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「通訳ガイド」いよいよ解禁 訪日客おもてなしに商機 HISやエアビーが相次ぎ仲介、案内士の資格なくてもOK

2018/1/18 日本経済新聞 朝刊

 旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)や民泊仲介大手の米エアビーアンドビーなどが通訳ガイドの仲介ビジネスに本格参入する。1月4日の改正通訳案内士法の施行を受け、通訳案内士の資格がない人でも有料ガイドができるようになった。商機とみた各社は仲介サイトを設けてプランを増やしたり、研修を開いたりしてガイドの育成や囲い込みに動く。規制緩和を追い風にインバウンド市場でビジネスチャンスが広がってきた。

HISのサイトには約850人の通訳ガイドが登録(東京・浅草での案内風景)

 HISは同日、旅行大手で初のガイド仲介サイトとなる「トラビー」のサービスを始めた。「寺だから手をたたかず祈りましょう」。東京・浅草の浅草寺。英国人のマーク・フェルナンデスさん(34)と交際相手の中国人、黄暁君さん(24)が合掌した。

 案内役を務めた和太鼓講師の鈴木順子さん(49)はトラビーに登録し、仕事を受けた。フェルナンデスさんは「気さくでよかった」と満足顔。鈴木さんも「案内士資格は持っていないが、空き時間にガイドをして報酬を得られる」と喜ぶ。

 トラビーにはガイドが約850人登録し、案内できるプランを掲載。鈴木さんの報酬は1時間3千円の案内料から2割の手数料を引いた分だ。

 エアビーは座禅などの体験をガイドらが企画するプランを200以上に増やした。従来も1つの施設なら無資格者が有料で案内できたが、法改正で複数箇所を巡るプランも作りやすくなる。

 ベンチャーのトラベリエンス(東京・台東)は案内士の仲介サイトで留学生ら無資格者の登録を始めた。ハバー(神奈川県鎌倉市)は通訳と説明役の計2人が案内する手法で施行前から無資格者の有料案内を実現した。

 通訳案内士の登録数は2017年4月に約2万2千人。5年前より4割増えたが、3.4倍に達する訪日客の伸び率より緩やかだ。登録言語の約7割が英語、居住地も7割強が都市部と偏りも大きい。20年に訪日客4千万人、30年に6千万人との政府目標が実現すれば、ガイド不足は深刻になるため、規制を緩めた。旅行大手からも「試験にない希少言語の顧客対応や地方は無資格者に頼る可能性がある」(日本旅行)との声があがる。

 年10回以下しか案内しない人が4割を占める案内士だが、無用になるわけではない。育成機関の日本文化体験交流塾(東京・港)の米原亮三理事長は「従来の試験は奇問も多いが、資格は品質の証。高難度な業務は奪われない」とし、研修に力を入れる。

 ただ、無資格者の増加でガイドの質が低下すると心配する声もある。HISは研修を行うとともに、顧客からの評価を5段階の星印で明示。悪質な行為があれば、登録を外すこともあるという。エアビーは経歴などの審査を厳しくしている。優秀なガイドが増えれば、訪日客の消費拡大にもつながりそうだ。

[日本経済新聞朝刊2018年1月5日付]

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