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第二の人生、シチリアでワインと生きる 駐在員の挑戦

ワインを貯蔵するたるにはフレンチオークのたるを使用 「タンクは違いますがたるは自前です」と西川さん

「例えば、カリフォルニア州南部のサンディエゴに住んでいたときは、近くにテメキュラバレーというワインの名産地があって、週末を手軽に楽しく過ごそうと思ったら、ワイナリー巡りがうってつけだったんです。テメキュラにはゴルフ用品で有名なキャロウェイゴルフの創業者がかつてオーナーだったワイナリーなどもあって面白かった。少し足を伸ばして、車でメキシコのワイナリーなどにも行きました。日本ではあまり知られていませんが、いいワインがあるんですよ」と楽しそうに思い出を語る。

ワイン畑のオーナーになったものの、西川さんに農業やワイン造りの経験はなかった。そこでまず、相談したのは「アグロノモ」(農学士の意味)と呼ばれる現地のブドウ栽培家だった。栽培のコンサルタントである。

アグロノモは、「エノロゴ」と呼ばれる醸造家をはじめ農作業を手伝ってくれる農家の人たちや、西川さんのように醸造設備や貯蔵施設がない畑オーナーのために、そうした設備や施設を貸してくれるところを紹介してくれるのだという。

「ブドウの木は2月になると、質の高い果実を得るために剪定(せんてい)をしなくてはなりません。農家の人は『私たちにもできる』と言うのだけど、剪定専門の職人さんがいて、アグロノモから剪定は専門家に任せなくちゃいけないとアドバイスをもらいました」(西川さん)。

様々な人々の力を借り完成したテラ デッレ ジネストレのワインの初リリースは2017年の秋。畑を購入した2013年に出来たブドウは自分たちで育てたものではなかったので果実を売り払ってしまったため、2014年11月に収穫したブドウから造ったワインが初リリースとなったからだ。

「テラ デッレ ジネストレのワインはステンレスのタンクで醸し発酵が終わった後、たるに入れて1年半ぐらい寝かせます。たるごとに個性が異なるので、最終的にはこれらを混ぜてタンクに戻して10カ月置く。ワインは2カ月に1度ぐらい試飲してみるのですが、タンクで寝かせているワインが落ち着くまで最終的にどんなワインになるかは分かりません。『ああ、おいしいワインになった』と思えたのは、つい最近です」と西川さんはほっとした顔をする。

畑を買ってから4年という年月を経てようやく完成したワインに、「あのときワイン屋で飲んだワインは、このようにできたのか」と感慨深かったという。

テラ デッレ ジネストレのワイン

ワインは「エトナ・ロッソ ジュン」と名付けた。「ジュン」には夫人である純子さんの名前に加え、100%ネレッロ・マスカレーゼを使った「純粋な」ワインであるという意味を込めている。

2017年8月には、シチリアで日本人がオーナーとなった初のワイナリーとしてイタリアの全国紙『ラ・レプブリカ」にも取り上げられたが、「最初は、造ったワインを売るなんてつもりはなかったんです。でも、わずか1ヘクタールとはいえ、約6トンの収穫があって750ミリリットルのボトルで5000本ほどのワインができる。売らなくちゃしょうがなくなって」と西川さん。

明るいルビー色をした「エトナ・ロッソ ジュン」
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