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コーンブレッド、米建国の歴史映す 感謝祭の定番料理

コーンブレッドが好物だったマーク・トウェイン

米国にそんな食べ物があったのかと思う向きもあるだろう。しかし、子供の頃に本好きだった人ならば、それを物語の中で読んでいた可能性がある。『トム・ソーヤーの冒険』で、トムたちがミシシッピ川をいかだで下る冒険に出たとき、家から持ち出した食料がコーンブレッドだった。ところが彼らはそれを最初の晩に半分も食べてしまう。

よほど腹ぺこだったのかもしれないが、おそらくはおいしくて止まらなかったのだろう。なにしろ、この物語を書いたマーク・トウェインの大好物がコーンブレッドだったからだ。彼は、講演で世界中を旅して各国のさまざまな食べ物を味わったはずだが、コーンブレッドをいつまでも愛し続けたと伝えられている。

日本では、「パレスホテル東京」(東京・千代田)の自他ともに認める看板商品で、創業期から扱っており、2012年の改築後も地下のショップ「スイーツ&デリ」で買い求めることができる。

同ホテルの前身は、GHQ(連合軍最高司令部)の命令で1947年に国有・国営のホテルとして開業した「ホテルテート」。マーク・トウェインのようにコーンブレッドを愛していた米国人が、これを米国からのビジネスパーソンが利用するホテルでぜひとも提供するように指導したことは想像に難くない。

買って来るだけではない。最近は日本でもコーンブレッドを家庭で楽しんでいる人が増えているようだ。主なレシピサイトで検索すると、「コーンブレッド」で80件前後がヒットする。その秘密は、おいしさだけでなく作りやすさにもあるようだ。

洋菓子店「オーブン・ミトン」(東京・小金井市)では毎週金曜日にコーンブレッドを焼いている

洋菓子店「オーブン・ミトン」(東京・小金井市)を経営し、スイーツのレシピ本などの著書も多いパティシエの小嶋ルミさんは、学生時代に雑誌でコーンブレッドのレシピに触れて以来、作るのも食べるのも好きと言い、今も毎週金曜日に焼いている。これには長年のファンがいて、店頭に並べるたびにすぐに売り切れてしまう人気商品だ。

小嶋さんによると、コーンブレッドの魅力の一つは「多少計量を間違えても失敗しない。つまりアレンジもしやすい」ことだと言う。厳密な計量と繊細な細工など丁寧な仕事で知られる小嶋さんのこと、そうは言ってもコーンブレッドも正確に作るのだが、彼女にとってのコーンブレッド作りは菓子作りの初心に返ることと、リフレッシュでもあるようだ。最近は少し塩味を利かせて、スイートコーンの粒も入れたりしている。

「オーブン・ミトン」のコーンブレッドには長年のファンがいて、店頭に並べるとすぐに売り切れる

アメリカ穀物協会(米ワシントンD.C.)の資料によれば、米国建国期の実業家で政治家で学者のベンジャミン・フランクリンもコーブレッドのファンだったようだ。自ら定めた「13の徳目」の第1項に「節制 飽くほど食うなかれ。酔うまで飲むなかれ」を挙げたフランクリンだが、「焼きたての熱いジョーニーケーキと呼ばれるコーンブレッドは、ヨークシャーマフィンより美味である」と書いた記事があり、魅力にとりつかれていたことをうかがわせる。

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