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ライターは、紳士の火付け役。

by Takanori Nakamura Volume 6

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NIKKEI STYLE

「ちょっと火を貸してくれないか?」

たばこを吸える場所の制約が増えた日本では少なくなったが、海外では見知らぬ男たちから、頻繁に声をかけられる。特に開発途上の国においては、ライターはまだまだ貴重品なのだ。男たちにとって火を貸す行為は、挨拶みたいな場合も多いから、喜んで応じることにしている。だから、僕は海外へ行く場合は、必ず愛用のエス・テー・デュポンのライターをポケットに忍ばせている。

文=中村孝則 写真=藤田一浩 スタイリング=石川英治

(7)カメラの温故知新。>>
<<(5)結んで、飛来て、蝶ネクタイ。

「キーン」という独特の開閉音と同時に、シュパッとハンドルを回す。使い慣れたライターだから、間髪をいれずに火をつけるなんてわけないが、大抵の男たちは、一瞬表情を変える。ワザに虚をつかれる者、ライターに関心を示す者など反応はさまざまだが、おしなべてうまそうに一服する男たちの表情を眺めるのは、旅の中のかけがえのない出会いの瞬間だ。

グラスによってワインの味わいが変わるように、火元の違いでたばこの味わいも変化するのかもしれない。人間の五感とは、イメージの影響を受けやすいものなのだ。着火に恩を着せるわけではないが、ちゃっかり現地の最新の情報や、彼らの生活の様子を聞き出すきっかけづくりにも活用している。

■日常を非日常な瞬間に

ライターは、今も昔も世の男たちが憧れる数少ないアクセサリーのひとつだが、さしずめエス・テー・デュポンはその最高級だろう。もちろん出費は覚悟の上だが、点火という日常の行為を非日常な瞬間としてシェアできる点においてプライスレスな存在である。

エス・テー・デュポンのライターは、男を紳士に変える高級品の条件を備えているからである。その理由はなぜか? 独断を承知で申し上げれば、重いからである。ただ重いだけではない。重厚な滑らかさとでも表現したらいいか、ずっしり硬いが、使い心地のフィーリングに面取りがされているのだ。

理由は、ボディー剛性の結果としての重さが、高級感を生んでいるからであろう。重厚な物体に精度が加わると、独特のフィーリングになる。銘刀と呼ばれる日本刀や、あるいは80年代までのベンツやBMWのエンジンもそうだが、重量感の中に独特の官能美が宿っていた。それは普遍的な"高級"のありかたでもあろう。

■重きを軽く、軽きを重く

最近の物づくりは、クルマであろうとスマホであろうと、"軽くてディスポーザル"なことが優先される時代だし、そうしたプロダクトが持つ清涼感もよくわかる。しかし、"重厚な滑らかさ"が、人と物との洗練した関係を結ぶことも確かなことなのだ。

千利休は、『利休百首』という道歌で、点前は「重きを軽く、軽きを重く扱ふ味わいを知れ」と、道具の扱いの極意を今に伝えている。道具との関係に味わいを見いだすあたりが利休の眼力ともいえるが、それは、日本人が年間6億本もの使い捨てライターを消費するようになったあげく、たばこへの点火という、嗜好品本来の優雅さぜいたくさの象徴をも軽んじる、軽佻(けいちょう)浮薄な時代へのアンチテーゼではないだろうか。

なかむら・たかのり
 コラムニスト。ファッションからカルチャー、旅や食をテーマに、雑誌やテレビで活躍中。近著に広見護との共著「ザ・シガーライフ」(ヒロミエンタープライズ)など。

[日経回廊 6 2016年2月発行号の記事を再構成]

(7)カメラの温故知新。>>
<<(5)結んで、飛来て、蝶ネクタイ。

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