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個人投資家の6割超、運用成績プラスに 17年の株高で 企業業績が堅調、利益確定急ぎすぎた人も

2018/1/6

ピクテ投信投資顧問の松元浩・常務執行役員は17年の株式相場を「企業の稼ぐ力が思った以上に強く、多くのリスク要因に勝った年」と振り返る。アンケートで印象深い出来事を聞いたところ、内外の株価上昇に次いで「北朝鮮問題」「企業の相次ぐ不祥事」などネガティブなニュースが上位に(グラフD)。松元氏は「地政学リスクを意識しすぎた人は、上昇基調に乗り切れなかったのではないか」と分析する。

実際、個人投資家からはプラスの運用成績を確保しながらも、自らの投資行動を後悔する声も多く聞かれた。埼玉県の会社員の女性Fさん(41)は食品やレストラン、ホテル株などを中心に運用し、全体で20%近いプラスとなった。

ただ「利益確定を急ぎすぎてしまった」と悔やむ銘柄もある。例えば3年前に約6000円で買った日清食品ホールディングス株。11月に7900円ほどで売却した後、みるみる値上がりし、半月ほどで8300円を超えた。

相場は予測通りには動かない。相場格言の「もうはまだなり、まだはもうなり」を「痛感した」と奈良県の女性(77)。同様のコメントをした人が多かった。

厳格な投資ルールを実践する行動が裏目に出た人もいた。15年以上の日本株投資歴を持つ千葉県の会社員、大野芳政さん(37)は、買値を4%下回った銘柄を機械的に損切りするルールを徹底して安定的な利益を得てきた。しかし17年は損切りした銘柄の多くがその後、急上昇した。

17年は米国を中心に世界の株式市場も好調だった。兵庫県のパートOさん(54)は今年50%を超える運用益を得た。16年末に不動産投資信託(REIT)を値下がり直前で売り抜け、その資金をアセットマネジメントOneの「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド」に投じた。

同投信の組み入れ比率は米国株が48%。次いで中国、英国などの株式を中心に運用する。この1年で約40%上昇した(11月30日時点)。米国株に投資した神奈川県の会社員Hさん(48)も、17年の運用益は50%を超えたという。

■外貨運用振るわず

一方、存在感が薄かったのが外貨運用だ。兵庫県の主婦(65)は「1ドル=105円台まで円高になったらドルを買おうとしたが、思ったより値動きがなかった」と話す。今年の円ドル相場は値幅10円程度と動きの小さな1年だった。

17年に運用した商品(グラフC)で6位に入ったREITも分配金引き下げの流れなどを受け、年初から下落基調が続いた。千葉県の会社員の女性(49)は「売るタイミングを逃し、ずるずると下がってしまった」と悔やむ。

18年1月に始まる積み立て方式の少額投資非課税制度(つみたてNISA)について聞いたところ、41%が「NISA口座を持っているが、つみたてNISAには切り替えない」と回答。「つみたてNISAに切り替える」「つみたてNISA口座をつくりたい」と回答した人の比率は11%にとどまった。「非課税枠が小さすぎる」(東京都の男性、58)、「インデックス投信ばかりで縛りが多すぎる」(兵庫県の男性、76)といった声が聞かれた。

18年はどのような年になるのか。カギを握るのは米国景気だとする専門家は多い。リーマン危機後の09年6月に始まった米国景気の拡大はすでに102カ月続いていて、過去3番目の長さとなった。「減税効果が期待外れだった場合は景気減退リスクとなり、世界経済に影響を与える」(松元氏)。米国や欧州の金利上昇が経済に与える影響にも注意が必要だろう。

戌(いぬ)年の相場格言は「戌笑い」。格言通り、18年は投資家の笑顔を見られるだろうか。

(岡田真知子)

[日本経済新聞朝刊2017年12月31日付]

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