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食の豆知識

鍋の友、ゆずごしょう いつも使い切れないのはなぜ?

2018/1/10

PIXTA

 鍋の季節に欠かせない調味料といえば「ゆずごしょう」である。ゆずごしょうは青唐辛子を粗刻みにし、青ゆずの皮と塩と一緒にすりつぶし熟成させたもの。もともとは九州全域で使われていたものが、いつの間にか全国区のものとなり、どこのご家庭の冷蔵庫にもある存在になった。

 九州では「ゆずこしょう」ではなく「ゆずごしょう」と濁って読むのが一般的のようである。「こしょう」という名前がついているが、こしょうは入っていない。一説によると、唐辛子は「唐(中国のこと)を枯らす」にもつながる忌み言葉であるため、唐と貿易関係にあった九州では「こしょう」と呼ぶようになったとか。

宮崎名物の地鶏の炭火焼きもゆずごしょうで=PIXTA

 初めてゆずごしょうを口にしたときの感激は忘れられない。20年くらい前だったと思うが、博多に出張に行った際にギョーザ屋さんに連れていってもらった。その店では小さめの「一口ギョーザ」をポン酢とゆずごしょうで食べる。ゆずごしょうをギョーザにつけ、口の中に運ぶと、口のなかに広がるゆずの香りのさわやかなこと! ギョーザなのになんて上品な味。そして、後からピリッと来る辛さもここちよい。

 関東出身の私はゆずごしょうの存在自体を知らず、その店のオリジナルの薬味かと思って「この店の料理人、天才かっ!」と感動していたら、連れていってくれた友人は「これ、たぶんスーパーで売ってるやつ」と一言。

九州ではラー油のかわりにゆずごしょうを使うことも

 2軒めに連れていってくれたお店では「酢もつ」が出てきた。酢もつとは牛や豚、鶏などの内臓(ホルモン)を湯通ししてポン酢で食べる、これまた博多の名物料理だ。これにもゆずごしょうが入った小さな坪が添えられて出てきた。

 耳かきみたいなスプーンで2杯ほど加えて混ぜて食べると、これまた絶品。ホルモンといえば「もつ煮込み」や「もつ鍋」のイメージしかなかったので、ホルモンがこんな上品な味になるのかと驚いた。

 ギョーザもホルモンも庶民的な食べ物なのに、ゆずごしょうが加わるだけで一気に洗練された味になる。ゆずごしょう初体験の私にとって、それはまるで「魔法の調味料」のように思えた。

酢もつにもゆずごしょうを入れて食べる

 ゆずごしょうのおいしさに目覚めた私は博多の空港でゆずごしょうのビン詰めをまとめ買いをしたのはいうまでもない(当時はお取り寄せとかネット通販がそれほど一般的ではなかった)。

 福岡の店を案内してくれた友人に「ほかには何につけたらおいしいかな?」と聞いたら、「何に入れてもおいしいよ」という。「特に何が合う?」と聞くと「だから何でも」という妙にザックリとしたお答え。いわく「九州の人はゆずごしょうを何にでも入れるし、何にでもつける」とのことだった。

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