井上苑子 女子中高生の本心歌い、動画再生5000万回

日経エンタテインメント!

嘘偽りのない真っすぐな思いを込めた歌詞を、キャッチーなメロディーに乗せてかわいくも切なく歌う楽曲で人気上昇中なのが、19歳のシンガーソングライター井上苑子だ。10代女子の本心を代弁する歌詞が特徴で、女子中高生を中心に支持を集めている。

1997年生まれ、兵庫県出身。高校生の時に上京し、15年にデビュー。1stシングル『だいすき。』はYouTubeで1000万再生を超え、女子中高生を中心にスマッシュヒット(写真:藤本和史)

小学校6年生から自ら作詞作曲した曲をギター片手に路上ライブで披露し、音楽活動を開始。高校生になって始めた動画配信サービス「ツイキャス」では、恋愛相談に乗るなど視聴者と会話をしながら、自身の楽曲やリクエスト曲を歌って一躍人気者となった。累計視聴者数が200万人を突破した2015年にメジャーデビューを果たし、ミュージックビデオの総再生回数は5000万回を超える(18年1月時点)。

彼女の歌詞の特徴は、10代の女子の本心を代弁していること。「定期的に友人と集まってガールズトークをしたり、少女マンガを数多く読むことで、同世代に共感してもらえる歌詞を書くようにしています」。また、ファンとの距離の近さも強みの1つ。「ライブのMCでは、あえて敬語を使わずフランクにしゃべりかけたり、握手会では来てくれる方のあだ名を覚えて、友達のような感覚で一緒に盛り上がっています」

少女マンガとのコラボ曲も

『JUKE BOX』 淡い恋心を歌った『ナツコイ』や、初めて失恋ソングに挑戦した『なみだ』、『あいのり:Asian Journey』のテーマ曲となっている『せかいでいちばん』など全14曲を収録。(ユニバーサル/2963円)

そんな彼女が17年12月6日に2ndアルバム『JUKE BOX』をリリースした。12月11日に20歳の誕生日を迎えた彼女にとって10代の集大成となる作品で、得意の恋愛ソングが目白押しだ。恋する女の子のあるあるを歌う『可愛くなってもいいですか』や、小さい頃から憧れていた、いきものがかりの水野良樹が作詞作曲を手掛ける純粋無垢なラブバラード『せかいでいちばん』などを収録する。

なかでも苦労したのは、高校生の男女4人の恋愛模様を描いた少女マンガ『思い、思われ、ふり、ふられ』とコラボレーションして書き下ろした『恋歌』だという。「原作ありきで曲を作ったのは初めてでした。マンガを読んだことのない人にも世界観を届けることを意識して、『背中越しで交差する/2人の景色同じですか』という歌詞から、なかなかうまくいかない主人公たちの恋愛や心情が伝わるように工夫しています」

また『SHAKE』では、恋愛ソングではない新たなテーマにも挑戦。「おにぎりをキーワードに、懐かしさを感じさせるサウンドに乗せて、初めて家族愛について歌っています。年齢的に家族のありがたみを感じるようになってきているので(笑)。恋愛ソングの胸のトキメキとは違い、聴いていて心がほっこりとしたり、幸せだなと思ってもらえる1曲です」

今後は、「同世代のリスナーたちと一緒に成長していきたい」と語る彼女。「20代になったら、片思いの恋だけでなく、両思いの歌も作れるようになりたい」と考えているそうで、より幅広い世代から共感を得られるラブソングを生み出していきそうだ。

(ライター 中桐基善)

[日経エンタテインメント! 2018年1月号の記事を再構成]

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