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メルカリ社長とCRAZY社長 自ら育休で見えたこと

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NIKKEI STYLE

「育児休業は仕事に好影響を与える」。そう話し、自身も育休を取った2人の男性トップ、フリーマーケットアプリのメルカリ(東京・港)の小泉文明社長(37)と、カスタムウエディングサービスを手掛けるCRAZY(同・墨田)の森山和彦社長(35)に実体験を聞いた。(「育休が育てる組織と人 取得ホヤホヤ、男性トップ実感」も参照)

 ◇   ◇   ◇

権限委譲の進展確かめる好機に メルカリの小泉文明社長

――小泉社長は約2カ月育休を取り、2017年12月11日に復帰したと聞きます。取得中はどのように過ごしていましたか。

「週に1度は全社会議に出るため出社していましたが、それ以外は主に自宅で2歳になる上の子どもの面倒を見ていました。送り迎えだったり、遊んだり。これまでは仕事が中心で、見られなかった子どもの姿は貴重なものでした」

小泉文明
 メルカリ社長。1980年生まれ、37歳。早稲田大学卒業後、大和証券SMBC(現・大和証券)でミクシィやディー・エヌ・エーなどIT(情報技術)企業の新規株式公開を担当。2007年にミクシィへ移り、執行役員最高財務責任者(CFO)就任。13年にメルカリへ。取締役を経て17年4月から現職。

――お子さんと過ごして、何を感じましたか。

「子どもが小さいときに一緒に時間を過ごすことの良さを痛感しました。生まれたばかりの子はもちろん、2歳児も日に日に成長しているのを実感できる。話す言葉の単語量が増えるのが、はっきりと分かる。何か生活を取り戻した感があります。あと、我慢強くなりました」

――1人目のお子さんの時には育休は取らなかったですね。

「そうです。当時は取る余裕がありませんでした。メルカリの社員はまだ60人くらいで、アプリのダウンロード数は1000万まで到達していない。まさにこれから成長するという時期で、大型の資金調達も控えていました」

――今も急成長を続けていますが、なぜ今回は取得したのでしょう。

「私がいなくても組織が回る会社になったことが一番の理由です。1年近くかけて、現場への権限委譲を進めてきました。基本的には社長はおろか、取締役でもないマネジャークラスが意思決定できる体制にしています」

――育休期間中、即時買い取りサービスの「メルカリNOW」をはじめ、金融関連の新規事業会社、メルペイの設立を発表。大きな決断を世に示した時期でした。そこで社長が不在というのは驚きです。

「もちろん、すべての話を部下が勝手に決めたわけではないです。ビジネスチャットアプリの『Slack(スラック)』は便利です。社員の意見交換を、社外からでも確認できる。でもチャットの内容を全部確認しているようでは育休の意味がありません。どうしても社長の判断が必要な案件にだけ回答しました。それも回答が夜になるなど、基本的に育児を優先していました」

――メルカリで新事業を担う子会社、ソウゾウ(同・港)の松本龍祐社長も同時期に育休を取りました。

「権限委譲がきちんと進んでいることを確認できる良いきっかけになりました。トップがいないと回らない組織ではスピード感に欠ける。そういう意味で、トップの育休取得は組織体制の現状を測る良いモノサシになると思います。権限委譲の総仕上げですね」

――育休取得率は女性が100%、男性が90%以上と、ほぼ全員が取っています。実際に社員の働きはどうでしょう。

「やはり責任感が強くなりますね。フワフワしたところがなくなる。時間の使い方が変わる。無駄を省いて、短時間で集中して取り組む。今後育休を取得する社員たちに迷惑をかけないためにも、しっかりとパフォーマンスを出したいとの感情もあるようです」

――メルカリは産休や育休中の給与を100%保証し、妊娠のための活動や病児保育費の支援など子育てに関する制度が充実しています。今後の考えを教えてください。

「17年4月には、社員の子どもが認可保育園に入れず認可外保育園に入園する場合、差額分の保育料を会社が全額負担する制度を始めました。当社は成長途上の企業で中途採用が多い。30代が中心となると、産休や育休は避けて通れません。優秀な人材に中長期で働いてもらうためには、彼ら彼女らが働きやすい環境をつくる必要があります」

「子育てをしながら働くにはいろいろな課題がある。こうした課題に対策をとるのが会社の役割だと考えます。子育てに限らず、介護のサポートも柔軟に対応していきたい」

育休は個人を成長させる CRAZYの森山和彦社長

――CRAZYの森山社長は17年7月、創業者で妻の山川咲さん(34)の出産に合わせて、約1カ月の育休を取ったそうですね。育休を取得して、率直にどう感じましたか。

「育休は体験しないと理解できないと痛感しました。期間中、週に2日は出社しましたが、それ以外は妻が出産した広島まで通う日々でした。現地でも空き時間があると、ちょっと仕事をしてしまったのですが、子どもが泣くと集中が切れて全く仕事が進まない。働くパパママの大変さは、体感しないと理解できません」

森山和彦(写真中央)
 CRAZY社長。1982年生まれ、35歳。中央大学卒業後、人材コンサルティング会社に入社。その後独立し、妻の山川咲氏とともに2012年7月にCRAZYの前身であるUNITEDSTYLEを創業。完全オーダーメードがコンセプトのウエディングサービス「CRAZY WEDDING」を手掛ける。

――普段の仕事と育児の違いを感じた。

「そうですね。できないことも多い。経営者として一番嫌う社員は『指示待ち族』です。『手伝うことがあれば言って』『何かできることある?』。自分の目で見て状況を把握し、やるべき仕事を見つけて自ら動く。こういう社員であってほしい。ところが、いざ育児となると、経営者でも指示待ち族になってしまう。そうなりたくないと思いました」

――育児は自分の領域でないという感覚が男性にはあるのかもしれません。

「日ごろから指示待ち族ではダメだと言っている経営者こそ育休を取ってみるべきです。私は妻に対して、自分なりにやるべきことを見つけて動くけれど、できていない部分があれば教えてほしいと伝えて理解を得ました」

――育休を取る、あるいは復帰して育児をしながら働くというのは同僚や組織に負荷をかけると思われがちです。そうしたとらえ方が男性の育休取得を阻んでいるとも考えられます。

「そんなことはありません。育休は個人を成長させる絶好の機会ではないでしょうか。当社では、育休明けの社員をあえて出世させた事例も複数あります」

――仕事の負荷を減らすのではなく、あえて負荷を掛ける?

「負荷を掛けたいわけではありません。マネジメントに向く経験をしたと判断したからです。育児を通して、人の視野はものすごく広がるんです。これまで個人の仕事の範囲を決めていた社員をマネジャーに登用したら、ものすごく成長しました。目の前の自分のことだけではなく、周囲をよく見通せるようになる。育休明けこそ、成長するチャンス。ただ、職場環境の整備をセットに考えないといけません。復帰する社員がより働きやすい環境をつくるにはどうすればいいか。それを経営者は考えて整備すればいいのです」

――CRAZYは社内に託児スペースがあり、シッターが常駐、子連れ出社が可能ですね。

「この環境は当初からあったわけではありません。創業メンバーが出産を機に職場から離れたことがきっかけです。復職を考えた時期はお子さんが生後6カ月の時でした。どうしても復帰してほしかったので、専属のシッターをつけることを経営会議で決めたのです。大切な仲間がどうしたら戻って仕事をしやすい環境になるか。それを話し合って作り上げました」

――CRAZYには社員全員でランチを食べる習慣があり、子どももいる。まるで大家族のような会社ですね。

「これまで地域が担ってきた子育てのコミュニティーが崩壊しつつあります。では誰が担うのか。その答えの一つに『会社』があってもいいのではないでしょうか。会社全体で子どもの成長を見守る。子育ての機能について、会社がもっと拡張すべきだと思います。まだ結婚をしていない社員にとっても、子どもに触れ合う機会をつくるのはプラスに働くと思います」

「当社では創業時から社員全員で一緒にランチを食べるようにしていますが、栄養価の高い昼食を用意しています。これは投資です。社員が健康でいるための投資なのです」

――費用負担は決して少なくないと思います。

「国や自治体が税金を使って社会保障や地域の暮らしやすさを整備するのと同じで、会社の中でも働きやすい環境を整備する税金のような存在が必要だと考えます。現状では当社売上高(約15億円)の5%程度(約7000万円)を社員の昼食代やベビーシッター代として出しています。安心して健康に働く。数値化は難しいかもしれませんが、この投資は中長期的に会社に返ってくると思う」

――安心して働ける職場環境が大事?

「ただ安心させるだけではいけません。良い環境だと思われがちですが、結果については厳しく見る。ただ優しい会社では組織としての成長は難しいですから。成長の機会を提供する。これも大事です」

――CRAZYのような職場環境の広がりに期待する声は大きいのでは。

「連日のように、会社見学に来る人がいます。当社が掲げるスローガンに『フューチャーサンプルを創ろう』があります。社会が解決できない課題に対し、今までにない形で解決法を考えて世に提示する。今の職場環境もその一つです。ただこれはアンサーではありません。全社に適合するアンサーなど存在しませんから。提示するのはあくまでサンプルです。こんな解決法もあって良い。それを感じてもらい、それぞれの集団の中での解決法を探していくのが、あるべき姿だと思います」

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