米どころ福井県産の海水塩「越前塩」

次におすすめなのが、福井県産の海水塩「越前塩」。地元福井にあふれるおいしい食材の味を引き立たせたいという想いを抱いた生産者の試行錯誤の末に生み出されたお塩ですが、その味わいはまさにお米向き。そのため、お米の力強さが感じられる日本酒との相性はバッチリなのです。

適度なしょっぱさと心地よい苦味があり、余韻の長い濃厚なうまみが感じられます。ふわふわしていて、なめらかな口当たりです。

究極の天日塩、沖縄県の「くがにまーしゅ細塩」

3番目にご紹介するのが、沖縄県の離島・多良間(たらま)島産の海水塩「くがにまーしゅ 細塩」。手つかずの自然が多く残るこの島の美しい海水を、あえてなにもせずに結晶箱の中にいれ、風と太陽の力だけで数カ月かけて濃縮・結晶させていくという、究極のサンドライ(天日)塩です。

長い時間をかけて育てられた結晶は少し粒が大きめで、ガリッとした食感も楽しめる。かむほどに力強い骨太なしょっぱさとともにはっきりとした酸味を感じることができます。味覚の対比効果と抑制効果の合わせ技で、日本酒の甘味をひきたててくれます。

うまみが強いパキスタン産の「クリスタル岩塩」

これまで紹介してきた塩とはちょっと異なり、縁の下の力持ちとなって日本酒の味わいを引き立てるというよりは、塩そのものに珍味のような味わいがあるのが、パキスタン産の岩塩「クリスタル岩塩」です。この塩そのものに干した帆立の貝柱のようなコハク酸系のうまみが感じられるため、なにか貝類のつまみを食べているような気分になります。

なお、パキスタン産の岩塩といえば鉄分を多く含んだピンク色のものが主流で、これくらい透明度の高いクリスタルタイプの産出量は少なく、とても希少です。

最後にご紹介するのが、山形県鶴岡市温海にある製塩所「吉野屋」で生産される藻塩「吉野屋 あらめ塩」です。藻塩とは海藻を利用して作られた塩のことで、塩に海藻のエキスが含まれています。

食感が個性的なアラメを使った藻塩「吉野屋 あらめ塩」

一般的に藻塩づくりにはホンダワラ(玉藻)が使用されますが、今回ご紹介するこちらの藻塩は、アラメを使用しています。独自に開発したという製造方法により、コンスタントに小さなピラミッド状~フレーク状の結晶を作り出しているため、口に入れるとサクッとした食感を楽しむことができます。溶けるにつれてふんわりと磯の香りと海藻のうまみを感じることができます。こちらも前述の「クリスタル岩塩」同様、塩そのものの風味が強いので、なにか海藻類を使ったおつまみを食べているかのような雰囲気になります。

今回は純米酒に合う塩を5種類ご紹介しましたが「塩」を選ぶことで、繊細に変化する酒の味わいを楽しむことができるので、酒の味を追求したい方にはぜひおすすめです。

ただし、塩だけで日本酒を飲むと酔いが回るのが早いので、適度に「和らぎ水」を飲むこと、また、酒の味を堪能する前に、たんぱく質、糖質、脂肪を含んだおつまみ(ポテトサラダや肉じゃが等)を取るようにしてくださいね。

(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)

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