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遅咲き女性管理職、50代で戸惑いながらの挑戦

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NIKKEI STYLE

50代で初めて管理職に昇進する女性たちが登場している。コツコツと実力を蓄えながらも、女性であるがゆえに昇進・昇格の対象外に置かれてきた。それが女性登用の追い風を受け、主役に躍り出た。戸惑いながら期待に応えようと奮闘する50代遅咲き女性管理職を追ってみた。

 ◇   ◇   ◇

視野広がり成長できる 千葉銀行成田空港支店副支店長・飯田敏子さん(53)

「本当ですか?」。千葉銀行の飯田敏子さん(53)は2016年6月に管理職昇格を上司に告げられ、思わず聞き返した。1983年に高校を卒業して就職。7つの支店で窓口業務を担ってきた。管理職は想定外。不安が先に立ち、よほど暗い表情をしていたのだろう。上司は「これまでの仕事ぶりが評価されたんだから、少しは喜べよ」と苦笑交じりに諭した。

就職したときは結婚か出産で退職するつもりだった。幸運にも両親の応援を得て、2人の子どもを育てながら仕事を続けてこられた。社歴は30年を超え、職場で頼られる存在に。折しも会社が女性登用の方針を打ち出し、白羽の矢が立った。「以前は上司に判断を仰げた。今は判断する立場。責任の重さが違う」

現在は成田空港支店で副支店長を務める。場所柄、外国人や海外に旅立つ直前の日本人が口座を開きに訪れる。なぜ出入国の間際に銀行口座が必要になるのか。不法な取引に悪用される恐れもあり、開設を断ることもある。納得しない来店者には矢面に立ち、説明する。「大変な分、視野が広がり成長もできる」と気を引き締める。

労務行政研究所(東京・品川)の「昇進・昇格、降格に関する実態調査」(14年)によると課長の標準昇進年齢は40.2歳。50代での管理職昇格はスロー出世だ。今でこそ採用・育成で男女差は縮まり女性が管理職に就きやすくなっているが、彼女たちが入社した当時は違った。年功序列で一定ペースで昇進・昇格できた男性と異なり、仕事で成果を挙げても評価されにくく、管理職は遠い存在だった。

違う立場、働き方新鮮 熊谷組建築統括部課長・山村河奈さん(52)

熊谷組建築統括部・課長の山村河奈さん(52)は88年に一般職として入社した。「男女雇用機会均等法が施行されたばかり。均等は名ばかりで、多くの企業は女子に採用日程さえ教えてくれなかった」。きちんと選考してくれたのが熊谷組だった。

社内報の編集などに長らく携わり、06年に今の部署にやってきた。支店や営業所の業績を集計し、資料にまとめる。転機は15年秋だ。勤務地限定総合職制度を会社が導入。一般職も転換すれば管理職への道が開けた。「仕事に不満はないし、本当は関心なかったけど、上司に強く勧められ、応募した」

転換希望者は選考を兼ねた研修を受けた。多数の案件を制限時間内で優先順位を決めて処理するシミュレーションだった。自分で考え判断し、答えを導く。そのプロセスが日常の業務と違っておもしろかった。職場に戻り、上司を観察してみると研修と同じように、複数の案件を日々さばいていた。「同じ職場でも立場が変わると、こんなに働き方は違うんだ」。昇進に興味が湧いた。無事選考を通過し、16年春に課長に就いた。

同じ部署にもう1人、課長がいる。年下の男性総合職だ。業績集計表にざっと目を通すだけで、課題を的確に見抜く。「部歴は私の方が長いはずなのにかなわない」。一般職と総合職。鍛えられ方の違いを痛感する一方で、自分にしかできない強みもあるはずだと模索する。「せっかくもらったチャンス。休日に社外研修に参加し、会社の役に立てるよう勉強している」

人を育てて結果出す 損害保険ジャパン日本興亜四国保険サービス部業務課長・野間純子さん(54)

「四国のサービス部門を日本一にしたいんです」。損害保険ジャパン日本興亜の四国保険金サービス部・業務課長の野間純子さん(54)は目を輝かせる。そのためには組織を動かす力が必要だ。夢の実現のために40代になってから管理職を目指し、16年7月に業務課長に就いた。

92年に29歳で中途入社。保険金支払部門で経験を積んだ。処理件数の多さと顧客満足度の高さが評価され、2回、社長表彰を受けた。ただ昇進・昇格に興味はなかった。「当時の関心は目の前の仕事。支払いが無事終わり、お客さまに『ありがとう』と声を掛けられるのがうれしくて働いていた」と振り返る。

愛媛県で生まれ、勤務地はずっと県内だった。05年に東京で社内研修に参加し、自分の視野の狭さに気付いた。「どうすれば職場をもっとよくできるか。全国から集まった参加者はほとんどが年下だったけど、意見をしっかり持っていた」。会社の全体像をつかもうと東京本社への異動を希望。人事部門で4年間、社内研修を担当した。

松山市にある現在の部署は約50人の大所帯。野間さんは課長に次ぐナンバー2だ。保険金がつつがなく支払われるように部下を束ねる。「自分が直接やった方が早く処理できると思うときもある。だけど一人でできることは限りがある。一人ひとりを育てて組織を動かせれば大きな結果を出せる」。マネジメントに戸惑いながらも、その醍醐味を楽しんでいる。

 ◇   ◇   ◇

私も同年配、負けられない ~取材を終えて~

女性管理職比率の数値目標を定めた企業は、その候補者向けにキャリア研修を盛んに開いている。見学にいくと、ほとんどの会場に管理職適齢期を過ぎたとおぼしき年配女性が交じっているのに気付いた。それが今回の取材のきっかけだ。よく考えてみれば男女雇用機会均等法の施行前後に大量採用された女子学生が50代に突入している。長らく実力を磨いた彼女たちを、遅まきながら企業が登用するのは自然な流れだ。

21世紀職業財団が一般職女性に2017年、聞いた調査によると、仕事で「現在よりも貢献したい」とする回答が50代でも44%も占めた。ここまでチャンスに恵まれてこなかった反動か、向上意欲は旺盛だ。実は私は1964年生まれで、彼女たちと同世代。私を含めて同年配の男性は仕事をやりきった感が漂い、活気を失いつつある。負けていられないとネジを巻き直した。

(編集委員 石塚由紀夫)

[日本経済新聞朝刊2018年1月8日付]

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