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使わなきゃ損! 個人型DC iDeCo

iDeCoで人生100年時代に備え 投資のスキルを磨こう iDeCoで投資デビュー(15) オフィス・リベルタス 大江加代

2017/12/27

 2017年もまもなく終わりますが、この1年でiDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者は約40万人増え、現在は70万人と、昨年末に比べ倍増しました。サラリーマンの方は年末調整で還付された税金の多さに、掛け金が全額所得控除されるメリットを実感されたことかと思います。そして、これが60歳まで続くのです。老後の資産形成として最強の制度ですが、単に税メリットだけを見ても他よりも優れた制度だと思います。

 それなのにこのメリットは「ふるさと納税」ほど知られていませんし、SNS(交流サイト)でもあまり話題になっていません。確かにふるさと納税とは違って戻ってくるのが「お金」なので、別にインスタ映えするわけでもなく、話題にするのがはばかられるところがあるのかもしれません。しかし、老後の資産づくりにiDeCoは最適な制度であることは間違いありません。親しい人にはぜひ「早めに始めた方が得だよ!」と教えてあげてください。

 この連載も今回で最終回ですので、今年iDeCoデビュー、投資デビューした方に向け、覚えておいてほしい「継続投資の大切さ」について最後にお伝えします。

■株価好調の今は安値での積み立てが輝く

 この1年は日経平均株価も26年ぶりの高値で、米国のダウ工業株30種平均も新高値更新と、株式相場が好調でした。したがってiDeCoの加入者でも残高の評価額が増えている方がほとんどだと思います。中でも、リーマン・ショック前から加入していた方々は年利回りが10%を超えて、大幅に増えているというケースが珍しくないでしょう。

 これは、まさしく「継続投資」の効果です。投資信託の価格が今よりもずっと安い時期に毎月コツコツと投信を買い続けてきたわけですから、当たり前といえば当たり前です。安いときは含み損が出たりして続けていくのが苦しくなりますが、同じ購入金額でも買える量(口数)が多くなります。今振り返れば、苦しい時期には安く大量仕入れをしていたということになります。それがここにきて基準価格が高くなっているので、時価評価額も大幅に高くなり、利益が大きく出ているのです。

 加えて、マーケットの値動きは単調ではなく、日経平均でも米ダウでも時に大きく値上がりします。こうした上昇局面で投資を継続しているかどうかが、運用成果に大きく影響することが実証されています。とはいえ将来いつそのマーケットの急上昇がくるかはわかりませんから、毎月、休まずに定額を投資し続けることが大事なのです。

■下落時も慌てず、長く市場に居続ける

iDeCoで投資デビューするために学ぶ女性たち

 一方、株価や投信の基準価格は今後急落することもあると思います。そのときの対処方法も、「バタバタせず従来通りのまま継続」が基本です。具体的には、積立金額も購入する商品の割合も変えず、大幅に目減りしている投信を慌てて売ることもしない方が賢明です。

 売るという行為は「損失の確定」です。行動経済学で立証されているように、人間は損をすることを極端に嫌います。「まだ下がるかもしれない」「損が膨らむかもしれない」という不安に駆られ、そこから逃れたいために、損をしている投信を売却し定期預金を買うといった行動に出がちなのです。

 ところがそうしてしまうと、そこから後は投信を保有していないわけですから、マーケットが復調し投信の基準価格が回復したとしても、その恩恵を受けることができなくなってしまいます。「永遠に下がり続けるマーケットはない」のですから、大切なことは「市場に居続けること」なのです。

 ここで、価格が変動する投信などで資産運用する際の基本をまとめてみましょう。

(1)自分が取れるリスクに合わせた資産配分を考える
(2)それに該当する商品の中から、コストが安いことを優先して良い商品を選ぶ
(3)年に1回またはマーケットが大きく動いたときに、自分の資産の評価額、利益状況を必ず確認し、世の中の動きが自分の資産にどう影響しているか確認する
(4)価格の上下によって資産配分が当初の配分と大きくずれていれば、数年に1回でも残高の売買を行い、当初の配分に戻すことも考える
(5)受け取りが近くなったら、受け取り(売却)時点での価格変動の影響を小さくするため、価格変動の大きな投信の割合を減らし、預金などに移す

 (2)の商品選びについては、「iDeCoナビ」の投信の評価情報を活用してもらうのがいいでしょう。iDeCoナビは私が理事を務めるNPO法人 確定拠出年金教育協会がiDeCoの運営管理機関選びをサポートする目的で立ち上げ、月間10万人以上の方にご利用いただいている情報サイトです。「iDeCoでは商品選びが難しい」という利用者の声を受けて、12月1日からは投信評価会社の三菱アセット・ブレインズと提携し、投信の評価情報やランキングなども掲載するようになりました。

◇  ◇  ◇

 ではこれまでの連載のまとめです。今や人生100年時代ですから、老後のお金はやはりある程度自分で手当てをしておいた方が安心です。準備するなら税メリットの大きい制度であるiDeCoを最優先で利用し、「投信デビュー」することをお勧めします。毎月少額の積み立てで実際の資産運用の経験をすることで、投資の基本や自分らしい運用スタイルが身に付きます。それは将来、大きな資産の運用においても必ず役立ち、みなさんの明るい老後を守る大事な杖(つえ)になるはずです。

 将来の自分のために「iDeCoで投資デビュー」、始めてみてください。

大江加代
 大手証券会社で22年間勤務し、一貫して勤労者の資産形成に携わる。確定拠出年金については法の成立前から10年以上企業型の現場で関わり、のべ25万人に対する投資教育の企画・運営にも携わった。現在はオフィス・リベルタス取締役で、NPO確定拠出年金教育協会理事として情報サイト「iDeCoナビ」も創設。http://www.dcnenkin.jp/

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