『プリズン・ブレイク』復活した脱獄ドラマ 年間1位
2017年 海外ドラマ年間レンタルランキング
TSUTAYAが海外ドラマの年間レンタルランキングを発表。『プリズン・ブレイク』シーズン5が1位、『24 -TWENTY FOUR- レガシー』が2位と、復活した大ヒットシリーズが上位を占めた。トップ20を見ると、『ウォーキング・デッド』がリリースされている全作ランクインと圧倒的な強さ。近年で最大のヒット作となっていることを証明した。
近年の海外ドラマの大きなトレンドが、大ヒットシリーズが相次いで復活していること。7月には『24 -TWENTY FOUR- 』、8月には『プリズン・ブレイク』という一時代を築いた2大ヒット作の新作がリリースされ、それぞれ年間で2位、1位と往年と変わらぬ圧倒的な人気を見せた。
『24』は2001~10年に全米FOXネットワークでシーズン8まで放送されたドラマシリーズ。テロリストとの24時間の戦いをリアルタイムで描く画期的なスタイルで世界中で大ブームとなった。主人公は、架空の組織CTU(テロ対策ユニット)の捜査官ジャック・バウアー。キーファー・サザーランドの当たり役となり、彼は世界的な人気スターとなった。14年には、4年ぶりの続編となる『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』が製作された。ジャックの活躍はここで完結し、キャストや設定を変えて17年に始まったのが『24 -TWENTY FOUR- レガシー』だ。キーファーは製作総指揮として参加し、新たな主役に若手のコーリー・ホーキンズを抜てきした。
一方、『プリズン・ブレイク』は全米FOXネットワークで05~09年に放送された脱獄ドラマ。無実の罪で収監された兄を救うために、IQ200に迫る天才の弟が自ら刑務所に入り、仲間と共に脱獄を決行するというストーリーだ。脱獄のサスペンスと兄弟愛で人気となり、世界中で大ヒットした。弟マイケルが、愛する女性サラを脱獄させるために、自らの命を犠牲にしたため、シーズン4でシリーズは終了した。
ところが17年に、8年ぶりにシリーズが復活。実はマイケルが中東イエメンの獄中で生きているらしいという衝撃の情報から物語は始まる。中東のイエメンでの脱獄と国外脱出とあって、スケールが過去最大に広がったのが見どころだ。弟役のウェントワース・ミラー、兄役のドミニク・パーセルらオリジナルメンバーのキャストが勢ぞろいしたのも往年のファンを喜ばせた。
TSUTAYA レンタルユニット 映像チーム海外ドラマ担当の中山知美氏は、『プリズン・ブレイク』が年間1位となった理由をこう分析する。「新作であるシーズン5のリリース時に、シーズン1のレンタル数が急上昇しました。20代男性が後追いで借りており、ブームをリアルタイムで知る40代と新たに見始めた20代の2世代を取り込んだことで、年間1位の大ヒット作になりました」
■シリーズ最凶の男との戦い
3位と4位は『ウォーキング・デッド』のレンタル最新作であるシーズン7と、5年前にリリースされたシーズン1。それ以外も5位、7位、10位、13位、15位とトップ20内に全作がランクインしている。
ゾンビがはびこる米国を舞台に、生存者である元保安官のリックをリーダーとする生存者の仲間たちが、安住の地を求めてゾンビや他の生存者グループと戦いを繰り広げる。シリーズ最凶と恐れられる悪役ニーガンがシーズン6で登場したのに続き、最新作のシーズン7でもニーガン率いるグループとの激しい戦いが描かれ、ファンを引きつけている。
「新たにファンになった人たちがシーズン1から借りるため、全シーズンがランクインと、ファンが後から増え続けているのが特徴です。近年で『最強の海外ドラマ』といえるでしょう」(中山氏)
中山氏が17年の新たな人気作として挙げるのが、6位に入った『LUCIFER/ルシファー』<ファースト・シーズン>。地獄に飽きてロサンゼルスに舞い降りた悪魔のルシファーが、女性刑事とコンビを組んで犯罪を追う捜査ドラマだ。主人公が悪魔というのが目新しい設定で、悪魔ゆえに肉体は不死身。しかも相手の本心を引き出せるという特殊能力を持ち、それを尋問に生かして事件を捜査する。
「美男美女のコンビものは、犯罪捜査ドラマで鉄板のパターンであることに加え、主役がイケメンで女性からの人気が高いのも特徴です。原作はDCコミックスでいわゆるアメコミ作品ですが、その色は薄く、幅広い層から支持を得ています」(中山氏)
8位『ブラインドスポット』<ファースト・シーズン>は全身タトゥーの謎の女性が活躍するサスペンスアクション、9位の『ブラックリスト』シーズン3は指名手配犯がFBIに協力する犯罪捜査ドラマ。トップ10にはアクションやサスペンス色の強い作品が並び、海外ドラマのレンタル人気作の傾向を示している。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
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