そういえば、「飲む前に牛乳を飲むと、胃に膜が張って悪酔いしない」と言って宴会の前に牛乳を飲んでいる人がいましたが、これは効果があるのでしょうか?
「牛乳には4%弱ほどの脂肪分が含まれていますから、多少なりとも効果は期待できます。また、牛乳にはたんぱく質が多く含まれているので、胃粘膜の保護効果は期待できます。少量では胃全体に膜を張るまではいきませんが、ある程度の効果はあるでしょう」と松嶋さんは言う。
酔ったら肝臓の代謝を助ける成分を
ここまでは、血中アルコール濃度を急激に上げないために、飲み会の始めにとっておくといい食べ物について説明してきました。それでは、酒席で杯が進んだ後、血中アルコール濃度をできるだけ早く下げ、悪酔いや二日酔いにつながらないようにするために、何かできることはないのでしょうか。
松嶋さんによると、「お酒を飲んで既に上昇してしまったアルコール血中濃度は、すぐには下がりません。ただ、肝臓での代謝を助ける成分は摂取したほうがいいでしょう」という。例えば、タコやイカに含まれるタウリン、ひまわりの種や大豆などに含まれるL-システイン、ごまなどに含まれるセサミンなどだそうです。
「もちろん、水分の摂取も必須です。アルコールの利尿作用によって尿量が増え、脱水症状に陥りやすいため、それを防ぐためにも、水分は飲んだ後に限らず、お酒を飲んでいる最中にも飲むようにしましょう。飲んだ後は、体内の水分維持効果がある電解質が含まれる飲料が効果的です」(松嶋さん)
つまみに何を食べるのか、どのタイミングで食べるのかについて工夫することで、「もうしばらく酒を飲みたくない」と後悔するまでの二日酔いを防ぐことができます。宴席が増えるこの時期にこそ実践して、この季節を乗り切りましょう。
ただし、アルコールの分解能力は人によってそれぞれ限界があり、それを超えればどんなにつまみ選びに気を付けても必ず二日酔いになります。飲みすぎにはくれぐれも注意しましょう。

[日経Gooday 2017年12月15日付記事を再構成]