しかし、非正規社員では、転職後1年目も2年目も状況は変わらず、半数弱の人が10%以上ダウンしていて、残りの4分の1ずつが転職前より10%以上アップしているか、または同じ程度だ。

転職で年収が上がるのは若年層だけか

年齢別で見るとどうだろう。

まず、正社員の年齢帯別の平均年収は、15~24歳が199.5万円、25~34歳278.6万円、35~44歳325.3万円、45~54歳349.5万円、55~64歳465.5万円と、年齢が上がるにつれて上昇していることが分かる。

表2)年齢帯別の転職前後の年収増減(正社員) リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査2017」から作表

では、転職によりどのように変化したのかを見てみよう。詳細の数字は、表2を参照していただきたい。転職1年目は、30歳代前半までは年収が10%以上アップした人が多く、35歳~44歳では10%以上アップとダウンの割合が拮抗し、55歳以上では10%以上アップした人は2割弱、過半数が10%以上ダウンしている。

それが転職2年目になると、15歳から54歳までの各年代で、年収が10%以上アップした人は半数前後いる。また、55歳以上でも3分の1の人は、年収が10%以上増加しているのだ。つまり、転職2年目になると、年収が上がるのは若年層だけではないといえる。

給料が上がるのは人手不足のときだけか

2017年11月の有効求人倍率は1.56倍と43年10カ月ぶりの高水準。完全失業率は2.7%と24年ぶりの低さで、引き続き旺盛な採用ニーズを反映している

人手不足だと給与は上がるのか。他より高い給与を提示して人材を確保する、というのが通説だ。実際はどうだろう。

東京大学の玄田有史教授編「人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか」(慶応義塾大学出版会)に詳しくある。人手不足の状況は、失業率の動向とほぼ同等なので、失業率と賃金の関係を追った調査結果が示されている。これによると、「失業率が1%下がると、賃金が0.1%上がる」。つまり、人手不足になると賃金は上がるが、その額は0.1%ときわめて少ないのだ。実際、過去の数値をみても労働需給と賃金は必ずしも連動していない。

では、実際に賃金は上がっていないのだろうか。厚生労働省が2017年11月に発表した「平成29年 賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、87.8%の企業が、平成29 年中に「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」と回答している。改定額は5627円で、前年の5176円を上回った。つまり、多くの企業で賃金は(少しは)上がっているはずだが、私たちの肌感覚では、給料は上がっていないように思えるのではないだろうか。

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継続的な就業者の年収は増えているか
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