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国内最難関とされる東大理科3類出身の医師らが診療にあたる東京大学医学部付属病院

国内最難関とされる東大理科3類出身の医師らが診療にあたる東京大学医学部付属病院

受験の季節が迫っている。1月13日には大学入試センター試験がスタートする。国内の大学の最高峰は東京大学。小学生の頃から東大を目標に勉強の励む子供も少なくない。しかし、国公立大学の医学部や米欧の名門大を目指す生徒も増えている。関西など西日本の有名進学校ほどこの傾向は顕著だったが、首都圏でも同様の動きが広がっている。東大卒でもすばらしいキャリアが約束される時代ではない。「東大一直線」が曲がり角を迎えている。

開成、東大合格者は減っているが…

「確かにうちの生徒も医学部志向が強まっている。東大の理科1類や理科2類に進んで技術者や研究者になっても報酬がいいとか、明確なキャリア像が見えてこなくなっている。その点、医師はわかりやすい」。東大合格者36年連続トップを走る開成高校の柳沢幸雄校長はこう話す。

2017年の東大合格者数は161人(1学年の定員は400人)。12年には200人を超えており、下落傾向にある。しかし、開成の学力レベルが下がっているわけではない。17年は東京医科歯科大医学部に12人、千葉大学医学部に14人など、東大理1や理2よりも合格難易度が高いといわれる有名国立大医学部への合格者数は40人近い。国内最難関の東大医学部医学科に進む理科3類には10人が合格している。

もともと医学部志向が強かったのは、関西など西日本の有名進学校だ。灘高校(神戸市)は「最近は生徒の3人に1人は医学部志望」(和田孫博校長)という。17年の東大合格者数は95人だが、うち理3は19人と全国トップだ。京大は合格者39人のうち医学部は21人を占める。「目標は理3、京医」というのが灘高生の合言葉だ。京大合格者トップ校の洛南高校(京都市)でも医学部シフトは明らかだ。06年度までは100人を超えていた京大合格者は減少して、17年は69人に下がった。しかし、国公立大の医学部合格者は増加傾向が続いている。

関西には国公立大医学部が多い

進学塾「鉄緑会」会長の冨田賢太郎氏は、「関西の有名進学校の医学部熱が首都圏より高いのには理由がある」と話す。一つは関西発の大企業が次々東京に本社を移転したことがある。かつて都市銀行と呼ばれた大手銀行の本拠地は住友銀行(当時)など4行が関西本店だったが、現在のメガバンクはゼロ。伊藤忠商事や丸紅などかつて大阪市に本社を置いた総合商社も、いずれも東京本社にシフトし、「ビジネスマンとして関西で活躍するのには限界がある。地元でやるなら医者ぐらい」(灘高出身の東大生)。

もう一つ大きな理由がある。「京阪神の大都市圏から通える国公立大学医学部の数が多いからです。一方で首都圏は少ない。都内から通えるのは東大理3と東京医科歯科大ぐらい。自宅の場所によっては千葉大医学部と横浜市立大学医学部も入るけど、関西に比べてとにかく少ない」(冨田氏)という。確かに京阪神の通学圏とされる所に医学部があるのは、京大、大阪大学、神戸大学、大阪市立大学、京都府立医科大学、さらに奈良県立医科大学、滋賀医科大学、和歌山県立医科大学と少なくない。

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