富裕層課税、18年から強化 まず「家なき子」封じ「小規模宅地の特例」厳格に 海外資産も捕捉

預金や有価証券の残高、利子や配当の受取額などの情報だ。日本の税制では海外の金融機関で発生した利子や、海外企業の配当などは、他の所得と合計して確定申告する必要がある。

ただ、実際には怠る資産家が少なくないという。CRSにより今後はガラス張りとなり、「申告漏れがあれば、税務調査の対象になる可能性が高い」(元仙台国税局長の川田剛氏)。

日本人はマイナンバーまで国税庁に通報される。マイナンバーは18年から国内の預貯金について付番が始まるが、あくまで任意。CRSでは記載が義務だ。最近、海外金融機関から番号の提供を求められ、「困惑して相談に来る人が目立つ」(国際税務に詳しい田辺政行税理士)という。

資産家の間ではCRSに加わっていない米国に金融資産を移す動きも出始めているという。これに対して国税庁は「必要があれば米国の当局に情報提供の要請を強化する」としている。

18年からの税制変更のポイントの一つが配偶者控除・配偶者特別控除だ。

控除を受けられる配偶者の所得要件が緩められ、配偶者自身は働きやすくなる。だが、「年収が130万円以上あると、健康保険などの社会保険料が発生し、手取りは思うように増えない」(大和総研の是枝俊悟研究員)。

納税者本人の所得要件も加わり、年収1220万円を超えると配偶者控除が使えなくなる。現在と変わらないのは本人の年収が1120万円以下、配偶者が150万円以下などの場合。本人の年収が1120万円超だと控除はフルには使えなくなる(表C)。

20年1月からは給与所得控除が変わり、高収入の会社員や公務員は増税となる。給与所得控除は、一定額を必要経費とみなして給与収入から差し引ける制度で、これまでも見直しが繰り返されてきた。

かつては年収に応じて増える定率部分があったが13年、控除が頭打ちとなる上限が高収入者を対象に設けられた。当初は上限が245万円、適用対象年収が1500万円超だったが次第に切り下げられ、17年分は220万円、1000万円超となった(図D)。

20年からはさらに上限が195万円、年収が850万円まで下がる。その分、課税所得が増えて税負担が増す。税の逆風は来年以降しばらく続くことになる。

(M&I編集長 後藤直久)

[日本経済新聞朝刊2017年12月23日付]

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