申酉騒ぐ、戌笑い 相場の「アノマリー」に根拠ある?日経平均、11月~翌4月は上昇傾向

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投資の世界にはアノマリーという言葉があります。直訳すると「異例」「例外」といった意味です。確たる根拠はないけれども高い確率で起きるとされる相場のクセや経験則をいいます。眉唾物の類いもありますが、それなりの因果関係がうかがえる例もあります。投資の不可思議さ、奥深さを知るうえで覚えておいて損はなさそうです。

干支に関係したものも

暮れになると株式市場の参加者がよく話題にするのが十二支にちなんだ新年相場の予想です。申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)笑い、などと格言にし、来る年の相場を心配したり楽観したりします。

西暦で末尾が7の年は相場が荒れるとされます。1987年のブラックマンデー、97年のアジア通貨危機に続き、2007年には、金融危機の発端となるサブプライムショックが起きました。今年は酉年で末尾が7でしたが、波乱なく過ぎつつあります。

株価の季節性、裏付ける手掛かり

過去のデータに基づき、専門家らが折に触れて話題にするのが、株価変動の季節性です。グラフは日経平均株価の月別の騰落率を50年分平均した結果です。おおまかに言えば、11月から4月にかけて株価はよく上がり、5~10月は停滞します。年によってバラツキはありますが、株価変動の季節性を裏付ける手掛かりもいくつかあります。

まず日経平均が連動しやすい米国の株式相場との関係です。米国では例年、個人への税金還付が1月に始まり2~3月にピークとなります。還付金は総額で30兆円強に及び、投資に回す人が増えることが知られています。

同じ頃、国内では企業の3月期業績が注目されます。「決算発表に先立って業績回復期待が強まり、投資家が買いに動きやすい」と、いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は話します。

4月の新年度入りも強材料です。国内の機関投資家が新規の資金を投資に振り向けるためです。国や自治体の予算執行が増えて財政資金が企業へ移り、手元が潤沢になることも一因かもしれません。

「5月に売り逃げろ」

この時期を過ぎると、それまでの反動から国内外の市場で需給が悪化しやすいとされます。そうなる前に「セル・イン・メイ・アンド・ゴー・アウェー(5月に売り逃げろ)」と忠告する格言が古くからあるほどです。夏は長期休暇を前に持ち高を減らす欧米投資家が多く、買い手が減ると言われます。

もっとも、11~12月になぜ株価が上がるのか、有力な説は見当たりません。しょせんはアノマリーだからと言ってしまえばそれまでです。

それでも、株価の季節性に着目した投資戦略があることを知ればどう思うでしょう。「株は10月末に買い、4月末に売る」(マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジスト)という戦略です。

過去50年でみると、日経平均を「10月末に買い、翌年4月末に売った」場合の成績は37勝13敗、勝率74%でした。平均リターンは8.3%です。「4月末に買い、10月末に売った」ときの成績(26勝24敗、マイナス0.4%)に比べ、はるかに優れています。

「9月までは戻ってくるな」

実は格言「5月に売り逃げろ」には続きがあります。「9月までは(相場に)戻ってくるな」です。今日の投資家よりずっと前、投資の先達も気にかけていたアノマリー。不可思議であるがゆえに興味をひかれる人もいるのではないでしょうか。

[日本経済新聞朝刊2017年12月23日付]

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