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マイホームの税金 売却タイミングなど見極めて節税 売るなら原則5年待つ

NIKKEIプラス1

2017/12/28

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マイホームにかかる税金は「タイミング」に大きく左右されることがある。値上がりしたタワーマンションを売ったり、転勤で自宅を賃貸に出したりする場合はよく確認しておきたい。

「年を越してから売ったほうがいいでしょうか?」。不動産仲介会社の住友不動産販売によると、年後半になると買ってから数年のマイホームを売りに出そうとする人から税制の質問が目立つ。

■売るなら年を越してから

土地や建物を売ったときに出た利益は「譲渡所得」として課税される。税率は所有期間の長さに応じて下がる仕組みになっている。税務上の所有期間は売却した年の1月1日時点にさかのぼって計算するので、「年を越してから売ったほうがいい」というケースが出てくるわけだ。

住まいの税金は「1月1日」基準が多い

マイホームの譲渡所得の税率が下がるのは所有5年超、10年超のタイミングだ。例えば2012年に取得した物件は年明けに所有5年超になり、税率は39%から20%に下がる。仮に譲渡所得が1千万円だと、年内売却なら390万円の税金がかかるが、年明けなら200万円で済む。

07年に取得した物件は年明けに同10年超になり、譲渡所得6千万円までの税率が20%から14%になる。

■マンション、減価償却で譲渡所得が大きく

東京湾岸のタワーマンションなどはここ数年でかなり値上がりしたが、譲渡所得は値上がり分だけではない。建物は築年数に応じた「減価償却」で税務上の現在価値が下がっており、その分だけ売ったときの利益は大きいとみなされるからだ。

住宅税制に詳しい植村洋税理士は「マンションは一戸建てに比べて建物価値の比率が高いため、減価償却で譲渡所得が大きくなりやすい。売買契約の前に税制をよく検討したほうがいい」と助言する。

もっとも、マイホームの譲渡所得には所有期間に関係なく3千万円の特別控除がある。新居に引っ越した日から3年後の年末までに売れば、この特別控除が適用され、3千万円までの売却益なら税金はかからない。

ただし、マイホームを買い替える場合は要注意だ。譲渡所得の特別控除を受けると、新居で住宅ローン控除が使えなくなるからだ。ローン控除は年末ローン残高の1%を10年間、その年の所得税などから差し引いてくれる仕組み。これと譲渡所得の特別控除を比べて、どちらか一方を選ばなくてはならない。

■家族そろって引っ越し、ローン控除使えず

住宅ローン控除もタイミングに左右されることがある。例えば地方転勤だ。家族そろって引っ越すと住宅ローン控除は使えなくなるので、空き家にしておくよりも賃貸に出して家賃収入を得たいと考える人は多いだろう。

住宅ローン控除は10年間の期間内なら戻ってきた年の分から再開できるが、その年の1月1日以降に賃貸していないことが条件だ。例えば年度替わりの4月1日に戻る場合、前年末までに賃貸借契約を終了させておかないと、ローン控除の再開は翌年分からになってしまう。

ただし、家賃の水準によってはローン控除の節税効果よりも3月まで貸した場合の家賃収入のほうが大きいかもしれない。戻ってくる時期があらかじめ分かっている転勤なら、試算したうえで賃貸借契約の期間を決めてもいい。

家の建築でも注意点がある。土地や建物の固定資産税は1月1日を基準にして課税される。「住宅用地」は200平方メートルまで固定資産税が本来の6分の1に軽減されているが、同日時点で建物がない更地は住宅用地とみなされず、税負担が重くなる。

このため、古家を解体・新築する場合、1月1日時点で更地にならないよう工事の時期を調整するといい。建物が完成していなくても、すでに着工していて翌年1月1日までに完成する見込みがあれば住宅用地として課税してもらえることがある。

■決断する前にシミュレーション

工事の「着手」の定義などはそれぞれの自治体に確認する必要があるが、「地鎮祭や起工式だけでは着手とみなされない」(総務省)。他の税目も最終的には税務当局が実態をみて判断する。

マイホームの売買や引っ越しのタイミングは税金の損得だけでは決められないが、百万円単位で税負担を左右しかねないだけに、決断する前にシミュレーションはしておきたい。

(嘉悦健太)

[NIKKEIプラス1 2017年12月23日付]

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