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DANDY & RHAPSODY

2018/5/2

DANDY & RHAPSODY

さて、読者の皆様は白夜を「はくや」とお読みになったか、それとも「びゃくや」とお読みだろうか? おそらく、呉音の「びゃくや」が多数派だと思うが、本来は漢音の「はくや」が正しい、と評論家の呉智英は著書「言葉の煎じ薬」(双葉社刊)で指摘する。漢字は仏教用語以外、原則的に呉音ではなくて漢音を使うからだ。

白衣(びゃくえ)観音と白衣(はくい)の天使では、気高さという点では似ているものの、読み方の原則が違うのである。

以前、ノルウェー取材でNHKに出演したとき、局では原則として「びゃくや」を優先して使うと指示された。昭和40年代を境に「びゃくや」の方が国民の主流派になったからだという。

■「びゃくや」はモリシゲとともに

NHK放送文化研究所によると、昭和40年代に登場した森繁久弥の「知床旅情」で「はるか国後に白夜(びゃくや)は明ける」と歌われたことが、「びゃくや」が広まる大きな引き金になった、とその理由を説明する。もっとも、北緯44度の国後島に、白夜はないのだけれど。

ちなみに、白夜の反対は黒夜、ではなく極夜である。こちらはPolar night が語源である。極夜の北極圏も体験したことがあるが、真っ暗なわけでもない。太陽が昇らなくても、光が微細に空を染め移ろい、なかなか美しいものだ。

光の変化といえば最近は目的や機能に応じレンズの色を選ぶのが、サングラスのトレンドになりつつある。色眼鏡を外して改めて眺めると、サングラスの意外な使い勝手が見えてこないだろうか。

なかむら・たかのり
 コラムニスト。ファッションからカルチャー、旅や食をテーマに、雑誌やテレビで活躍中。近著に広見護との共著「ザ・シガーライフ」(ヒロミエンタープライズ)など。

*占守島(シュムシュ島) 千島列島北東端の島。太平洋戦争で日本のポツダム宣言受諾後に日ソ両軍が激戦を交わした

[日経回廊 8 2016年7月発行号の記事を再構成]

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