飛来した葉巻形の天体に新事実 「宇宙船」説は否定

日経ナショナル ジオグラフィック社

これらの観測から、オウムアムアが青みを帯びた光よりも、赤みを帯びた光を効率よく反射することが判明した。原因は、超新星のような宇宙空間で起きる爆発などによって放出される高エネルギー粒子にある。こうした粒子は長い年月の間に、彗星や小惑星の表面に炭素を豊富に含む赤みを帯びた層を形成することがある。

ジェミニ天文台のデータからは、太陽系で観測される多くの彗星とは異なり、オウムアムアの表面はカラカラに乾燥しており、水の氷もまったくないことがわかる。天体表面の温度をシミュレーションしたところ、オウムアムアを覆う層が厚さ40センチほどある場合、内部にある氷を含む物質は、太陽などの恒星の熱から守られることがわかった。

宇宙船である可能性は

オウムアムアに関するこうした新たな研究が発表されたのは、偶然にも、作家アーサー・C・クラークの生誕100年目から数日後にあたっていた。彼が著したSF小説『宇宙のランデヴー(Rendezvous with Rama)』は、オウムアムアによく似た細長い恒星間物体と人類との遭遇を描いている。(参考記事:「スター・トレックが描く異星人は科学的に正しいか?」

「またもやアーサー・C・クラークの予言がぴたりと当たったわけです」とフィッツシモンズ氏は言う。ただし作品に登場する恒星間物体は異星の宇宙船だったが、オウムアムアの起源はどうやら自然にあるようだ。新たに発表された研究の数々は、オウムアムアが地球外生命体による人工物であるという推測を否定している。近赤外線での観測では、物質の表面に金属がある兆候は見られなかった。

地球外生命体探査プロジェクト「ブレークスルー・リッスン」もまた、オウムアムアの観測からは何の信号も受信していない。

「宇宙船からの反射スペクトルがどのようなものになるかはわかっています。この物体はそれに当てはまりません」とバニスター氏は言う。

残された最後のチャンス

地球からオウムアムアを観測できる期間は、じきに終わろうとしている。オウムアムアはわれわれから猛スピードで遠ざかりつつあり、地球に向けて反射する太陽光も激減している。それでもまだいくつかの望遠鏡が、新たな手がかりを求めてこの太陽系外天体の観測を続けている。

「オウムアムアは非常に小さく、非常に遠くにあるため、最大級の望遠鏡を駆使する必要があります」と、NASAジェット推進研究所の惑星科学者ジョー・マシエロ氏は言う。

11月には、天文学者のデビッド・トリリング氏率いるチームが、スピッツァー宇宙望遠鏡を用いて赤外線でのオウムアムアの観測に挑んでいる。これが成功すれば、オウムアムアが反射する光の割合が明確になり、表面の素材の特定に役立てられるだろう。

またミーチ氏のチームは、オウムアムアの軌道を精査するため、2018年1月にハッブル宇宙望遠鏡での観測を予定している。バニスター氏によると、2018年、銀河系の3次元地図の作成に取り組んでいる欧州宇宙機関のガイア探査機から、さらに多くのデータが公表されるだろうということだ。オウムアムアがどこからやってきたのかを探る天文学者にとって、これは思いがけない収穫となるだろう。

「我々が見ているのは、星間空間からやってきて太陽系を通り抜ける物体なのです」とフィッツシモンズ氏は言う。「こんなチャンスがやってくるなど、普通は想像もできません」

(文 Michael Greshko、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2017年12月21日付]

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