスを意識して、名刺を持たない、肩書にこだわらない付き合いを広げていくことが大切だと思います。すでに50代、60代の人でも、ウィーク・タイズはいつからでも作ることができます。地域や趣味の場など、積極的に行動範囲を広げてみるといいでしょう。

また、学生時代の友人や先輩、後輩、かつての職場の同僚など、気の置けない同世代の人たちとの交流を持つのもお勧めです。同じ年頃の者同士で話してみると、悩みや不安があるのは自分だけではないことが分かり、情報交換をしたり、励まし合ったりできるはずです。

私もこの40年にいろいろな職場を経験しましたが、その職場こそが精神的にも大きな支えであったことが実感できます。しかし、昨今の職場には余裕がなく、ストレスへの対処術が必須のスキルのようにいわれています。今、国を挙げて働き方改革が進められていますが、効率化や生産性の向上といった面に注力されている印象があります。今後は職場のコミュニケーションやストレス対策、ワーク・ライフ・ソーシャルバランスといった意識改革まで、国や企業のトップが率先して働きかけていくことを期待しています。

【まとめ】

・「定年後のメンタル危機」への備えは50代からでは遅い

・30代、40代のうちからワーク・ライフ・ソーシャルバランスを意識する

・ワークを「定年」という枠で捉えない

・定年は会社員としての区切りであり、人生に定年はないと心得る

・名刺や肩書に頼らない付き合いを広げる

・気の置けない同世代の人と交流を持ち、悩みや不安を共有する

【渡部卓 働く人の心のコンディショニング術】

緩いつながり ウィーク・タイズでメンタル不調防げ

部下への怒りが爆発寸前 「ホ・オポノポノ」で冷静に

仕事のストレス減らす クイック・アンド・ダーティー

渡部卓
 帝京平成大学現代ライフ学部教授、ライフバランスマネジメント研究所代表、産業カウンセラー、エグゼクティブ・コーチ。1979年早稲田大学卒業。米コーネル大学で人事組織論を学び、米ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院でMBA取得。複数の企業勤務を経て2003年会社設立。職場のメンタルヘルス対策、ワークライフコーチングの第一人者。著書に「折れない心をつくる シンプルな習慣」(日本経済新聞出版社)など。

(ライター 田村知子)

[日経Gooday 2017年12月15日付記事を再構成]

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