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鶏肉をチーズの海に転がすようにしてからめて食べる

鶏肉と一緒にいためてあるさつまいもは辛いなかにもホッとする味で、「いも・栗・なんきん(かぼちゃ)」が好きといわれる女性に喜ばれそう。

試しにチーズをつけずに食べてみたが、これはこれでさわやかなスパイシーさが引き立っておいしかった。

おこげがまた絶品。カリカリになって、せんべいのようなチーズが香ばしくておいしい

姜さんに「チーズのおこげがまたおいしいんですよ」と勧められて、鉄板にくっついたチーズをいただく。ちょっとカリカリになったおせんべいのようなチーズが香ばしくておいしい。

しかし、おいしいからといって全部を平らげてはいけない。ここはグッとこらえてタッカルビを少し残しておくのが流儀。店員さんにご飯を頼むとシメのポックンパプ(チャーハン)をつくってくれる。鶏肉のおいしいエキスとコチュジャンベースのタレを吸ったご飯がまたおいしいこと! トッピングの韓国のりとの相性がバツグンであった。

チーズタッカルビには、そのまま食べる、チーズにつけて食べる、おこげを食べる、ポックンパプ(チャーハン)でシメるという4つの楽しみ方がある。これはチャーハンのセット

このようにチーズタッカルビは、そのまま食べる、チーズにつけて食べる、おこげを食べる、チャーハンでシメるという4つの楽しみ方がある(シメは焼きうどんにする人もいる)。まさに「おいしい、楽しい」で、ボリュームもある。これは女子高生に人気になるのも納得である。というか、女子高生だけのブームにしておくのはもったいない。

さて、姜さんの話に戻ろう。

「2016年の秋になると店に行列ができるようになり、それからまわりの韓国料理店も1日ごとにチーズタッカルビの看板を掲げる店が増えてきました。私は地域が盛り上がればいいという思いで、そういうお店にもエールを送ってきました。お客さまもよそのお店でチーズタッカルビを食べたら、元祖の味も食べたくなって私たちの店も訪れてくれるだろう。それに私たちはここにたどりつくまでに1年間研究している、という自信もありましたから」

チャーハンはまず外せない。鶏肉のおいしいエキスとコチュジャンベースのタレを吸ったご飯がおいしく、韓国のりとの相性もよい

2017年には新大久保の街も活気を取り戻してきた。半分にまで落ち込んだ新大久保駅の乗降客数も韓流ブームのころと同じか、それ以上にまで回復した。

実は本場・韓国でも近年、チーズタッカルビがブームである。韓国では、トゥンカルビという豚の骨付カルビをチーズにつけて食べたり、辛いラーメンにチーズをトッピングしたり、もともと辛い料理にチーズを合わせる傾向があった。

日本のチーズタッカルビブームは韓国のブームが日本に飛び火したと考える人もいるが、前述のような流れから生まれたもの。新大久保のチーズタッカルビブームはあくまでも新大久保で生まれたものだと姜さんは言う。

「私のことをよく『チーズタッカルビの産みの親』と言ってくださるんですが、たくさんの人に試食してもらってコミュニケーションをとりながらつくり上げたもの。お客さんや地域の人々みんなでつくった味ですね」

新大久保の街が元気になってきたのは「TWICE」など、新しいK-POPアイドルの台頭もあるかもしれないが、チーズタッカルビの影響もかなり大きい。食のブームは外交の事情を超え、地域の経済を盛り上げる。食のパワーって偉大だ。

(ライター 柏木珠希)


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