何が起きているのだろう。

実態は高所得者が減って、低所得者が増えているということのようだ。女性、シニア、非正規社員、サービス業従事者、中小企業といった相対的に年収が低い人たち・企業が増加し、役職者、中高年世代、正規社員、製造業、大企業という相対的に所得が高い人たち・企業の構成比が低下している。結果として、平均所得は下がっているように見える。

継続的な就業者の年収は増えているか

転職後に年収アップしている人は多い=PIXTA

前述の「全国就業実態パネル調査」は、毎年同じ人を対象にしたパネル調査のため、同一人物の情報を継続的に把握できる。そこで、同じ会社に継続就業している人を抜き出して年収の増減を比較してみた。

2015年と16年の単純比較を雇用者全体でみると、平均所得は1.6%減少している。しかし、同一企業に継続就業している雇用者に限ってみると、平均所得は1.9%増加していた。企業は従業員の所得を上げている事実が見て取れる。また、雇用形態別でも、継続雇用者については、正社員、パート・アルバイトと派遣社員で増加していることがわかった。

「転職すると年収が下がる」に根拠なし

企業は就業者の給与を上げようとしている。加えて、先に見たように、転職者も賞与支給がある正社員については、転職2年目から半数前後の人が、転職前よりも年収が10%以上アップしている。しかも、それは45~54歳の高い年齢層でも同様だった。「転職すると年収が下がる」という根拠のない先入観に惑わされないようにしたい。

また、あまり一般的な話ではないかもしれないが、転職1年目に、賞与支給分で年収が下がるとするならば、転職先に「一時金」などの名目でプラスしてもらえないか交渉するのも一つの方法だ。働く個人は雇用する企業に対して弱い立場だと感じている人が多いかもしれないが、給与についても主体的に交渉する可能性があることを、ぜひ覚えておいてほしい。(転職時の給与交渉で留意すべきポイントをまとめた記事「転職の『給与交渉』どうする? プロが教える成功則」はこちら

※「次世代リーダーの転職学」は金曜更新です。次回は1月12日の予定です。この連載は3人が交代で執筆します。

中尾隆一郎
 リクルートワークス研究所副所長・主幹研究員。リクルートで営業部門、企画部門などの責任者を歴任、リクルートテクノロジーズ社長などを経て現職。著書に「転職できる営業マンには理由がある」(東洋経済新報社)、「リクルート流仕事ができる人の原理原則」(全日出版)など。

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