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グーグルマップも誤記 現代を惑わす「存在しない島」

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/1/14

R・C・カリントンによるイギリス海軍水路部の太平洋海図。ニューカレドニアの西にサンディ島の表記がある(赤枠で拡大した部分)

 地図に示された通り、目的の島を目指して船は進んだ。ようやく島があるはずの地点にたどり着いたとき、船員たちは信じられないものを目の当たりにする。見わたす限り海が広がるばかりで、数々の地図や海図に記されてきた島の痕跡は、どこにもなかったのだ……。

 このように、歴然とした事実と思われていたことが、実は虚構だったという話はめずらしくない。しかしこれは、地球が未知の世界に満ちていた遠い過去の話だとは言い切れない。21世紀の我々が目にする現代の地図にも、そのような「存在しない島」が記載されているケースが少なからずある。

 ナショナル ジオグラフィックの書籍『世界をまどわせた地図』は、そのような「存在しない島」や「幻の土地」を記した地図を集めて、その由来や真実を解説する本だ。ここではその中から、つい最近までグーグルマップにも記載されていた「サンディ島」と「マリア・テレサ礁」の物語を紹介しよう。

■2012年に実在しないと判明

 サンディ島は、オーストラリアの北東、ニューカレドニアの西にある島として、100年以上前から海図に描かれてきた。南緯19度13分、東経159度55分と位置もはっきりわかっていたのだが、2012年11月になって驚きの事実が判明した。

 2012年、調査船サザン・サーベイヤー号でプレートテクトニクスに関する調査を行っていたオーストラリアの海洋調査チームは、サンディ島のデータに気づき、調査ルートにこの島を加えることにした。だが、島に向かった彼らを待っていたのは、何もない海だった。わけがわからないままに彼らが水深を測定すると、約1300メートルもあった。さらに調べてみると、グーグルマップでは島の記載を確認できたが、船の航海用海図では同じ場所に何も載っていなかった。

2017年12月時点のグーグルマップ。赤いピンの置かれた位置に、かつてはサンディ島が描かれていた

 はじめのうち、島が消えた原因はデータの技術的なミスだと考えられた(グーグルのデータにも誤りがまぎれこんだと思われていた)。だがそれは、衛星画像データとイギリス海軍の古い地図情報を組み合わせて作成された最新の電子地図で、時おり発生する問題の典型例だった。

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