powered by 大人のレストランガイド

餅をいつでもおいしく食べる知恵 岩手・一関の食文化

あんこ餅はデザートではない

早速食べてみよう。9種の餅料理は季節によってその構成が変わるというが、中央に位置する大根おろしとその上のあんこ餅は、季節を問わず盛り込まれる。まずは、餅の入っていない大根おろしを口に含む。食べやすくしたとはいえ、雑煮まで10品。消化成分を含む大根おろしをまず食べることによって消化を促すとともに、水分が多いため、餅をのどに引っ掛かりにくくする役割も果たしているという。

その次はあんこだ。あんこ餅というとデザートをイメージする人が多いだろう。一関の餅料理はそもそも「おもてなしの膳」だ。かつてのおもてなし料理というと「甘い味」と「腹いっぱい」は不可欠になる。食べ物が不足しがちで砂糖が貴重だった時代は、甘い味をたっぷり食べることは何よりのぜいたくだったからだ。一関の餅料理も概して味付けが甘い。その中でも、手間暇かけたこしあんは何よりのもてなしであり、それをまず味わうのが作法なのだ。

しょうが餅もほんのり甘い

あん餅を食べたら、後はお好みで。左上段はしょうが餅。シイタケに、根ショウガのおろし汁を加えてとろみをつけたものだ。さっぱり感はあるものの、もてなしの料理らしく、やはり甘みが加えられている。左中段はごま餅。黒ごまをすりつぶしたものが餅にかかっている。左下はえび餅。この地方特有の食べ方だそうで、近くの川でえびをとってきてそれを丸ごといってだししょうゆで味を調えたものだ。

中央下段はずんだ餅。枝豆をすりつぶして、砂糖と塩を加えたあんで餅を包んで食べる。

ずんだ餅は宮城県の銘菓としてご存じの方も多いだろう。実は、この食べ方に旧仙台(伊達)藩の餅食文化が分かりやすく表れている。

ずんだ餅 夏に食べる餅料理

餅といえばだれもが冬を思い浮かべるだろう。一方、枝豆はどうか? ビールに枝豆……そう、夏の味だ。ずんだ餅は、そもそも夏に餅を食べる調理法なのだ。

米どころだった仙台藩では、年貢米の査定として毎月1日と15日に餅をついて神様に供えて平安安息を祈るとともに、その日を農民の休息日とするならわしがあった。そう、冬に限らず、毎月2回、必ず餅を食べることをお殿様から課せられていたのだ。

そうした月2回ずつ餅を食べる文化は、時がたつにつれて次第に廃れ、一ノ関や隣接する宮城県栗原市など周辺一帯に特有の食文化として残り、現代に伝えられているという。

メールマガジン登録
大人のレストランガイド
メールマガジン登録
大人のレストランガイド