もちろん、需要増加で人手不足という側面もありますが、それらはITやAIなどのテクノロジー分野、建設や医療・介護などの専門職領域、それ以外のサービス業などに集中しています。従来、「安定性の受け皿」であった重厚長大企業群は、新たに人を採用しているどころではないという状況になっています。

そのため、転職活動で安定性を条件に挙げてこだわり続けると、応募先が極端に少なくなってしまう、あるいは応募したい企業が1社もない、という事態に陥りがちです。時間の余裕があれば持久戦に持ち込むことはできますが、理想の求人と出合えるまでに数カ月かかるのか、数年かかるのか、見通しが立てられないリスクにぶち当たってしまいます。

また、運よく希望に近い求人があった場合でも、同じような条件を持つ人が多いため、募集1人の枠に数十人、数百人と応募者が殺到して、かなりの激戦になることも往々にしてあります。したがって、自分が求めている「安定性の定義」を定期的に見直してみるなどの対応が重要です。

変化を志向したほうが、安定しやすくなる矛盾

1995年ごろのインターネットの登場以降、企業を取り巻く環境は激変し、現在は100年に1度レベルの構造変化を、数十年かけて進めている最中にあります。これまで安定していた企業が徐々に不安定になり、もともと脆弱で不安定だったベンチャー企業が新たなスタンダードを創り出して安定企業になっていくといったように、産業の新陳代謝が徐々に加速しています。

そのような環境下で、

●企業規模がより大きな企業のほうが安定しているはずだ
●歴史があるメーカーや金融機関のほうが安定しているはずだ
●退職金制度が整っている会社であれば安定しているはずだ

というような、従来型の「安定性」のモノサシで転職活動をしていると、「安定を求めれば求めるほど不安定になる」というリスクが高まってしまいます。

逆に言えば、自分なりに可能性を感じるベンチャー企業を見つけて、あえてリスクを取り、一緒に事業を育てる仕事にチャレンジしたほうが、結果的に安定が手に入るという事例が頻繁に生まれています。ここでいうリスクとは、企業規模が小さくなったり、年収やポジションなどが一時的に下がってしまったり、手厚い福利厚生や退職金制度などを失ったりすることです。

ただ、構造が大きく変化している時代だからこそ、変化に賭けたチャレンジが、より大きな充足感を生む可能性は、20世紀とは比べものにならないくらい高まっているといえるでしょう。一方で、重厚長大企業で巻き起こっているリストラの嵐のように、リスクを恐れて動かなかったことが、より大きなリスクにつながってしまうというケースも非常に増えています。

今、転職を検討しているあなたへ / 日経転職版

同世代の年収っていくらぐらい?

日経転職版でチェック

>> 年収チェックはこちらから

次のページ
勝ち馬を探すより、自分が輝ける場を選ぶ