吉田カバンのビジネスリュック 出し入れの仕方に工夫
定番3ブランドの新ビジネスリュックをチェック(中)
通勤シーンでも珍しくなくなったビジネスリュック。この特集では定番ブランドの注目モデルを紹介する。前回のザ・ノース・フェイスに続き、今回取り上げるのは、幅広い世代に人気の吉田カバンの3モデル。どれもバッグ内へのアクセスに工夫が施されている。
スーツに似合うビジネスリュック
ビジネスパーソンをはじめ、幅広い年齢層に支持を得ている吉田カバンは、米国空軍のフライトジャケット「MA-1」をモチーフにした「TANKER」シリーズをはじめ、およそ200ものシリーズがある。その中で、運ぶ・持つ(LIFT)というかばんの本質を軸に作られたのが「LIFT」シリーズ。「PORTER LIFT DAY PACK」はシンプルなデザインの薄マチでスーツに合うし、電車などでの通勤時にも邪魔にならない、まさにビジネス仕様のデイパックだ。
表地にはタテ糸に210デニールのナイロン糸、ヨコ糸に複数の中空状繊維をより合わせて紡績した「強合撚ナイロン中空糸」を用いた超高密度ナイロンツイルを採用。ボリューム感があるのに軽いかばんに仕上がっている。シルクのような品の良い光沢感があるのも、この素材の特徴。裏面にPVC加工が施されているので、水滴が中に染み込みにくいし、ハリ感が出てかばんの形をスッキリと整えている。カジュアルになりやすいナイロン製のデイパックなのに、ビジネス向きのシャキッとした雰囲気があるのは、その素材とデザインの合わせ技だろう。
背負っても持っていても開けやすい
このバッグのデザイン上の特徴にもなっている斜めのファスナーは、肩にかけたままでも中の物が取り出しやすい仕様だ。しかも、このポケットにはマチが付いているので、それなりに厚みがあるものも収納可能。
吉田カバン広報の岡田博之氏によると、「この前ポケットの形に至るまでに職人が試行錯誤を繰り返した」とのこと。また、背負った状態での背面右下には、スマホなどを収納できるクッション材入りのポケットを装備。このポケットには背負ったままでもアクセスできる。
薄マチでありながら、メインコンパートメントの背中側にはPCも入れられるクッション材入りのポケットを装備。A4ファイルもラクに収納できる大きさで、ビジネスバッグとしての機能をしっかり押さえている。薄マチといっても、折り畳み傘やペットボトルなども十分収納できる大きさ。価格も手ごろだし、実際に背負っても体への負担が少なく、服も選ばない。持っていれば幅広く使えるビジネスリュックだ。
シンプルなデザインの3wayバッグ
「PORTER FLASH 3WAY BRIEF CASE」はブリーフケースとしてよりも、デイパックとしての使用をメインに考えられた3wayバッグ。丸みを帯びた形状はややカジュアルな印象だが、横方向にして持てばブリーフケースになる。
岡田氏によると、「メインのターゲットは学生や20~30代のビジネスパーソン、特に私服通勤やフリーランスの方を意識している」とのこと。シンプルなデザインなので、ブリーフケースとして持てばビジネスの現場で浮くこともない。また、内装のポケットなどはタテでもヨコでも使えるように、ファスナーがタテとヨコの両方に配してあるなど、ビジネスバッグとしての配慮も十分だ。
ナイロンオックスにボンディング加工をした手触りの良い生地は、表面にテフロンファブリックプロテクター加工、裏面にウレタンコーティングが施されたはっ水性能が高いもの。また、ファスナーのテープ部分や内装にもはっ水加工を施しているので、小雨くらいではかばんの中に浸水することはない。
表面の大きなポケットはタテ使い・ヨコ使いの両方に対応し、大きく開くので扱いやすい。クッション性のあるリュックストラップを使い、リュックストラップを留める金具をかばん本体から少し引き出した位置に付けるなど、背負ったときのフィット感を考えた構造になっているのも魅力的だ。
PORTER TIMEシリーズから革製リュック
2015年に発売された「PORTER TIME」シリーズは、ビジネスバッグに必要な機能をベーシックなデザインに落とし込んだ人気シリーズ。そのPORTER TIMEを革素材にアップグレートしたシリーズが、「PORTER TIME BLACK」だ。牛ステアをクロームなめしした素材は、きめ細かく、柔らかく、なめしの段階でスコッチガードを施してあるので水にも強い。
同シリーズのデイパックが「PORTER TIME BLACK DAY PACK」。30~60代をターゲットにした大人のビジネスリュックだ。
面や内装にナイロンを使うことで、革のリュックとは思えない軽さに仕上がっている。そのうえ、デイパックとは思えないくらい豊富なポケット類が用意され、背面は独立したコンパートメントの中にPC用ポケットが配置されている。
面白いのは、メインコンパートメントを開閉するスライダー(ファスナー)が4個付いていること。これによって、メインコンパートメントにあらゆる角度からアクセスできるのだ。背負ったままや、リュックストラップを片方だけ肩から外した状態でスムーズに中のものを取り出したり、かばんに収納したりできる。
スライダーはロック式で、歩く際にカチャカチャ音がしないようになっているのもうれしい配慮。「あえて革らしくない質感の革を選ぶのにこだわった」(岡田氏)という、ナイロンバッグのように使える革かばん。そのコンセプトも面白い。
上 ザ・ノース・フェイスの新リュック 自立し収納も多彩
中 吉田カバンのビジネスリュック 出し入れの仕方に工夫
下 TUMIのビジネスリュック ブリーフでも違和感なく
(ライター 納富廉邦)
[日経トレンディネット 2017年12月11日付の記事を再構成]
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