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飛来した葉巻形の天体に新事実 「宇宙船」説は否定

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ナショナルジオグラフィック日本版

太陽系の外から飛来し、2017年10月以降、世界の天文学者が観測を続けている天体オウムアムア。現在は猛スピードで地球から遠ざかりつつある。(参考記事:「太陽系の外から未知の天体が飛来 初観測は歴史的快挙」

今回、この奇妙な天体が、炭素を豊富に含む層に覆われているらしいことが判明した。炭素の被膜は厚さ30センチ以上、宇宙空間を移動する間に、オウムアムアの表面が宇宙線の放射にさらされたことによって形成されたとみられる。学術誌『Nature Astronomy』に2017年12月18日付で掲載された。

この結果から、オウムアムアが太陽のそばを通過し、表面が非常に高温になったにも関わらず、なぜ水蒸気の尾を形成しなかったかが推測できる。

「星間空間を飛行する彗星(すいせい)の表面には、炭素を豊富に含んだ黒っぽい物質が形成されます。オウムアムアの表面を覆う物質も、おそらくはこれと同じものでしょう」。英クイーンズ大学ベルファスト校の天文学者で、論文の共同執筆者であるアラン・フィッツシモンズ氏はそう述べる。「この物質の正体を明確につかめたわけではありません。今言えるのは、我々の観測結果がこの推測に当てはまるということだけです」

尾はなぜできなかった?

10月に地球のそばを通過するところを発見されたオウムアムアは、過去に例のない天体だ。全長400メートルの葉巻のような形をしており、回転しながら時速15万キロで太陽系から遠ざかっている。天文学者らは長年、他の恒星系からこうした岩が星間空間に向かって放出されているはずだと考えてきた。なぜなら太陽系でも同様の現象が起こっているからだ。そして今、科学者らは史上初めてその実物をとらえたわけだ。

オウムアムアは当初、彗星ではないかと考えられていたが、その可能性は発見からまもなく、米ハワイ大学の天文学者カレン・ミーチ氏によって否定された。オウムアムアには、彗星の特徴であるガスやちりからなる尾が見られなかったためだ。

「これが最初の大きな驚きでした。我々は、こうした天体は氷を多く含むものと予想していましたが、そうではなかったのです」とフィッツシモンズ氏は言う。

恒星間天体発見の報を聞いたフィッツシモンズ氏は、同僚らとともにすぐに行動を開始。カナリア諸島とチリにある望遠鏡でこの天体を追跡し、可視光がどのように反射されるかを計測した。一方、ハワイのジェミニ天文台では、クイーンズ大学ベルファスト校の天文学者ミシェル・バニスター氏とメグ・シュワム氏が率いるチームが、近赤外線を用いてこの天体の観測を試みていた。ジェミニ天文台での観測結果は、学術誌『Astronomical Journal』に掲載される。

両方の論文で共同執筆者を務めたバニスター氏はこう述べている。「実に大変な観測でした。空を駆け抜ける天体を、数百トンの望遠鏡をバレリーナのようにダンスさせながら追いかけるのですから」

これらの観測から、オウムアムアが青みを帯びた光よりも、赤みを帯びた光を効率よく反射することが判明した。原因は、超新星のような宇宙空間で起きる爆発などによって放出される高エネルギー粒子にある。こうした粒子は長い年月の間に、彗星や小惑星の表面に炭素を豊富に含む赤みを帯びた層を形成することがある。

ジェミニ天文台のデータからは、太陽系で観測される多くの彗星とは異なり、オウムアムアの表面はカラカラに乾燥しており、水の氷もまったくないことがわかる。天体表面の温度をシミュレーションしたところ、オウムアムアを覆う層が厚さ40センチほどある場合、内部にある氷を含む物質は、太陽などの恒星の熱から守られることがわかった。

宇宙船である可能性は

オウムアムアに関するこうした新たな研究が発表されたのは、偶然にも、作家アーサー・C・クラークの生誕100年目から数日後にあたっていた。彼が著したSF小説『宇宙のランデヴー(Rendezvous with Rama)』は、オウムアムアによく似た細長い恒星間物体と人類との遭遇を描いている。(参考記事:「スター・トレックが描く異星人は科学的に正しいか?」

「またもやアーサー・C・クラークの予言がぴたりと当たったわけです」とフィッツシモンズ氏は言う。ただし作品に登場する恒星間物体は異星の宇宙船だったが、オウムアムアの起源はどうやら自然にあるようだ。新たに発表された研究の数々は、オウムアムアが地球外生命体による人工物であるという推測を否定している。近赤外線での観測では、物質の表面に金属がある兆候は見られなかった。

地球外生命体探査プロジェクト「ブレークスルー・リッスン」もまた、オウムアムアの観測からは何の信号も受信していない。

「宇宙船からの反射スペクトルがどのようなものになるかはわかっています。この物体はそれに当てはまりません」とバニスター氏は言う。

残された最後のチャンス

地球からオウムアムアを観測できる期間は、じきに終わろうとしている。オウムアムアはわれわれから猛スピードで遠ざかりつつあり、地球に向けて反射する太陽光も激減している。それでもまだいくつかの望遠鏡が、新たな手がかりを求めてこの太陽系外天体の観測を続けている。

「オウムアムアは非常に小さく、非常に遠くにあるため、最大級の望遠鏡を駆使する必要があります」と、NASAジェット推進研究所の惑星科学者ジョー・マシエロ氏は言う。

11月には、天文学者のデビッド・トリリング氏率いるチームが、スピッツァー宇宙望遠鏡を用いて赤外線でのオウムアムアの観測に挑んでいる。これが成功すれば、オウムアムアが反射する光の割合が明確になり、表面の素材の特定に役立てられるだろう。

またミーチ氏のチームは、オウムアムアの軌道を精査するため、2018年1月にハッブル宇宙望遠鏡での観測を予定している。バニスター氏によると、2018年、銀河系の3次元地図の作成に取り組んでいる欧州宇宙機関のガイア探査機から、さらに多くのデータが公表されるだろうということだ。オウムアムアがどこからやってきたのかを探る天文学者にとって、これは思いがけない収穫となるだろう。

「我々が見ているのは、星間空間からやってきて太陽系を通り抜ける物体なのです」とフィッツシモンズ氏は言う。「こんなチャンスがやってくるなど、普通は想像もできません」

(文 Michael Greshko、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2017年12月21日付]

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