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ハウステンボスの再建には、スタッフの士気向上と継続的な改善が必要だった=同社提供

ハウステンボスの再建には、スタッフの士気向上と継続的な改善が必要だった=同社提供

他人が匙(さじ)を投げた不振企業の経営をいくつも引き受け、見事に再建してきたエイチ・アイ・エス(HIS)会長兼社長の沢田秀雄氏。その手腕はしばしば「沢田マジック」と称されます。今回は、再建して生かす事業と切り捨てる事業の見極め方や企業再生の心構え、乗り込んだ先での人心掌握術などについて聞きました。

赤字会社、放置しない

僕はハウステンボス(長崎県佐世保市)など赤字の会社を黒字にしてきました。赤字の会社を赤字のまま放って置いたことはありません。そんな会社は、黒字にできなかったらカットしてしまうから。カットというのは事業だったら潰す(撤退、閉鎖、廃止する)か、倒産させて清算するということです。先のないビジネスを続けていても仕方がないでしょう。将来、このビジネスモデルが伸びていくなと感じたものは残しますが、もともとのビジネスモデルに問題があるなら容赦なくカットです。HISの社長として戻ってから1年間で、これをだいぶやりました。

ほかの企業ではダラダラと赤字事業を続ける光景をしばしば目にします。従業員やスタッフ、取引先などへの配慮があって、経営者が思い切って決断できないのでしょうね。社員の方も自分の属する事業部や組織を守らなければ、という使命感が先に立つわけです。HISにも、いくつかそんな事業がありました。そういうのを容赦なくカットできたのは、私がオーナー経営者だからです。「いや、これは要らないだろう」とか「赤字で事業をしていても仕方がないだろう」とか言って即断即決できるんです。

企業再生の案件では、それまで全く関わりのなかった企業に入ります。だからまず、株式のマジョリティー(過半出資)を確保します。少額出資だと、思い切った荒療治なんてできませんから。再建先の企業には、組織を守ろうとする抵抗力が生まれます。その固い壁を突破するには、マジョリティーを持って、オーナーとして振る舞える環境を整えることが先決です。そこを中途半端にしてしまうと、赤字の事業から傷口がまた広がっていきます。トップが適切に即断即決できる体制があれば、東芝でもシャープでもあんなにガタガタにはならなかったでしょう。

夢とソロバン、両立してこそ経営

ハウステンボスの場合、僕はよく創業者の神近義邦さんと比較されます。神近さんは地元の行政出身(編集部注:地元の町役場に勤めていた)の事業家で、ハウステンボスを「エコロジーとエコノミーが両立した都市」にしようとしました。その夢や志は評価できるけれど、収支のバランスを取るのに苦戦されました。

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