孫さんも認めた16歳の起業家 電子決済事業に挑戦ONE FINANCIALの山内奏人CEO

ただ、電子決済事業にはリスクがつきものだ。偽造カードなどで不正取引が行われるケースもある。「まさにその通りです。ですからシステムの裏側では複雑なアルゴリズムを駆使して監視体制を敷いています。例えば、米国内で取引が行われているのに、カード自体の発行元が別の国だったりすると怪しいとか。さらにカード会社とは決済取引のすべてのデータを共有し、カード会社側も常時監視しています。こちらのインフラをカード会社側に開示しているわけです。おかしな取引があれば、カード会社側がすぐに決済を停止します」と山内さんは説明する。

電子決済事業で「流通総額1兆円」を目指す

実際、事業はうまく立ち上がっているのか。「まだ流通総額はこの3カ月間で数千万円台です。その5%といっても、そこからカード会社などに支払いも発生するので、収支面は厳しい。ただ、広告などのマーケティングコストは一切かけていないのに、利用者は増えています」という。山内さんは「目標は流通総額で1兆円、それぐらいいかないとメルカリには追いつきません。とにかく今は着実に事業を伸ばしたいです」と話す。

事業は3つ目、ビットコインも

しきりに強調するのが「着実に事業を進める」という言葉だ。「実は事業を立ち上げるのは3つ目なんです。ほかにたくさんの事業にトライしていますが、正直言って自分で納得がいく成果が出せたとは言えません」という。

山内さんは、小学6年生のときに「中高生国際Rubyプログラミングコンテスト2012(15歳以下の部)」で最優秀賞を受賞し、天才プログラマーとして有名になった。その後、大学生ら5人とeラーニング事業を起業した。その頃、知り合ったのがベンチャーキャピタル(VC)、イーストベンチャーズ(東京・港)のパートナー、松山大河氏だ。メルカリやグノシーなどの創業時に投資したことで知られる。

松山氏は「ウチの渋谷のシェアオフィスを使えば」と12歳の少年に声をかけた。山内さんの隣の席にいたのが料理レシピ動画サービス「クラシル」を運営するdely(東京・品川)CEOの堀江裕介氏だった。「今、堀江さんはレシピでブレークしていますが、当時は別のネット関連事業をやっていて、よく話し相手になってくれた」という。

VCや若手起業家にもまれながら、次々事業を立ち上げた。CEOとしてONE FINANCIALで最初に立ち上げたのはビットコイン事業の「Walt(ウォルト)」。次に「エルク」という日本円を送金するサービスを開始した。「僕がビットコインの窓口というか、『ウォレット(財布)』事業を手掛けたときは、1ビットコインが2万8千円ぐらいでしたが、こんなに急に上がったり、下がったりするとは想定外でした。ほかの起業家も最初の事業で成功する人はなかなかいません。何度も失敗を繰り返しながら、挑戦する人が最後に勝つと言われています」という。

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