日比谷らしくない改革 経営者校長、東大合格校に再生日比谷高校の武内彰校長に聞く

「面倒見がいい」といわれる中高一貫の有名私立校もあぜんとする手厚い指導ぶりだ。しかし、日比谷は単純な受験エリート校を目指しているわけではない。

一方で、部活や行事も重視する。5月に体育大会、6月に合唱祭があるが、名物は文化祭に当たる「星陵祭」だ。

星陵祭の主役は、「受験生」でもある高3の生徒だ=日比谷高校提供

9月下旬に開く星陵祭の主役は高校3年生。8つあるクラスのすべてが参加する演劇がメインイベントだ。星陵祭には毎年約7千人の来場者が詰めかける。「高3生は、星陵祭で何らかの役割を担うため、それまでは受験勉強一辺倒とはいきません。その分、効率的に行事の作業を進めるように各生徒は心がけています」(武内校長)という。その後、わずか4カ月程度の集中学習で現役合格を勝ち取る生徒が増えているわけだ。

意識は経営者

日比谷の教員はもちろん公務員だが、生徒の指導にかなりの時間を費やすことになる。武内校長は「かなり大変ですね。都立高の教員には、日比谷に行きたくないという教員もいるでしょうが、やる気と能力のある教員にしか来てもらっていないです」と話す。そして「私も経営者という意識を持ってやっています」と強調する。自らを教育者でなく、「経営者」と言い切る校長に出会ったのは初めてだ。武内校長は「学校経営計画を策定し、覚悟と責任を持って、それを実行しています。本当は全予算を任せてもらって運営したいのですが、都立ですから」という。

日比谷の学校経営計画書は具体的で曖昧な文言が少ない。17年4月に作った計画書には、合格の数値目標として、(東大など)難関4国立大学と国公立大学医学部医学科の現役合格者70人以上(前年度実績は56人)、大学入試センター試験5教科の総合得点率80%以上の目標数は160人以上(同152人)など目標と実績を詳細に明記し、コミットメントしている。まるで企業のような「(計画・実行・評価・改善の)PDCAマネジメントサイクルの実働化」という言葉まで書き込まれている。

国立付属校を蹴って入学が2割

日比谷の再生がスタートしたのは2001年だ。東京都が公立高校復権を掲げ、日比谷を進学指導重点校の1校に指定した。当初は都立西高校の方が進学実績で上回っていたが、12年に武内氏が校長になると、日比谷は度々都立トップの実績を上げるようになった。都立高なので学費は安く、都心にあって交通の便がいい。そこに「有能な教員が多く、面倒見がいい」となると、がぜん人気が高まる。

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