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イヤホン売れ筋は5000円 音質・機能は高級品に迫る

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日経トレンディネット

今回は、e☆イヤホン秋葉原店にイヤホンの売れ筋を取材した。同店スタッフの波多江紀樹氏によると、最近の新製品を見回すと5000円前後のモデルが目立っているという。「入門クラスの価格帯でありながら、リケーブルモデル[注]やBA(バランスドアーマチュア)型ドライバーを搭載したモデル、ハイレゾ対応モデルなどが複数出てきています。クオリティーが高くて、少し前の1万円超の製品に匹敵する水準だと感じるものも少なくありません」とのこと。

[注]音質の向上を狙ってケーブルを交換できるモデルのこと

e☆イヤホン・波多江氏が教えるイヤホン選び 基本の三箇条

・入門としては予算は有線5000円、無線1万円が最近の目安といえる
・試聴時は音だけじゃなくイヤーピースのフィットもしっかり比較したい
・リケーブルモデルは対応する規格の汎用性も押さえたうえで選びたい

売れ筋ランキングも、その傾向を顕著に示している。

●イヤホンの売れ筋ランキング
1位●HSE-A1000、ALPEX、1060円(税込み)
アルミハウジングボディーを採用したエントリーモデルで、13色のバリエーションをラインアップしている。ドライバー径はφ10mm。同店のスタッフがチューニングに参加している。
2位●碧(SORA)、アンティーム、4830円(税込み)
独自開発のセラミック製「VSツイーター」とφ10mmダイナミックウーハーを組み合わせることで、刺さるような音を抑えた。真ちゅう製ハウジングを採用し、ハイレゾ対応となる。カラーは1種類。
3位●Bd005E、KINERA、3890円(税込み)
BAドライバーとダイナミックドライバーを搭載するハイブリッド仕様で、MMCXコネクター対応のリケーブルモデルとなる。同店が監修したオリジナルモデルで、カラーは1種類。
4位●Co-Donguri雫、茶楽音人、4368円(税込み)
シリコンイヤーチップ「SpinFit」を標準搭載するハイレゾ対応モデル。φ10mmのダイナミックドライバーを内蔵し、カラーは標準3色と同店オリジナル2色をラインアップしている。
5位●E2000S、final、4380円(税込み)
イヤーフックと5サイズのイヤーピースが付属する、φ6.4mmのダイナミックドライバー採用モデル。削り出しのアルミボディーを採用しており、カラーバリエーションは1種類となる。

1位こそ、およそ1000円の格安モデル「HSE-A1000」だったが、2位以下には5000円級の中堅モデルがずらりと並んだ。いずれも音質に強みを持つモデルで、安さだけではない魅力を備えているのが分かる。それは、エントリークラスのHSE-A1000にしても同じだ。

※価格は日々変動しているので、参考程度に見ていただきたい。

PB的なお得感のある「HSE-A1000」

1位は、ALPEXの「HSE-A1000」。税込み1060円で買える手軽さと13色のバリエーションから、他のイヤホンのついでや、複数色をまとめてといった買われ方も多いという。ただし、ただのエントリーとしての人気にとどまらない要素もある。

「中音域が聞きやすいようにチューニングされていて、ポップスでボーカルが聴きやすいと評判になっています。エントリー帯ながらアルミのハウジングを使っているので、低音域もボワッとせずに締まりのある響き方をするのもポイントですね」

チューニングには同店のスタッフが参加しており、いわばプライベートブランド(PB)的な要素もあるそうだ。

ハイレゾ対応で艶のある「碧」

2位は、アンティームの「碧(SORA)」。5000円前後の価格帯ながら、1万円台のモデルと比較検討して購入する人も多いモデルだという。

「ハウジングは、金属のなかでも独特の響き方をする真ちゅうを採用して、艶のあるきれいな音が出るんですよ。セラミック製のツイーターとダイナミックウーハーの組み合わせも評価が高いですね。この価格帯ながらハイレゾ対応で、低音から高音までバランスよく聴けるということで安定した売れ方をしています」

ハイブリッド&リケーブルが好評な「Bd005E」

3位に入ったのは、KINERAの「Bd005E」。税込み4000円を切る価格帯ながら、バランスドアーマチュア(BA)とダイナミックのハイブリッドドライバーを採用しており、リケーブル(MMCX)にも対応しているなど、クラスを超えた仕様となっている。

「ダイナミックドライバーで鳴らすしっかりした低音と、BAドライバーがピンポイントで鳴らす中高域の広がりがいい具合に組み合わさって、とても聴きやすいモデルです。どちらかといえば、低音の元気がよいリズム系の音楽と合うところもありますが、ジャンルを問わず楽しめると思います」

こちらも同店が監修に参画しており、コストパフォーマンスの面でも有利に働いているところがあるという。

定番の「Co-Donguri雫」

続く4位は、茶楽音人(さらうんど)の「Co-Donguri雫」。同店の売れ筋ランキングで長らく上位にある定番モデルで、低音から高音までクセなく鳴らす素直な音作りが支持を広げているそうだ。波多江氏は「広いジャンルをそつなくこなす優等生タイプで、ハイレゾにも対応しています」と評価する。

加えて、付属するシリコンイヤーチップ「SpinFit」が人気に寄与するところも大きいという。「小さいながらも安定して固定できると多くの人から支持されているイヤーチップで、実際に単品でもよく売れています。それが標準で使えるので、リスニング環境が安定して音の良さに集中できるという点も見逃せないですね」

女性ボーカルとの相性が抜群の「E2000S」

5位は、finalの「E2000S」。イヤーフックのほか、SSからLLまで5種類のイヤーピースが付属するなど、税込み4000円切りのモデルとしては贅沢な仕様となっているが、人気の決定づけているのは音づくりの部分が大きい。

「音の透明度が高くて、高音もシャリシャリせずにきれいに抜けてくれます。女性ボーカルとの相性が抜群に良くて、他の製品と聞き比べるとはっきりと違いが分かります」

高価格帯で絶対的な存在感「ANDROMEDA」

販売本数ベースでの売れ筋ランキングは低価格帯のモデルが上位に位置するが、高級クラスでも安定して売れ続けるモデルは多い。とりわけ10万円超のクラスで目立っているのは、Campfire Audioの「ANDROMEDA」だ。税込み価格は13万9640円と高価だが、2016年6月の発売以来、生産が追いつかないほどの状況が続いているという。

「1つずつ職人さんが作っていることもあって、常に予約が入っているような状況です。とにかく中音域が特徴的で、ANDROMEDAでしか出せないようなリアルな音を鳴らします。録音時の楽器の配置が自然に見えてくるほど立体的で、臨場感がものすごいんですよ。とりわけポップスやロックなど、バンド系の音楽が好きな方に支持されています」

(ライター 古田雄介)

[日経トレンディネット 2017年11月21日付の記事を再構成]

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