日比谷らしくない改革 経営者校長、東大合格校に再生日比谷高校の武内彰校長に聞く

「経営者」と自らを表現する日比谷高校の武内彰校長

武内校長は、「筑波大学付属駒場高校(筑駒)や筑波大学付属高校、東京学芸大学付属高校など国公立大学付属校を蹴って、ウチに入ってくる生徒が増えましたね。今は入学者の2割ぐらいはいます」と話す。東大合格36年連続トップの開成高校を蹴って入学する生徒も20人近くいる。すでに入学時点で日比谷の成績上位層は、全国トップの学力レベルに達している。

かつて日比谷は日本を代表する名門校だった。1878年に創立された東京府第一中学が源流。戦前は府立一中、旧制一高、東京帝国大学が日本のトップエリートの登竜門と呼ばれた。明治から昭和にかけての著名卒業生のリストはどこの学校よりも分厚い。

OBは偉大、夏目漱石からノーベル受賞者まで

夏目漱石や幸田露伴、尾崎紅葉のほか、谷崎潤一郎、小林秀雄など文豪や評論家の名前が並ぶ。「財界総理」とされる経団連会長を務めた石坂泰三元東芝社長も出身。その後もトヨタ自動車の豊田章一郎名誉会長、新日本製鉄(現在の新日鉄住金)の今井敬元会長が2代連続で経団連会長に就任した。日本を代表する大企業の歴代トップには日比谷出身者が少なくない。

都心にある日比谷高校。周辺には超高層ビルが立ち並ぶ

ノーベル生理学・医学賞の利根川進氏やノーベル経済学賞の候補ともいわれた宇沢弘文氏も卒業生だ。政治や経済など各界のトップ層が日比谷出身者で占められたといわれる時期もあったが、1967年に東京都が「学校群制度」を導入し、日比谷の進学実績は大きく下がった。

日比谷出身の東大文学部4年生の男子学生は、「昔の卒業生は日本史の教科書に出てくる偉大な人ばかりだからピンとこない。色々な会社に就職活動をして、以前の社長や会長が日比谷OBだったといわれることがあり、すごい学校だったんだなあと。日比谷は卒業して価値が分かる高校ですね」という。

武内校長は「目下の目標は最も志望者の多い東大の現役合格者数を増やすことですが、それはファーストステップです」という。部活や行事を通じて人間力も高め、「ちょっと大げさに言うと、人類に貢献するグローバルリーダーを育成することが最終目標です」と強調する。日比谷のグラウンドの前には国会議事堂や議員会館が並ぶ。日本の政治の中枢に位置する日比谷。トップリーダーの育成が再びスタートしている。

(代慶達也)

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