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ロシア、原点に戻れるか 勝利の栄誉は国でなく選手に

2018/1/11 日本経済新聞 朝刊

約1カ月後に開幕する平昌冬季五輪の開会式や表彰式に、いつもメダルを量産するロシアの国旗と国歌は登場しない。国際オリンピック委員会(IOC)が国家ぐるみともされる組織的なドーピングを理由にロシア五輪委員会の資格を停止したからだ。

ロシア勢は「ロシアからの五輪選手」として五輪旗を先頭に個人の資格で参加する。金メダルを獲得しても五輪賛歌が流れる。IOCがロシアに厳しい処罰を下したとの評価もあるのだが、国家としての体面をのぞけば実質的な影響はほとんどない。

ロシア選手が参加する条件は主に(1)過去にドーピングの違反歴がないこと(2)厳しい検査をパスすること――の2点。違反歴がなければ他国のメダル候補と大きな違いはない。ロシアからの選手が多数、五輪に出場しそうだ。

IOCのロシアへの処分は「五輪を国威発揚に使うことは許さない」というメッセージといえる。表彰式での国旗、国歌は勝者であるアスリートをたたえるものであり、国家をたたえているわけではない。五輪憲章は「オリンピックは選手間の競争であり、国家間の競争ではない」と定めている。その意味では五輪旗の下に集うメダル大国の選手たちは、五輪の原点に立ち戻るきっかけになるかもしれない。

とはいえ、五輪が実際は国別対抗戦であることはまぎれもない事実。平昌にはロシアから一般の応援団も訪れるだろう。金メダルを獲得した選手にスタンドからロシア国旗が渡され、それを掲げてのビクトリーランなど披露されたらどうなるか。今回のロシアへの処分もまるで意味のない茶番と化してしまう。

(編集委員 北川和徳)

[日本経済新聞朝刊2018年1月11日付]

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