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アクティブ型の「真偽」を判別 新指標で投信選び QUICK資産運用研究所 高瀬浩

2018/1/3

PIXTA

投資信託市場で「アクティブシェア」という新しい指標が注目されつつある。米国発の指標で、株式を積極運用するアクティブ型の投資信託について、運用内容の「看板に偽り」がないかの判断に用いられる。アクティブ型をうたっているのに、実際には指数に連動するインデックス型とあまり変わりない「隠れパッシブ」を見分けるのに役立つ。

QUICK資産運用研究所が代表的な日本株アクティブ型ファンド30本について数値の算出を試みたところ、おおむね3分の2がアクティブ型と判別され、リターンも市場平均を上回るという傾向がわかった。ただ、アクティブシェアの数値が高いファンドでも運用成績にはばらつきがある点には、注意が必要だ。

■アクティブなのに「隠れパッシブ」

アクティブシェアは2009年に米大学研究者が提唱。米国株で運用するファンド計2600本余りについて、同指標を計測したうえで、ベンチマーク(運用目標)を上回る超過リターンとの関連性などの統計的な実証分析を行っている。以下、具体的に説明しよう。

同指標はファンドの組み入れ銘柄と、ベンチマークとして定めた株価指数の重なり度合いを定量化した指標だ。数値の範囲は0~100%で、ベンチマークと完全一致すれば0%、全く異なる場合は100%となる。つまり、ベンチマークとの重なり度合いが大きいほど小さい値、重なり度合いが小さいほど大きな値になるわけだ。

アクティブ型ファンドでは企業の業績動向などの調査・分析結果に基づき、ファンドマネジャーが組み入れ銘柄とその配分比率を決める。ところが、積極運用を表明していても実態はベンチマークの株価指数と組み入れ内容に近いファンドが少なくない。それらは「隠れパッシブ」と呼ばれる。

ファンドマネジャーはベンチマークと違う組み入れ内容にして市場平均を上回るパフォーマンスを目指すのが本来の姿だ。しかし、実際には運用の難易度が上がるし、場合によっては大負けするリスクがある。その結果、ベンチマークに近い消極的運用スタイルがまん延してきたようだ。

市場平均を上回るパフォーマンスを上げていないのに運用コストが高めだとして、アクティブ型運用への風当たりは強くなっている。しかしながら、アクティブ型に本来の姿とは違う「隠れパッシブ」が混ざっていたらどうだろう。「真のアクティブ」を「隠れパッシブ」と同列扱いしてほしくない、というアクティブ運用者の切実な願いが、アクティブシェアが日本で注目されるようになった背景にある。

■アクティブの目安は80%以上

それでは、どの程度の数値が「隠れパッシブ」との境目になるのか。アクティブシェアに詳しいスパークス・アセット・マネジメントの水田孝信氏は「明確な基準はないものの、米国での研究成果からは同指標が60%以下の場合に『隠れパッシブ』の可能性が高まるとされる」と指摘する。研究結果を参考にすると、一つの目安として数値が80%以上であれば、アクティブ型と名乗ってよさそうだ。

日本ではまだアクティブシェアのデータ蓄積がほとんどない。そこで今回、各運用会社を代表する日本株アクティブファンドに絞って、運用報告書記載の組み入れ銘柄と保有評価額を基に、決算日時点のアクティブシェアを計算した。対比するベンチマークは一律に、日本株の代表的市場平均である配当込みTOPIX(東証株価指数)とした。

上の表は代表30ファンドについて、アクティブシェアの高い順に並べたものだ(A)。「アクティブシェア80%以上がアクティブ型の目安」という基準に従うと、表の3分の2以上が該当した。

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