アルコールによって抗利尿ホルモンが抑制されることで尿の排出が多くなり、お酒を飲み進めると体は脱水気味になって、喉も乾燥します。ちなみに、お酒のつまみで塩分をとり過ぎても、声帯がむくんで、声をからすそうです。
要注意! 飲酒後のカラオケの「三大リスク」
たっぷり飲んだ後、酔いの勢いに任せ、二次会、三次会のカラオケで1年間のうっぷんをはらすのを楽しみにしている人も多いはず。ところが、楠山さんによると「飲酒後のカラオケは最悪」なのだとか。
「飲酒後のカラオケは声帯にとって『最悪な三大リスク』を備えています。まず、『無理に自分の声よりも高いキーで歌う』こと。次に、『ふりつけしながら歌う』こと。そして最後は、『大声で会話する』ことです」
カラオケで、無理に自分の声よりも高いキーで歌うと、声帯をかなり酷使することになります。また、ふりつけという運動効果が加わると、呼吸量がさらに増えるため、乾燥も含めて声帯にダブルでダメージを与えてしまいます。
さらに、カラオケの最中に会話をしようとすると、音量の影響でいつも以上に大声を出してしまいますが、それが声帯に負担をかけ、また口呼吸になるため、声帯の乾燥がより強くなるそうです(口呼吸は鼻呼吸のおよそ6倍も空気量が多いとされます)。
ちなみに、体を目いっぱい動かしながら声を出し続けるエアロビクスのインストラクターなどには、運動と発声のダブルのダメージによって声をからす「声帯結節」といった疾患を抱えている人も多いそうです
こまめな水分補給で喉を潤そう
それでは、どうすれば飲酒やカラオケのダメージを減らすことができるのでしょうか。
「加齢とともに体の細胞の保水力も下がるために、ある程度、声が低くなることは避けられません。ですから、体や喉の乾燥を防ぐためにも、お酒を飲み過ぎないことが理想だといえるでしょう。そして、酒席ではこまめに水を飲むこと。これだけでも気道液の分泌が増えて、声帯を乾燥から守ってくれます」(楠山さん)
忘年会・新年会のせいでガラガラ声になってしまっては、仕事に支障が出てしまう人もいるでしょう。「酒焼け」という症状は現実には存在しないことが分かりましたが、酔った勢いで「次、カラオケ行ってみよう!」と「連チャン」するのは避けたい。気を引き締めて(?)宴会に臨みましょう。
【酒好き医師が教える忘年会・新年会対策】

[日経Gooday 2017年12月19日付記事を再構成]