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PCにスマホの使い勝手 Windows「3度目の正直」

西田宗千佳のデジタル未来図

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NIKKEI STYLE

スマートフォン(スマホ)向けCPUで知られる米クアルコムは、かねてよりマイクロソフトとともに開発してきた「ARM版Windows」を公表した。2018年前半には、台湾ASUSから「ASUS NovaGo」が、米HPからは「HP ENVY x2」が登場する。どちらもバッテリーが待ち受け状態で1カ月近く持ち、スマホのような「常時接続性」を標準装備する。将来はパソコンがスマホのように通信事業者から売られるようになるかもしれない。その布石として重要なOSである。

パソコンがモバイル環境で常時接続になるとどうなるか。仕事でオフィスアプリの文書をメールでやり取りすることは珍しくないが、モバイル環境でタブレットを使う場合、オフィスの機能が限定されて困ることもある。パソコンが常時接続になれば、モバイル環境でも瞬時にメールチェックでき、オフィス文書を編集できる。長文のメールを打つのも楽だ。こういった作業がバッテリーを過度に心配することなくできる。

Windowsのアプリが動作する

ARM版Windowsとは、その名の通り、英アーム・ホールディングス(ARM)が設計したプロセッサーコアの上で動作するWindowsのことだ。ARMのコアはほとんどのAndroidスマホやタブレットで使われている[注]。クアルコムのSnapdragonシリーズは、ARMコアを使ったCPUの代表格だ。

[注]アップルのiPhoneは、以前はARMコアを使っていたが、現在は独自のコアになっている

これまでもインテルなどのx86系CPU以外で動くWindowsはあった。例えばARMでは「Windows RT」や「Windows 10 Mobile」などだ。今回のARM版では3回目のチャレンジになる。これまでの製品はパソコン用のアプリやドライバーソフトが動かなかったので、ユーザーにとってはWindowsであるメリットはあまりなかった。そのためか普及することなく終わってしまった。

今回マイクロソフトは、x86用のアプリをARMの上で動かすための「翻訳機能」を用意し、パソコン用のアプリをそのまま動作するようにした。ARMの上でx86の動作を模倣するため動作速度は遅くなるはずだが、少なくとも「Windowsに見えるが、使い慣れたアプリは動かない」というユーザーのフラストレーションは解消される。

マイクロソフトは「現状32ビットアプリに限る」としているものの、それ以外に動作の制約は発表していない。基本的には「32ビット版のWindows用アプリがすべて動く」と考えてよい。また16年に発表した段階では「ドライバーソフトも動く」としていた。そのため、周辺機器の動作についても互換性があるはずだ。

互換性を維持するための技術開発は大変なものだ「今まで通りのパソコン」として使うのであれば、わざわざARMに対応するメリットは少ない。それでもマイクロソフトがクアルコムを抱き込んで開発を進めたことには理由がある。

常時接続性のための総合技術が必要だった

最大の理由は冒頭に挙げたような「常時接続性」の実現だ。

パソコンは、もともとスリープ中やスタンバイ中には「動作しない」ものが多かった。だが、それではスマホのように「待ち受け」の状態にはならない。

そこでマイクロソフトとインテルはWindows 8以降、省電力時のパソコンの動作状況にいろいろと改善を加えた。初期には「Connected Standby」、その後「Instant Go」と呼ばれた機能がそれだ。Windows 10では「モダンスタンバイ」という機能になった。

だが、何度も名前が変わっているところから察しがつくかと思うが、この機能はあまり役に立っていない。設計が根本的に違っていた上、スリープ中に通信やアプリの挙動を待ち受ける動作をすることが、パソコン自身のバッテリー動作時間を短くする原因となってしまったからだ。

パソコンはパソコン、スマホはスマホでいい、と思う人も多いだろう。だが、アップルはiPadをパソコンに近づけてきている。Androidスマホの中にも、パソコンと同じような仕事ができることを売りにするものが増えてきた。パソコンだけが常時接続できないのでは取り残されてしまう。マイクロソフトがプロセッサーコアを設計しているARMではなく、クアルコムと提携したのも、常時接続のためのトータルソリューションがほしかったからだ。

バッテリー動作時間が倍増

常時接続と同時に「バッテリー動作時間」も重要であり、それが第2の理由だ。

メーカーの公表値によれば、ASUSの「ASUS NovaGo」は最大22時間、HPの「HP ENVY x2」は最大20時間動作する(ともにビデオ視聴時)。サイズ・重量的にはこれまでのパソコンよりも少し小さいくらいの機器で、一気に動作時間が倍近くに伸びる。これもプロセッサー単体の消費電力だけでなく、スマホ向けに消費電力が抑えられるよう設計された周辺のLSIのおかげである。

ただし、省電力が特に効くのは処理負荷が小さい処理のときだ。処理負荷が大きいときの消費電力は、インテル製のCPUもSnapdragonもあまり変わらなくなる。カタログ上ではARM版Windowsを使ったパソコンの動作時間は長くなっているが、実際に使ってみるとそうでもない可能性もある。

うまくいかなかったアプリ互換の歴史

前述のように、マイクロソフトにとってARM版のWindowsは初めてのものではない。記憶に新しいところでは2015年から2016年にかけてWindows 10 Mobileというスマホ用のWindowsをプッシュしていたが、これまではことごとく失敗に終わっていた。

その一番の問題はアプリケーションだ。ユーザーにとってWindowsの一番の魅力はOfficeをはじめとするアプリケーションの資産にある。しかしマイクロソフトのこれまでのアプローチはパソコンのアプリをARMで動かすのではなく、x86でもARMでも動くようなアプリ開発を可能にすることだった。

2012年に発売された「Windows 8」では、「Windowsストアアプリ(Modern UIアプリ)」という考え方が導入された。Windows 10では「ユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)」へとさらに変更になった。しかし、これらを使うアプリケーションは一向に増えず、ついにはマイクロソフト自身も「積極的な機能追加の予定はない」として、事実上のギブアップ宣言をしている。

多少速度は犠牲になっても、パソコン用のアプリをARMで動かすことにかじを切ったのはこのような歴史があったからだ。さらに、ドライバーまで動けばWindowsパソコン用の豊富な周辺機器もARM版Windowsで使えるようになる。

常時接続性に長時間のバッテリー駆動、それにアプリやドライバーの互換性、これらを全部高いレベルで実現すること。それができればARM版Windowsは注目の存在になる可能性がある。

西田宗千佳
 フリージャーナリスト。1971年福井県生まれ。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、ネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。

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