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フルーツや生クリーム… 変わり種大福10選

NIKKEIプラス1

2018/1/7 NIKKEIプラス1

しろ平老舗「きんかん大福」
ジューシーなフルーツやふわふわのクリーム。
変わり種はいちご大福だけじゃない。
和菓子の新しい可能性を秘めた変わり種大福を比べてみた。

■主流はフルーツ 若手職人の挑戦

 新しい年の幸福を願って、大福をひと口――。大福はもともと、大きくて腹持ちがいいことから「腹太餅(はらぶともち)」や「大腹餅(だいふくもち)」と呼ばれた。その後「腹」がめでたい文字の「福」に変わり、「大福」になったという。

 1980年代にいちご大福が登場して以来、これまで使われていなかった食材を取り入れた大福が増えている。クリームやメレンゲなど洋菓子の材料を使った大福も多く、変わり種大福はすっかり定着した。変化をけん引するのは、店を継いだ2代目など、若手和菓子職人たちだ。幅広い年齢層に和菓子を楽しんでもらえるよう、時代に合った菓子作りに挑んでいる。

 最近のトレンドはフルーツ。薄いもち生地に少なめのあんが人気で、酸味を生かして甘さ控えめに仕上げたものが多い。

 「おいしい大福を誰かと食べて、幸せな気持ちになってほしい」と職人たちは大福の中にサプライズを仕掛ける。中身は変われど、食べた人の幸せを願う職人の思いは変わらない。

1位 きんかん大福 805ポイント
はじける蜜、インスタ映えする鮮やかさ しろ平老舗(滋賀県愛荘町)
1865(慶応元)年創業の老舗菓子店、しろ平老舗(滋賀県愛荘町)

 江戸時代から続く老舗の5代目が考案した。蜜漬けのきんかんと甘さ控えめの白あんを、やわらかい羽二重餅が包み込む。きんかんの爽やかな香りに「1月ならではの旬を感じる」(里井真由美さん)。

 1865(慶応元)年の創業以来、同じ場所に店を構える。そこはかつて宿場町の入り口。今も店から聞こえる「おおきに!」の声がにぎわいを感じさせる。

 大福にはコメどころ滋賀県産のもち米を使用。真っ白できめ細かく、のびのいい生地になる。白あんはきんかんの蜜をとじ込めるようちょっとかために炊く。菓子や季節に応じて年間38種類のあんを作り分けている。

きんかん大福を作るしろ平老舗の5代目

 「配合表を全部見せても同じものはできない」と5代目は自負する。餅生地のこね具合など帳面には書かない微妙なあんばいがおいしさの秘訣。ピンポン球大の小ぶりな大福に、職人の技が詰まっている。

 半分ぱくっと食べると蜜がはじける。現れる断面は「きんかんの鮮やかな色が美しい」(原亜樹子さん)。若い人にも和菓子を食べてもらいたいとインスタグラムで流行をチェック。そんな5代目が手掛けただけに、ユニークでインスタ映えしそうな一品だ。

(1)6個1188円(2)冷蔵(3)http://www.shirohei.com/

 

2位 まるごとみかん大福 710ポイント
口に広がるみずみずしさ 一福百果・清光堂(愛媛県今治市)

 みかんの産地、愛媛県の和菓子店が開発。大福の中にはみかんが丸ごと1個入っており、「がぶりと食べるとびっくりする」(芹沢賢次さん)。果汁があふれ「ジューシーで甘い」(中島久枝さん)。

 グアム出身で救急救命士から和菓子職人に転向した2代目が「愛媛らしい和菓子を」と発案した。大福に合うみかんや白あん、求肥(ぎゅうひ)を5年以上かけて研究。今では全国から注文が入る。

 使用するみかんは一般的に買えるものより少し小さめ。大福に適したサイズを契約農家が特別に生産している。白あんはみかんに合うようクリーミーな仕上がり。「みずみずしいみかんと上品な白あんの相性がいい」(山崎彩さん)

手作りで1日に600個生産する

 楽しみ方は様々だ。「暖かい部屋でよく冷やしたみかん大福はとても美味」(藤原浩さん)。日本茶はもちろん、口当たりの軽いシャンパンでちょっとオシャレにいただけば冬のごほうびに。

(1)1個400円(2)冷凍(3)http://www.ichifuku-hyakka.com/shop/

 

3位 桃福 365ポイント
コリッとした食感楽しむ 創作桃菓 桃花亭(愛知県北名古屋市)

 桃を育てる過程で捨てられてしまう桃の赤ちゃん「幼桃」を生かした大福。幼桃は大きさも色も梅の実に似ている。「コリッとした歯触りの食感がおもしろい」(平岩理緒さん)

 現在の会長が地元愛知県の農園で間引きされた幼桃を見て「もったいない!」と思ったのが開発のきっかけ。煮る・蒸す・蜜漬けにするなど試行錯誤の末、圧力をかけて蒸す現在の製法にたどり着いた。

 断面にもこだわりがある。白金時を使ったあんは、幼桃の緑色と合うようピンクに色づけ。かわいらしい見た目で「おめでたいお席に喜ばれそう」(里井さん)。「桃福」という漢字が縁起の良いイメージをもつことから、最近は中国人にも人気だという。

(1)3個756円(2)常温(3)http://www.toukateishop.jp/

4位 なんじゃこら大福 360ポイント
絶妙な掛け合わせ お菓子の日高(宮崎市)

 いちご、栗、クリームチーズを詰め込んだ。「クリームチーズと粒あんが意外な好相性」(瀬戸理恵子さん)

 1988年、当時人気のいちご大福、栗大福、クリームチーズ大福を掛け合わせれば売れるだろうと社長が思いついた。期間限定の予定だったが、人気が高く販売を継続。今や看板メニューだ。商品名は試食時の友人のセリフから。中身に驚き、笑いながら食べてほしいとの思いを込めた。

 こぶし大の大福は1つ食べるとお腹いっぱい。「分けて食べたい量だが、場所によって中身が違うのでじゃんけんになりそう」(平岩さん)。

(1)2個890円(2)冷蔵(3)http://okashinohidaka.shop-pro.jp/

5位 ブルーベリー大福 345ポイント
酸味とクリームの調和 ふじ乃(埼玉県川越市)

 北米産のブルーベリーの実と生クリーム、ブルーベリー入りのあんを羽二重餅で包んだ。「2つ目を食べたくなる酸味とクリームの調和」(芹沢さん)が楽しめる。

 爽やかな後味は自家製のあんがポイント。フランス産のブルーベリーピューレを白あんに練り込み、熱伝導率のいい銅鍋でじか火練り。ざらつきが少なく、しっとりしたあんに仕上げた。

 薄い餅生地からはブルーベリー色のあんが透けて見える。きれいな薄紫色の大福に「子どもも手を出しそう」(鎌田克幸さん)。半解凍でもおいしい。

(1)1個173円(2)冷凍(3)http://www.kawagoe.com/fujino/index.html

6位 生チョコ大福 330ポイント
バレンタインにいかが 大阪・甘泉堂(大阪市)

 「オシャレでバレンタインのプレゼントにもすてき」(山崎さん)な大福。北海道産生クリームを使った生チョコを白あんでくるみ、羽二重餅で包みあげた。

 生チョコとあんの組み合わせに「エッと思うが意外や意外、おいしい」(宮沢裕通さん)。滑らかな口溶けに仕上げるため、丸3日かけて製造している。口溶けを邪魔しないよう、生地は極薄にしてある。

 大福にココアパウダーをまぶしてチョコレートをトッピング。さらに金粉をかけて高級感を演出。「ひと手間かけた仕上げがうれしい」(芹沢さん)。

(1)1個150円(2)冷凍(3)http://wagashi.shop8.makeshop.jp/

7位 ふるーつ大福 320ポイント
マシュマロみたいな食感 養老軒(岐阜県川辺町)

 マシュマロのようなふわふわの餅生地が特徴。中にはいちご、バナナ、栗、粒あん、ホイップクリームがたっぷり。「和風パフェを食べているよう」(里井さん)。

 岐阜県の和菓子店に嫁いだ女将が「洋菓子のような和菓子を作りたい」と考案した。試行錯誤を重ね、ホイップクリームに合うやわらかい餅生地を作り上げた。生地にはメレンゲを加えてある。テニスボールほどの大きさで食べ応えがあるが、「中からいちごや栗が次々出てくるので宝探しのような楽しさがある」(原さん)。「洋菓子好き、あんこが苦手な人にもおすすめ」(中島さん)。

(1)10個3024円(2)冷蔵(3)http://www.yoroken.com

8位 焼醤油大福 315ポイント
甘じょっぱく香ばしい 菓匠寿々木(横浜市)

 袋を開けた瞬間、しょうゆの香りが広がる。1908(明治41)年創業の老舗が手掛ける「どこか懐かしい味わい」(藤原さん)の変わり種だ。

 香りの秘密はローストしょうゆパウダー。「甘じょっぱさと焦ししょうゆの香ばしさが後を引く」(chicoさん)。粒あんにしょうゆという和風の掛け合わせは「ありそうでなかったおいしさ」(中島さん)。大福にしょうゆパウダーをかけた後の仕上げ工程は企業秘密だ。

 開発した3代目は早朝に大福を作るのが嫌で25年間、大福作りを封印してきたが、急速冷凍の技術を導入して生産を再開。焼醤油大福を生み出した。

(1)1個108円(2)冷凍(3)http://www.wagashiya3.com/

9位 市田柿大福 290ポイント
ほのかな渋みと甘さが1つに 柿八(長野県飯田市)

 長野県のブランド柿「市田柿」を全国の人に食べてもらいたいとの思いから開発された。取り扱いはインターネット販売のみ。

 自社農園と近隣の農家から仕入れた市田柿を使用。一般的な干し柿よりやわらかい「あんぽ柿」を白あんと餅生地で包み込む。あんぽ柿は干し柿より水分が多く残り、ジューシーな食感が味わえる。

 「柿のほのかな渋みとあんの甘さが1つになっている」(chicoさん)。「奇をてらわず、それでいて新鮮な組み合わせ」(原さん)。白い餅とあんに柿の鮮やかなオレンジ色が映え、見た目にも美しい。

(1)6個1759円(2)冷凍(3)http://ichidakaki.jp/

9位 りんご大福 290ポイント
シャッキリ感がアクセント 双葉屋(長崎市)

 「りんごに似た見た目がかわいらしい」(平岩さん)。初めは練り切りだった菓子を、ゴルフボール大の大福に改良した。色づけには天然色素を使う。

 白あんの甘さや餅生地のやわらかさとのバランスを考え、りんごはあえて酸味や食感が残るように煮ている。「りんごのシャッキリ感がアクセントになっている」(瀬戸さん)。へたはチョコレートでできているため、そのまま一緒に食べられる。「子どもが喜び、お土産にいいかも」(芹沢さん)。りんごやいちご大福のほか、バナナやチェリー、巨峰、レアチーズ、梅など様々な変わり種大福を扱っている。

(1)1個190円(2)冷凍(3)http://nagasakifutabaya.com/

◇  ◇  ◇

 ランキングの見方 数字は選者の評価を点数にした。商品名、製造元。(1)税込み価格(送料別)(2)配送方法(3)店・販売サイトのURL。写真は1位の店舗外観と作業風景、2位の作業風景は相馬真依、ほかは瀬口蔵弘撮影。スタイリング・西崎弥沙

 調査の方法 和菓子に詳しい専門家への取材を基に、いちご大福を除く変わり種大福で、取り寄せ可能な商品を22品リストアップ。11人の選者が商品名・製造元を伏せて試食し、味のバランスや見た目、材料の意外性などの観点で1~10位まで順位をつけ、編集部で集計した。選者は以下の通り(敬称略、五十音順)。

 鎌田克幸(日本菓子協会東和会編集部長)▽里井真由美(フードジャーナリスト)▽瀬戸理恵子(フードエディター)▽芹沢賢次(製菓実験社和菓子編集部)▽chico(スイーツライター)▽中島久枝(作家)▽原亜樹子(菓子文化研究家)▽平岩理緒(「幸せのケーキ共和国」主宰)▽藤原浩(日本フードアナリスト協会常任理事)▽宮沢裕通(和菓子教室「和菓子のあとりえ」代表)▽山崎彩(和菓子研究家)

[NIKKEIプラス1 2018年1月6日付]

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