ヘッドホンは音質重視 20万円超える新機種も品薄
「イヤホン売れ筋は5000円 音質・機能は高級品に迫る」に引き続き、今回はe☆イヤホン秋葉原店にヘッドホンの売れ筋を取材した。オーバーヘッド型のヘッドホンは、寒くなる冬にかけて売り上げを伸ばす傾向がある。同店スタッフの波多江紀樹氏は「ヘッドホンは2000円前後から売れ筋モデルが見つかりますから、思っているよりも買いやすいんですよね。ただ、勢いがあるのは何かしらの強い個性を持ったモデルになるので、ランキング上位にはちょっと上の価格帯のモデルが並んでいます」という。
・2000円前後の予算から選べるが、売れ筋上位は1万円以上が多い
・遮音性を重視するなら密閉型のオーバーイヤーで比較するのがお薦め
・利用する音源の機器に合わせてインピーダンス[注]の範囲を選びたい
[注]スピーカーやイヤホンが持つ電気抵抗の数値。アンプやポータブルオーディオなどには、接続するスピーカーやイヤホンの推奨インピーダンスが設定されている。
1位●極の音域 Hi-Res BETELGEUSE、ルプラス、1万2800円(税込み)
ハイレゾ対応の密閉型オーバーイヤーヘッドホン。ベリリウム製のφ40mmドライバーを採用し、インピーダンスは16Ωとなる。重量は約235.5gで、ケーブル長は約1.2m。カラーは2種類。
2位●K550MKIII、AKG、2万2239円(税込み)
密閉型オーバーイヤーヘッドホン「K550」の最新モデルで、φ50mmのドライバーを採用している。インピーダンスは32Ωで、重量は305g。ケーブル長は3mあり、カラーは1種類。
3位●SOLID BASS ATH-WS1100、オーディオテクニカ、2万2464円(税込み)
重低音に強い密閉型オーバーイヤーヘッドホンシリーズのハイレゾ対応モデル。φ53mmのドライバーを採用し、インピーダンスは38Ωとなる。カラーは1種類で、重量は約281g。ケーブルは1.2m。
4位●HA-MX100-Z、JVCケンウッド/ビクタースタジオ、2万4800円(税込み)
ミュージシャンやエンジニアがスタジオで音のチェックに使う「モニターヘッドホン」として定評のあるハイレゾ対応の密閉型オーバーイヤーヘッドホン。インピーダンスは56Ωで、重量は265g。ケーブルは2.5mあり、カラーは1色となる。
5位●AH-MM400EM、デノン、2万4945円(税込み)
アメリカン・ウォールナットでハウジングを作った密閉型オーバーイヤーモデル。φ40mmのドライバーを採用し、インピーダンスは32Ω。重量は310gとなる。カラーは1種類。
1位の「極の音域 Hi-Res BETELGEUSE」が1万円台半ばで、2位から5位は2万円台のモデルが並んだ。ヘッドホン全体で見るとそこまで高価な領域ではないが、イヤホンと比べると高価なモデルが上位に並ぶ傾向にある。「普段人気があるオーディオテクニカの『ATH-S100』(税込み1900円)などが埋もれるほど、かなりの勢いで売れているモデルがたくさん出てきた結果といえますね。冬に向けていい音を、という傾向もあるのかもしれません」という。
※価格は日々変動しているので、参考程度に見ていただきたい。
音漏れの少なさが好評の「極の音域 Hi-Res」
一番人気となったのは、ルプラスの「極の音域 Hi-Res BETELGEUSE」だ。高密度で剛性の高いベリリウム製のドライバーを採用しており、ハイレゾ対応となっている。通勤通学向けに注目している人も多いモデルだ。
「音色の良さから高級モデルに使われることの多いベリリウムをこの価格帯で採用した、というのが何よりの魅力ですね。どちらかというと原音に忠実で、どのジャンルでも楽しめる優等生タイプの音作りになっています」
そのうえで、遮音性の高さが決め手になっているとか。「ハウジングが大きめで、音漏れが少ないことも高く評価されていますね。電車内や周囲に人がいる環境でも迷惑をかけずに音を楽しみたいというニーズが高いので、総合的に高得点を獲得しているモデルといえます」
定番の「K550MKIII」「SOLID BASS」
続く2位は、AKGの「K550MKIII」だ。ケーブルの着脱が可能なモデルで、古くからのAKGファン、とくに歴代のK550シリーズのファンに定評があるという。
「音の分離感が優れているので、オーケストラやジャズなどで楽器一つひとつの音を楽しみたい方に支持されています。K550好きで、純粋にマークIIIが登場したから買ってみるという方も多く、2万円台のモデルのなかでも定番的な売れ方をしています」
3位のオーディオテクニカ「SOLID BASS ATH-WS1100」も、重低音好きな人に定評のある「SOLID BASS」シリーズに属するハイレゾモデルということで支持を集めている。
「原音に忠実なのが売れ筋の主流となっているなかで、けっこうヤンチャな音を出してくれます。それでいて、中高域の解像感もしっかりしているので、ロックやリズム系の音楽を楽しみたい人によく選ばれています」
タフな作りのモニターヘッドホン「HA-MX100-Z」
4位は、JVCケンウッドとビクタースタジオが共同開発した「HA-MX100-Z」。ハイレゾ対応のモニターヘッドホンとして多くのファンが指名買いしているという。
「モニターヘッドホンとしてはソニーの『MDR-CD900ST』が有名ですが、それに匹敵するレベルの原音再生ができると評判です。そのうえで、作りがとてもタフなんですよ。ちょっとやそっとじゃ壊れない。なので、スタジオ用として使いながら、普段使いをするなど、柔軟なスタイルで付き合えます。その頼もしさが高評価につながっていますね」
ウッドに惚れる「AH-MM400EM」
5位はデノンの「AH-MM400EM」。アメリカン・ウォールナットを採用したハウジングが替えの利かない音を生み出していると高く評価されている。
「ピアノやギターにも使われる木材で、響き方が本当に自然なんですよね。そのうえで側圧が抑えめなので、長時間聴いていても疲れにくいという強みもあります。据え置き用として心からリラックスして楽しめる一品です」
高級クラスで際立つ「ATH-ADX5000」
高級クラスで際立った売れ方をしているのは、オーディオテクニカの開放型オーバーイヤーモデル「ATH-ADX5000」だ。税込み23万1330円で登場したばかりの製品だが、冬のボーナス商戦を前にすでに品薄になっているという。
「臨場感がものすごいヘッドホンです。本当に素直な音で、アンプにつないだときにアンプの音がそのまま出るんですね。そのうえで解像感が非常に高いんです。贅沢な環境と組み合わせて長時間楽しみたくなるヘッドホンです」
(ライター 古田雄介)
[日経トレンディネット 2017年11月28日付の記事を再構成]
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