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食を旅する

餅をいつでもおいしく食べる知恵 岩手・一関の食文化

2017/12/29

 お正月の声が聞こえてくると恋しくなるのが餅。つきたてをきなこで、あんこで、お雑煮で、磯辺焼きでと、鏡開きまでの10日ほどの間は、多くの家庭が餅三昧の日々となるだろう。

 しかし、それを過ぎると、団子やまんじゅうなど菓子として餅を食べる機会はあっても、主食として餅を食べる機会は減り、暖かくなればぱったりとなくなるのが常だ。正月過ぎたって餅は食べたいという餅好きもいるだろう。そんな人はぜひ、宮城県から県境をまたいで岩手県に入ってすぐの町、一関を訪ねてみることをお薦めする。

 正月にしか餅を食べない地方では考えられない、様々な調理法で1年中、餅を食べているのだ。

一ノ関駅前の餅つきパフォーマンス

 年末も近い週末、JR一ノ関駅に降り立つと駅前では餅つきが行われていた。観光列車の出発を前に、餅つきとつきたての餅のふるまいで観光客をもてなすイベントだった。餅をその場でこしあんに、ネギがたっぷり入ったしょうゆだれにからませてふるまう。

 餅=おもてなしの土地柄をいや応なく肌で感じる。

 ふるまいの餅を平らげると、駅のすぐ近くで、地元ならではの餅料理を提供する「三彩館 ふじせい」を訪ねた。

駅前のふるまい餅

「一関では餅料理は最高のごちそうなんです。正月はもちろんのこと、結婚式、お葬式、田植えにお彼岸と、ことあるごとに餅をついて食べます」とは、女将の伊藤篤子さん。地元に伝わる「餅暦」によれば、その数は年間60日以上、つまり週に一度は餅を食べる計算になる。

 この日は「ひと口もち膳」をいただく。一関で、冠婚葬祭、季節の行事などのおもてなし料理として食べられてきた「もち本膳」を気軽に楽しめるよう、食べやすいサイズにしたメニューだ。

「もち本膳」を食べやすくした「ひと口もち膳」

「もち本膳」とは、冠婚葬祭などで食べられる儀礼的な食事、本膳料理の「一汁三菜」を餅料理だけで構成したものだ。まずあんこ餅から食べ始め、最後は雑煮でしめるなど、メニュー構成、提供の仕方、口上の述べ方、食べ方に至るまで、様々な作法が決められている。

 基本は一品当たり、餅が3個ずつ入る。時間もかかるし、それこそ「まだ食べるの?」と音を上げるほど、次から次へと餅料理が運ばれてくるという。「ひと口もち膳」では、そんな餅料理の中から厳選した9種を、一口サイズに重箱に盛り付けてある。

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