また、安定性を重視する人の傾向として、「一度手にした処遇や権利を手放したくない」という心理が、リスク志向の人に比べて非常に強く働く側面があります。すでに得た権利や収入を失いたくないというのは、人間にとって当たり前の心理ではあるのですが、それが絶対条件になってしまうと、転職市場で極端に選択肢が減ってしまうというデメリットにつながってしまいます。

勝ち馬を探すより、自分が輝ける場を選ぶ

もちろんベンチャー企業への転職が百発百中で成功するわけではなく、事業が軌道に乗らない会社もあります。しかし、自分自身が全力でチャレンジしていれば、誰かがその姿を見ていて、また新たな会社で新たなチャンスが与えられやすい、というネットワーク性も、ベンチャー企業の特徴のひとつです。

なんとなく「規模が大きい企業のほうが安定しているはずだ」「やはりベンチャーは危ない」と思い込んでいる安定志向の人は、業績が下降傾向にある既存の大企業のリスクには鈍感です。その割には、伸び盛りのベンチャー企業のリスクには敏感で、事業の将来性や具体的な仕事の中身を検討することなく、食わず嫌い的にベンチャー企業を忌避する傾向があります。

「上場の可能性があるなどベンチャー企業の醍醐味は理解できるのですが、やはり自分はベンチャーには向いていないと思います。次の転職で最後にしたいので、規模が大きく、安心して生涯働ける会社はありませんか?」という話の流れになりがちです。

転職相談の時間のほとんどが、「どこかに掘り出し物の安定企業はないか?」という話題で占められ、「これまでの自分のキャリアを活用して貢献ができる仕事はないか?」という問いかけはめったにありません。「勝ち馬探し」型の転職をすべて否定するわけではありませんが、自分がどんな成果を生み出せるかという「GIVE」の視点がなく、自分にとって良い条件だけを求める「TAKE」だけの視点では、過去のキャリアがどれほど豊富でも、企業に魅力を感じてもらえないでしょう。

これからの時代を働いていく中で、本気で安定性を追求するには、乗っているだけで生涯安泰という「幻の勝ち馬」を探すことよりも、より自分が活躍できそうなミッションや機会を探し、自らの成功体験を積み上げていくことが最短距離になるはずです。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜更新です。次回は1月19日の予定です。この連載は3人が交代で執筆します。

黒田真行
 ルーセントドアーズ代表取締役。日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営。1989年リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。14年ルーセントドアーズを設立。著書に本連載を書籍化した「転職に向いている人 転職してはいけない人」(【関連情報】参照)など。「Career Release40」http://lucentdoors.co.jp/cr40/

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