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鍋の友、ゆずごしょう いつも使い切れないのはなぜ?

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鍋の季節に欠かせない調味料といえば「ゆずごしょう」である。ゆずごしょうは青唐辛子を粗刻みにし、青ゆずの皮と塩と一緒にすりつぶし熟成させたもの。もともとは九州全域で使われていたものが、いつの間にか全国区のものとなり、どこのご家庭の冷蔵庫にもある存在になった。

九州では「ゆずこしょう」ではなく「ゆずごしょう」と濁って読むのが一般的のようである。「こしょう」という名前がついているが、こしょうは入っていない。一説によると、唐辛子は「唐(中国のこと)を枯らす」にもつながる忌み言葉であるため、唐と貿易関係にあった九州では「こしょう」と呼ぶようになったとか。

初めてゆずごしょうを口にしたときの感激は忘れられない。20年くらい前だったと思うが、博多に出張に行った際にギョーザ屋さんに連れていってもらった。その店では小さめの「一口ギョーザ」をポン酢とゆずごしょうで食べる。ゆずごしょうをギョーザにつけ、口の中に運ぶと、口のなかに広がるゆずの香りのさわやかなこと! ギョーザなのになんて上品な味。そして、後からピリッと来る辛さもここちよい。

関東出身の私はゆずごしょうの存在自体を知らず、その店のオリジナルの薬味かと思って「この店の料理人、天才かっ!」と感動していたら、連れていってくれた友人は「これ、たぶんスーパーで売ってるやつ」と一言。

2軒めに連れていってくれたお店では「酢もつ」が出てきた。酢もつとは牛や豚、鶏などの内臓(ホルモン)を湯通ししてポン酢で食べる、これまた博多の名物料理だ。これにもゆずごしょうが入った小さな坪が添えられて出てきた。

耳かきみたいなスプーンで2杯ほど加えて混ぜて食べると、これまた絶品。ホルモンといえば「もつ煮込み」や「もつ鍋」のイメージしかなかったので、ホルモンがこんな上品な味になるのかと驚いた。

ギョーザもホルモンも庶民的な食べ物なのに、ゆずごしょうが加わるだけで一気に洗練された味になる。ゆずごしょう初体験の私にとって、それはまるで「魔法の調味料」のように思えた。

ゆずごしょうのおいしさに目覚めた私は博多の空港でゆずごしょうのビン詰めをまとめ買いをしたのはいうまでもない(当時はお取り寄せとかネット通販がそれほど一般的ではなかった)。

福岡の店を案内してくれた友人に「ほかには何につけたらおいしいかな?」と聞いたら、「何に入れてもおいしいよ」という。「特に何が合う?」と聞くと「だから何でも」という妙にザックリとしたお答え。いわく「九州の人はゆずごしょうを何にでも入れるし、何にでもつける」とのことだった。

私も帰京してからはゆずごしょうを何にでも入れる、何にでもつける「ユズラー」に変身した。

まず朝食のごはんとみそ汁。白いごはんにつけてもうまいが、たまごかけごはんにゆずごしょうをちょい足しすると、さわやかな朝食に一変。みそ汁は赤みそよりも白みそのほうが合うということもわかった。

昼はうどん、そば、そうめんなど、麺類の薬味によく使った。温かいのも冷たいのも両方イケる。ねぎやみつばのように刻まなくても瓶から取り出すだけで、手間いらずなのがありがたい。

パスタにも合う。たらこスパゲティやめんたいこスパゲティなどの和風パスタはもちろんのこと、にんにくと唐辛子が入ったペペロンチーノや魚介類とトマトソースのペスカトーレなどに入れてもおいしい。魚介類はちょうどレモンを絞る感覚でうまみが引き立つように思う。

夜は夜で酒のさかなをグレードアップさせる名脇役として大活躍。スーパーで買った塩辛や焼き鳥やポテサラもゆずごしょうを乗せたり混ぜたりするだけで小料理屋か小しゃれた居酒屋かという味になる。ほかにもじゃがバタ、冷ややっこ、さしみ、何にでもつけて食べた。生の白身魚を薄切りにして、ゆずごしょうとオリーブオイルをかけたカルパッチョも気絶するほどのおいしさであった。

博多の友人がいうとおり、ゆずごしょうは本当に何に入れてもおいしかった。肉は牛肉、豚肉、鶏肉、どれにでも合うし、魚も白身魚、赤身魚、青魚と合わないものがない。米やパスタなどの穀類や野菜とも相性がいい。

調理法にしてもスープにも麺料理にもいため物にも焼き物にも合うし、ドレッシングに混ぜてサラダにかけてもうまい。和、洋、中華どれにも合うし、本当、「なんでも来い!」だ。

世の中には、なんにでもマヨネーズをかける「マヨラー」や、なんにでも酢をドバドバとかけてそれを自慢する「スズキさん」がいるが、汎用性の高さでいうと、ゆずごしょうはマヨネーズや酢の比ではない。いくら好きでもマヨネーズや酢はみそ汁やそばに入れないのではないか。ゆずごしょうはまさに万能調味料なのだ。

ゆずごしょう好きが高じて「手作りしてみたい」「でも、青いゆずが手に入らない」という理由から、自宅にゆずの木を植えたこともある。しかし、1回手作りしたくらいで、その後ゆずごしょうはあっという間にスーパーでも手軽に買えるようになってしまった。ポテトチップスや柿の種のフレーバーのひとつになり、最近ではコンビニのおでんの調味料にもついにゆずごしょうがつく時代になった。

うれしいような、そうでもないような。九州に出張や旅行する人を見つけてはお土産におねだりしていたころのほうが熱心な「ユズラー」であった。

スノーボードで訪れた新潟県でもご当地調味料「かんずり」に出合って、ハマった時期があった。これは塩漬けの唐辛子を雪の上にさらしてアクを抜き、ゆずや米こうじ、塩と合わせて発酵・熟成させたもの。ゆずごしょうは青ゆずと青唐辛子を使うのに対して、こちらは黄ゆずと赤い唐辛子を使う。

発酵・熟成に3年間かけており、ゆずごしょうよりも味に丸みがある。時間をかけて熟成させているのにゆずの香りがちゃんと残っていることに感動する。

これもゆずごしょう同様、何に入れてもおいしい。ゆずごしょうとの使い分けをしいていうならば、わさびをつけて食べるものにはわさびの代わりにゆずごしょう(例・さしみ)、豆板醤や七味唐辛子を使うものは代わりにかんずり (例・麻婆豆腐、豚汁) を使うとおいしいように思う。

ゆずと唐辛子の調味料はこんなに万能なのに、あるアンケートを見て驚いた。「絶対に最後まで使いきれない調味料って何?」という調査で、豆板醤に次いでゆずごしょうが2位だったのだ。

なぜだ!? 何にでも入れればいいじゃないか! 

ユズラーとしてはそう思うのだが、使いきれない理由としては「味がしょっぱくなりすぎてしまうので、ちょっとずつしか使えない」とのこと。

考えてみると、ゆずごしょうは「薬味」であり「調味料」であるというふたつの面を持っている。薬味のようにたっぷり使おうとすると、料理そのものの塩分が濃くなりすぎてしまう点はたしかにある。

ゆえに「ゆずごしょう、使いきれない」というお悩みには、「とにかく何にでも入れてください。ただし、スーパーなどでテークアウト品を買ってきたときにはちょっとだけ、自宅で料理する場合にはあらかじめ塩分を控えめに調理して、加えてください」とユズラーからはアドバイスしたい。

冷蔵庫に余っているゆずごしょうを消費するメニューの一例を紹介しよう。2017年のラーメンのトレンドとして「ゆず塩ラーメン」があった。多くのラーメン店のメニューに登場し、カップ麺にもなったほど。これを自宅で簡単につくってみようという提案だ。

●ゆず塩ラーメン(1人前)

【材料】

市販の塩ラーメン 1袋 / 水菜 適宜 / 長ねぎ 適宜 / その他 好みのトッピング(メンマ、チャーシューなど) / ゆずごしょう 小さじ2分の1

【つくり方】

1.水菜をざく切りに、長ねぎは細く切って「白髪ねぎ」にしておく。

2.市販のラーメンを袋に書いてあるとおりにつくる。

3.添付のスープの素を4分の3の量だけ加え、ゆずごしょうを加えてとかす。

4.ラーメンをどんぶりに移し、水菜や白髪ねぎ、その他トッピングを乗せて、できあがり。

以上である。ラーメンはインスタント、冷凍、冷蔵なんでもいいが、より安価なインスタントラーメンのほうがおススメ。もともとのジャンクな味と上品な味の仕上がりとのギャップが感じられるからだ。

ゆずごしょうは香りが命の調味料。消費するサイクルが早いほうがいつも開封したてのおいしいものがいただける。鍋の薬味だけじゃもったいない。いろんな料理に使って冬らしい香りを楽しもう。

(ライター 柏木珠希)

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