2017/12/30

弁護士の武内優宏氏は「以前から遺言を残す人の中に遺贈を考える人はいたが、遺言の増加とともに遺贈も増えた」と話す。「全体でみると特定の個人への遺贈が多い」と司法書士の勝猛一氏。相続人がいても内縁や子どもの配偶者に渡す事例もある。

近年注目が高まっているのが、公益法人やNPO法人といった団体への遺贈寄付だ。日本財団(東京・港)の調査では60歳以上の5人に1人が社会貢献のための遺贈に前向きだった。特に「おひとり様」と夫婦2人だけの人が積極的だという。

「その意欲を実現にどう結び付けるかがカギ」。16年11月に設立された全国レガシーギフト協会(東京・港)の鵜尾雅隆副理事長はこう指摘する。どこにどんな団体があり、遺贈を受けるかどうかも分からないという声は多い。

日本財団は16年4月、寄付先の紹介や無料相談を受ける「遺贈寄付サポートセンター」を開設。レガシーギフト協会の「いぞう寄付の窓口」も全国16カ所に広がった。信託銀行でも相談できる。

遺留分には配慮を

注意点はいくつかある。他に相続人がいれば遺留分(多くが法定相続分の半分)に配慮すること。遺贈には「○○番地の土地(地番で記載)」「××銀行の預金」などと指定して渡す「特定遺贈」と、財産の全部、または一定割合を渡す「包括遺贈」があるが、包括遺贈の場合、債務があればそれも引き継ぐ。

現金での遺贈しか受け付けない法人もある。「不動産や株式を遺贈すると、そのときの時価で譲渡したとみなされ、相続人に所得税がかかることがある」と税理士の福田真弓氏。また配偶者や子ども、親以外の個人への遺贈は原則、相続税がかかれば20%増しとなる点も知っておきたい。

贈る人が死亡して遺贈は初めて実行される。「遺言作成から執行まで何年もかかり、財産の内容が変わることもある。遺言を適宜見直し、しっかりした執行者をつけるのが重要」(三井住友信託銀行)だ。実りあるギフトにするには専門家に相談して手続きを進めたい。

(土井誠司)

[日本経済新聞朝刊2017年12月23日付]