G-SHOCK風アクションカム 大き過ぎるがそそられる
アクションカメラ(耐初撃や防水・防じん機能を備えたビデオカメラ)は、すっかり1つのジャンルを確立したようだ。今回は、カシオ計算機から登場したタフなアクションカメラ「G'z EYE(GZE-1)」(実勢価格4万6000円)をレビューする[注]。
[注]記事中のアプリは開発版なので、製品版とは挙動が異なる可能性があります。
G'z EYEのデザインは、見るからに頑丈そう。かなり特徴的な外観だが、単にG-SHOCKをモチーフにしているわけではなく、機能や性能の表れだ。落としても球形のレンズが地面などに当たらないように保護する形状になっている。とがった岩の上などに落としたりしなければまず大丈夫だろう。
すべてのボタンが押し込むタイプなのは、誤動作を防ぐため。それぞれのボタンにガードが付いているので、他の荷物と一緒にかばんなどに入れておいても、いつの間にかスイッチが入っているようなことはないはずだ。
「タフネスギア」といううたい文句の通り、アウトドアやスポーツシーンでガンガン使えるのがG'z EYEの最大の魅力だ。耐衝撃は落下4m、防水は水深50mまで対応し、防じんはもちろん、マイナス10度の低温にも耐える。ダイビングやサーフィン、スノーボードなどでの撮影にも問題なく使えるのだ。
ゴツくて重いので邪魔になる可能性も
樹脂の質感はとても素晴らしく、金属のボタンは硬くて冷たい手触りがとても男心をくすぐる。ビスの周囲などにはスリットが刻まれていて、グリップ性能を向上させているという。ある意味で過剰なデザインとも言えそうだが、そこには長年G-SHOCKを作り続けてきたカシオだからできる、ヘビーデューティーさにそそられる。
内部構造にもこだわっていて、ボディーは衝撃を吸収するウレタンバンパーでカバーされているという。また、背面にはステンレスのパネルが貼られていて、かなり高級感がある。
ただ、かなりゴツくて重いのが気になる。本体は74.1×75.0×46.4mmと大きく、電池とメモリーカードを含むと172gという重量なのだ。見た目にはそそられるのだが、38.2mm角で74gの「GoPro HERO4 Session」などと比べると相当に大きくて重い。装備の多い登山などはいいが、軽量化が重要なランニングなどでは邪魔になるかもしれない。
Wi-Fiの接続が面倒だった
G'z EYEは、スマートフォン(スマホ)と連携して使うのが基本になる。専用アプリの出来はなかなか良いのだが、接続は面倒だ。まずBluetoothで端末に接続し、端末の設定画面でWi-Fiに接続する必要がある。ところが、Wi-Fiはカメラやリモコンでの操作に切り替えるたびに切断されるため、撮影した写真を見るときなどには再びWi-Fiに接続し直さなければならないのだ。これがいちいち面倒だし、それなりに時間がかかる。
もちろん、カメラ単体やリモコンを利用しての撮影も可能だ。動画や静止画のボタンがあるので、それらを押せば撮影はできる。しかし、液晶モニターが付いていないので、果たしてどんな角度で撮れているのかがさっぱり分からない。また、バッテリーやメモリーの残量なども分からず、結局スマホが必要になる。
撮影開始時には、ピッという音が鳴るので撮っていることは分かるのだが、屋外では風や水の音などが邪魔をして聞こえないケースも少なくない。かといって、撮れているかどうかをランプで確認すると、自分の顔が写ってしまう。後で編集すればいいのだが、余計な作業はできれば避けたい。
液晶でプレビューが見られないとしても、せめてバッテリーやメモリーの情報は表示してほしかったところだ。液晶モニターを搭載しているGoProとは大きな差がある。
4K対応ではないのが残念だ
バッテリー駆動時間は、フルHDの実撮影時間で1時間10分とのことだ。ただ、背面のカバーを開けないと充電できないのはいかがなものか。充電端子がむき出しになっていないのは、頑丈さとのトレードオフなのだろう。とはいえ、屋外ではモバイルバッテリーで充電したい場面は少なくないはず。僕なら釣り場で充電すると思うが、そんなときに背面カバーを開けたくはない。また、長時間の撮影ではモバイルバッテリーをつなぎっぱなしにできると安心だが、やっぱり背面を開けて使う気にはなれないのだ。
実際に撮影してみたが、13mmの広角レンズなので相当ワイドに写る。スマホで撮影した動画とはまったく違うのが特徴と言えそうだ。手元にあった全天球カメラ「Gear 360」の半天球モードと撮り比べてみたが、正直に言って映像の出来は引き分けといったところ。どちらもフルHDで撮影したので、それなりに見られる映像が撮れた。
僕の場合は釣りをしたり、ロードバイクで走ったりしているシーンを撮りたいので使う機会があまりないのだが、若い人ならスケートボードやBMXなどを楽しむときに「ドラマチックスロー」を利用するも楽しいだろう。これは、スローボタンを押した前後を通常の4倍または8倍のフレーム数でハイスピード撮影できるというもの。決め技やジャンプなどの決定的瞬間をスーパースロー映像で残せる。G-SHOCK風のデザインもストリート系の若者にウケそうだ。
1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。
[日経トレンディネット 2017年11月30日付の記事を再構成]
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